栽培ガイド

ワイルドストロベリー

小さなかわいい実なのに、びっくりするほどよい香りで甘いワイルド・ストロベリー。開花期が長く次々と実をつけるうえに、葉っぱにもさまざまな効能のある、優秀選手のハーブです。

ギザギザと野性味のある葉、黄色い花芯を持つ白い小さな花と赤い実が描かれた、イギリスのウェッジウッド社の陶器をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。人気の定番モチーフ、その名もずばり「ワイルド・ストロベリー」シリーズですね。

ワイルド・ストロベリーにもいくつか種類があります。
通常はランナーと呼ばれるほふく性の茎を出し、その先に葉をつけて根を出しますが、ランナーを出さないアレキサンドリア・ストロベリーという種類もあります。殖え広がらないので育てやすくおすすめ。園芸ネットで苗を扱っています。

また、イチゴといえば「赤い」実を連想しますが、白実のものもあります。
実の色が目立たないので、鳥たちにみつけられずに収穫できるのが魅力。赤いものより、もっと甘いという噂も。

果実はそのままおいしく頂いたり、ジャムを作ったり、パイのフィリングにしたりして楽しめます。香りがとても良いので、リキュールの風味づけにするのもおすすめです。姿かたちもかわいらしいので、デザートの飾りつけにもぴったり。真っ白なブラマンジェのトッピングにミントの葉と
ともに一粒添えるだけで、おもてなし料理をしめくくる素敵なデザートになります。
ジャムを作るためには、収穫のたびに冷凍保存して必要な分量を集めます。

おいしいだけでなく、果実にはビタミンCとミネラル、鉄分が豊富に含まれているので貧血対策になり、腎臓や肝臓も強くしてくれます。
一方、葉っぱには、消化促進、整腸、血液浄化、強壮、利尿作用や、食欲不振、精神安定、肌荒れ、リューマチ等の症状を和らげる効果があります。

ただし、ワイルド・ストロベリーの葉は十分に乾燥させない生乾きのうちは毒素を持つともいわれます。しっかり乾燥させればまったく心配はありません。十分乾燥させるほうが、生のものよりも栄養成分が増すので、さまざまな効能も期待できます。

ワイルド・ストロベリーの葉だけで飲みにくいときは、他のハーブとブレンドしたり、香りの少ない紅茶葉に混ぜたりするとよいです。
カップに注いでから赤い実を一粒しずめると、香りもよくおいしくなります。

では育て方を。

耐寒性のある常緑の多年草なので、一度株を手に入れれば長くつきあえるハーブです。香りよく甘いワイルド・ストロベリーをお持ちのお知り合いがいらっしゃったら、ランナーを分けてもらいましょう。
種からでは同じ株が育たない場合が多いのですが、ランナーなら確実に、同じようにおいしい株になります。

ランナーの出ないアレキサンドリアは、株分けをして殖やします。
同じ場所、鉢での連作はできないので、2年おきに植え替えをしてあげます。

たくさん株がほしいという方は、種まきをしてみてはいかがでしょうか。
発芽に適した温度は20度前後なので、4~6月か9~10月がまきどきです。種が小さくて好光性発芽なので、覆土はせず霧吹きで十分に水を与えます。土は水もちのよい軽いものを使います。ピートモスなども向いています。
春にまいて生長具合がよければ、1年目の秋には実をつけはじめますが、甘いたくさんの実をつけるのは2年目以降です。

ワイルド・ストロベリーは乾燥に弱いので、土が乾いてしまう前にたっぷり水を与えます。日あたりのよい所で、湿り気のある、栄養分を多く含んだ土で育てると実をたくさんつけます。肥料も大好きなので、実が実ったら肥料を忘れずにあげてください。
真夏の直射日光は極度の乾燥を招きがちなので、注意します。

みなさんも小さな甘い果実をいかがですか?