栽培ガイド

最終更新日:2026/06/02

サギソウ(鷺草)


サギソウ(鷺草)は、日当たりの良い湿地に自生する多年草で、花の形がシラサギが翼を広げたように見えることからサギソウと呼ばれます。
日本では本州・四国・九州に分布し、朝鮮半島と中国中部、ロシア沿海州にも分布します。

以前はミズトンボ属(Habenaria)に分類され、ハベナリア・ラジアタ(Habenara radiata)の学名で呼ばれていましたが、ミズトンボ属からサギソウ属を独立させたことにより、学名がペクテイリス・ラジアタ(Pecteilis radiata)に変更されました。

サギソウ属は世界に約10種があり、多くは東南アジア、ヒマラヤ、中国南部の亜熱帯~熱帯地域に分布します。
サギソウは、東南アジアの熱帯にルーツをもつサギソウ属の中で、もっとも北限に分布する種類なのです。

【基本情報】


学名 Pecteilis radiata
分類(科名) ラン科
開花期 7月~8月
高さ 15㎝~40㎝
性状 多年草
水分 ふつう
耐寒性 強い(-10℃ぐらい)
日照 日向~半日陰
特記事項 鉢植え向き


【栽培史】


人里近くに自生するサギソウは江戸時代から栽培されていました。

江戸前期の寛文4(1664)年に、水野元勝が著した日本最古の園芸書である『花壇綱目』巻上「夏草の部」に、サギソウは「鷺宿」の名で掲載され、「花白湿気の地を好む也。さぎさうとも云う」とあり、江戸時代前期には「鷺宿」(さぎやど)または「さぎそう」と呼ばれ、すでに栽培されていたことがわかります。

江戸後期の文政12(1829)年に、水野忠暁が著した『草木錦葉集』巻之六には、「飛鶴らん」と「飛鶴らん爪」という2種類のサギソウの斑入り品種が掲載され、「一名鷺草、葉形花とも双鶴蘭同種也(中略)奥沢あたりの田の中に生ず(後略)」と記されています。
「飛鶴らん」(ひかくらん)は縞斑の入る斑入り、「飛鶴らん爪」(ひかくらんつめ)は葉の先端部に白爪斑が入る品種です。

江戸郊外の奥沢(現在の東京都世田谷区奥沢)近辺には当時サギソウが多く自生していました。
世田谷区は昭和43(1968)年にサギソウを区花に制定しました。

【見どころ・人気種】


サギソウには、花の変異種と葉の変異種があります。
  • 「飛翔」:側弁が唇弁に変化した獅子咲きの人気品種
  • 「おぼろ月」:白色の花弁が退化した奇花
  • 「緑星」:小豆島産で、緑花の小輪
  • 「玉竜花」:三重県産で、花径4~5㎝、草丈40~50㎝にもなる4倍体品種
  • 「銀河」と「新銀河」:葉縁に白覆輪の入る、斑入りの代表品種
  • 「金星」「輝」「曙」:葉縁に黄覆輪が入る、斑入り品種
  • 「天の川」「残月」「宇宙宝」:白い散り斑縞が入る、斑入り品種
  • 「黄収」:黄金葉品種
  • 「暁」:鮮やかな黄色地に緑色の覆輪が入る、中斑品種
  • 「根岸の月」:葉の外側は緑色で、内側に白色の散斑が入る、個性的な斑入り品種


【育て方】


■栽培環境:
日当たりと風通しのよい棚の上で栽培します。真夏だけは50%ぐらい遮光すると葉焼けを防ぐことができます。

■用土:
ミズゴケ単用と砂植えのどちらも可です。
砂植えの場合は、赤玉土(小粒)7に硬質鹿沼土(小粒)3の混合など水はけがよく雑菌のない用土で植え付けます。

■水やり:
生育期間中は水を切らさないことが大切です。つねに土の表面が湿っているように管理します。

■植え替え:
発芽前の3月~4月が植え付けの適期です。
サギソウは根が深くまで伸びるので中深鉢を使い、5球であれば4~5号鉢に植え付けます。
砂植えの場合の覆土は1~2㎝で、ミズゴケ単用の場合は球根の上に2㎝ぐらいミズゴケをかぶせます。
浅鉢でも栽培できますが、水やりや風の影響で茎が倒れやすくなります。

■肥料:
砂植えの場合は、植え替えたときにマグアンプなどの緩効性化成肥料を用土にまぜておきます。
ミズゴケ単用の場合は生育期間中に10日に1回ぐらいハイポネックスなどの液肥を与えます。

■球根の掘り上げ:
秋には根の先端に新しい球根ができます。
茎葉が枯れてきたら球根を掘り上げて湿らせたミズゴケにくるみ室内で春まで保存します。
温度が高すぎるとカビが生えるので容器に入れて冷蔵庫の中で管理するのもおすすめです。

■病気害虫:
春ごろ葉にアブラムシがつくことがあります。高温期にはスリップス(アザミウマ)が発生するので、殺虫剤を散布して防除します。
ナメクジも葉や花を食害するので見つけたら駆除します。
ウイルス病に感染すると葉に黒い斑紋やモザイク状の脱色があらわれます。健常株への伝染を防ぐために引き抜いて処分します。

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