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最終更新日:2026/06/19
フウラン(風蘭・富貴蘭)

フウランは関東以西の本州・四国・九州と南西諸島のモミやスギなど常緑樹の樹幹に着生するラン科の多年草です。
以前はフウラン属(Neofinetia)として独立していましたが、近年、ヒスイラン属(Vanda)に移されました。
日本以外では韓国と中国南部にも分布しています。
花は白~淡紅色で、夜間によく香り、反り返る2枚の花被片と浅く3裂する唇弁と長い管状の距(きょ)があります。
葉は硬く剣状で、葉のあいだから白く太い根を出します。
近縁のアスコセントラム属、リンコスティリス属と交配され、耐寒性を取り入れた鮮やかな花色の交配種が育成されています。
フウランはセッコク(長生蘭)と同じく江戸時代から栽培される伝統園芸植物のひとつで、園芸品種は「富貴蘭」と呼ばれます。葉の形や色合い、覆輪、縞などの斑模様のみならず、根の色も含めた全体のバランスを鑑賞するのが特徴です。
【基本情報】
| 学名 | Vanda falcata |
|---|---|
| 分類(科名) | ラン科 |
| 開花期 | 6月~7月 |
| 高さ | 5㎝~20㎝ |
| 性状 | 多年草 |
| 水分 | 少なめ |
| 耐寒性 | 強い(0℃ぐらい) |
| 日照 | 半日陰 |
| 特記事項 | 鉢植え向き |
【栽培史】
フウランの栽培は江戸前期の元禄(1688~1704)のころにはじまりました。
江戸染井の植木屋伊兵衛三之丞が元禄8(1695)年に著した『花壇地錦抄』の「蘭の類」に「風蘭 葉短くせきしょうのごとし花白し」と紹介され、「根を竹の皮かしゅろの皮につつみて中(宙)につりて置くべし。風を得て栄ゆる。花咲くときに水をそそぐべし」と記されています。
江戸末期の嘉永(1848~55)のころから葉の形や色合いが変わった奇品(変異種)が流行し、刷り物や番付なども作られ、幕末の最盛期には約161品種がありましたが、明治維新により栽培は下火となり、品種も散逸しました。
現存する最古の品種のひとつである「富貴殿」は万延年間(1860~61)に豊後で採集され、はじめは「皇覆輪」(すめらふくりん)と呼ばれていましたが、昭和4・5年ごろに「富貴殿」に改名され現在に至っています。
明治12~13年ごろから中部・近畿地方で再び栽培が盛んになり、明治35年ごろ、大正5年ごろ、昭和5~15年ごろ各地で流行しました。
戦争による衰退はありましたが、昭和末期からは実生が盛んになり、入手がしやすくなったことで広く普及しました。
日本富貴蘭会に登録されている品種(銘品)は現在約230品種あり、イタリアなど海外にもファンが増えています。
【見どころ・人気種】
フウランはランのなかでも丈夫で、乾燥にも強く、小形で軽く、ミズゴケのみで土を使わないため、出窓やベランダ、吊り鉢などで手軽に栽培が楽しめる現代向きの植物です。
富貴蘭は「葉もの」と「花もの」に大別されます。
葉ものは、葉の形状、葉の模様、付け(葉跡)、根の色によって分類されます。
葉の形状には立葉、受葉、豆葉、針葉、熨斗葉(熨斗のように葉が折れる)、表甲竜(葉の表面に隆起がある)、裏甲竜(葉の裏面に隆起がある)、鈴虫剣(剣状の突起が出る)など多くの種類があります。
模様には白覆輪、黄覆輪、白縞、黄縞、白中斑、黄中斑、虎、星などの種類があります。
富貴蘭では葉跡(葉が落ちた痕跡)を「付け」と呼び、その形状により一文字形、月形、弓形、山形、波形などがあります。
根の色には青根、泥根、赤根があります。
花ものは、花の形状と色によって分類されます。
花の形状には一重、八重、三蝶咲き(側花弁が唇弁になる)、六弁咲き(距がない)、天咲き(上向きに咲く)などがあり、花の色には白、桃、淡紅、淡黄、淡緑があります。
野生のフウランはほとんど白花ですが、「桃源」は高知県産の桃花で、花物では最初の登録品種です。
「黄鳳」(こうほう)は、富貴蘭と洋ランの交配種で、咲きはじめはクリーム色ですが咲き進むと黄色になります。
フウランと洋ランの交配種には赤、青、黄など豊富な花色があります。
ダーウィナラ・チャーム「ブルースター」(Darwinara Charm ‘Blue Star’)はフウランにバスコスティリス(バンダ×アスコセントラム×リンコスティリス)の交配種で青いフウランそのものです。
フウラン×リンコスティリスにバンダを交配したヨネザワラ「ブルースター」(Yonezawara Blue Star)はさらに青みの強い人気種です。
【育て方】
■栽培環境:
春は日当たりと風通しのよい屋外の棚の上で栽培します。
5月以降は寒冷紗かよしずで50%ぐらい遮光すると葉焼けを防ぐことができます。
冬は北風の当たらない軒下などに移動させます。無加温のフレームや室内に収容できれば万全です。
■用土:
ミズゴケ単用がおすすめです。
■水やり:
ミズゴケがよく乾いてからたっぷりと与えます。
水がしみこみにくいときは水を張った容器に鉢ごとしばらく漬けておくのもよいでしょう。
もともと樹上に生える植物で乾燥には強いので水のやりすぎには注意しましょう。
冬は休眠期のため水やりはほとんど必要ありません。月に2度ぐらい、晴天の日に軽く水を与えます。
夜間に凍結させないように注意しましょう。
■植え付け:
4~5月が最適期です。
中深の鉢(富貴蘭の伝統的な栽培法では楽焼の植木鉢)を使い、根をミズゴケで包み、植木鉢の縁より高く盛り上げて植え付けます。
ヘゴやコルク板に着生させて育てることもできます。
■肥料:
生育期間中に10日に1回ぐらいハイポネックスなどの液肥を希釈して与えます。
■植え替え:
ミズゴケが劣化してくるので2~3年おきに植え替えます。
ピンセットを使って根のあいだから古いミズゴケを取り除き、枯れた根を整理して新しいミズゴケで植え替えてください。
■病気害虫:
春ごろ葉にアブラムシがつくことがあります。
高温期にはスリップス(アザミウマ)が発生するので殺虫剤を散布して防除します。
ナメクジも葉や花を食害するので見つけたら駆除します。
病気はほとんど発生しません。
葉の基部に水がたまるとそこから黒く腐ることがあるので、水やりのあとには換気をおこない、できるだけあたまから水をかけないように注意しましょう。
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