栽培ガイド

最終更新日:2026/09/09

香りを楽しむ、憧れのラベンダーの育て方



ラベンダーは紫色の花と香水の香りで日本で最も人気のあるハーブです。本来は低木ですが、多年草や一年草として扱われることも多く、花壇の植え込みやコンテナ栽培などに使われています。

ラバンデュラ属は、カナリア諸島から地中海、北アフリカ、アラビア半島、インドに39種が知られています。最新の研究によれば、ラバンデュラ属は、ラバンデュラ亜属、ファブリシア亜属、サバウディア亜属の大きく3つのグループに分けられ、観賞用や油用に多く栽培されるイングリッシュラベンダー、フレンチラベンダーはラバンデュラ亜属に含まれ、レースラベンダーはファブリシア亜属に属します。

ラベンダーの中でもっともポピュラーな種類はイングリッシュラベンダーですが、フレンチラベンダーやラバンディン(イングリッシュラベンダー×スパイクラベンダー)にも数多くの園芸品種があり、すべての種類・系統を合わせるとラベンダーの園芸品種は世界中に400品種ぐらいあるといわれています。

ラベンダー Lavandula
分類(科名) シソ科
開花期 5月~6月(~10月) ※種類によって異なる
高さ 30㎝~1.5m
性状 常緑低木
水分 ふつう
耐寒性 強~弱 ※種類によって異なる
日照 ひなた
特記事項 鉢植え・庭植えともに可

ラベンダーの栽培史


地中海沿岸に自生するラベンダーは、2500年以上も前から暮らしに役立つハーブとして利用されてきました。古代エジプトでは防腐剤や化粧品に、古代ギリシャやローマでは入浴剤、虫よけ、洗浄剤などに使われていたといわれています。

当初は、ラバンデュラ・ストエカス(フレンチラベンダー)などの野生種を採取して利用していました。その後、アラブ人によってラバンデュラ・デンタータ(フリンジラベンダー)などが栽培されるようになり、スペインを経てヨーロッパ各地へ広まったとされています。

フランスでは11世紀頃から、南部のプロヴァンス地方を中心にラベンダーの栽培が始まりました。イギリスでも14世紀初頭には栽培が行われ、ようになり、16世紀までには南ヨーロッパの山岳地帯に自生する、耐寒性に優れたラバンデュラ・アングスティフォリア(イングリッシュラベンダー)が伝わりました。

イングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの自然交雑種である「ラバンディン」は、1925年にフランスのプロヴァンス地方で発見されました。代表品種の「グロッソ」は精油を多く含み、、現在ではフランスだけでなく、オーストラリアやアメリカなどでも広く栽培されています。

観賞用ラベンダーの品種改良が本格化したのは、20世紀後半からです。現在のイングリッシュラベンダーには、淡紫、濃紫、青紫のほか、白やピンクの花を咲かせる品種もあります。さらに、春だけでなく秋にも花を楽しめる二季咲き性の品種も育成され、ラベンダーの楽しみ方はますます広がっています。

ラベンダーの魅力と主な種類


日本で主に栽培されているラベンダーは、イングリッシュラベンダー、ラバンディン、フレンチラベンダー、フリンジラベンダー、レースラベンダーの5種類です。

紫色の美しい花と爽やかな香りが魅力ですが、耐寒性や耐暑性は種類によって大きく異なります。長く楽しむためには、それぞれの特徴を知り、育てる地域の気候に合った種類を選ぶことが大切です。

◯イングリッシュラベンダー
「コモンラベンダー」または単に「ラベンダー」とも呼ばれる、日本でもっともよく知られた種類です。すっきりとした上品な香りと美しい紫色の花穂を楽しめます。

イギリスで栽培される「ヒドコート」「ナナ・アルバ」「インペリアル・ジェム」をはじめ、北海道・富良野で親しまれている「おかむらさき」「ようてい」など、多くの品種があります。

寒さに強く、北海道などの冷涼な地域ではよく育ちます。一方、高温多湿には弱いため、関東以南の暖地では夏越しが難しい場合があります。

◯ラバンディン
イングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの交雑によって生まれた系統です。比較的暑さに強く、丈夫で育てやすいため、暖地での栽培にも適しています。

花穂が大きく、香りも強いので、庭植えのほか、切り花やドライフラワー、ポプリなどにもおすすめです。

◯フリンジラベンダー
葉の縁に細かな切れ込みが入り、やわらかな印象を与えるラベンダーです。花だけでなく、葉の形や香りも楽しめます。

◯レースラベンダー
シダのように細かく切れ込んだ、繊細で美しい葉が特徴です。花茎がすっと伸びる優雅な姿で、鉢植えや寄せ植えにもよく映えます。

寒さには弱いため、冬は霜に当てないように管理します。温暖で霜の降りない環境では冬にも花を咲かせ、四季咲きのように長く楽しめます。

和名 イングリッシュラベンダー
(コモンラベンダー)
ラバンディン フレンチラベンダー フリンジラベンダー レースラベンダー
学名 Lavandula angustifolia Lavandula × intermedia Lavandula stoechas Lavandula dentata Lavandula pinnata
原産地 地中海沿岸 交雑種(フランス) 地中海沿岸・北アフリカ 地中海沿岸・アラビア半島 チュニジア
香りの強さ 強い 強い やや弱い やや弱い 中ぐらい
特徴 「ハーブの女王」とも呼ばれる。花色は青紫、紫青、白、ピンク 株が篝状に繁る。耐暑性・耐寒性が強い。 花穂の先端に兎の耳のような苞葉がつく。耐暑性が強い。 花穂の先端に苞葉がつく。葉に鋸歯がある。 花穂は3つに枝分かれする。葉はシダ状。
木の高さ 中(30cm~90cm) 高(70cm~1.5m) 中(45cm~60cm) 中(60cm~90cm) 中(45cm~60cm)
花期 5~6月 5~6月 5~9月 5~10月 5~10月
耐寒性 強(-25℃ぐらいまで) 強(-25℃ぐらいまで) 中(-5℃ぐらいまで) やや弱(0℃ぐらいまで) 弱(5℃ぐらいまで)
栽培適地 北海道~本州中部以北、西日本高冷地 北海道~九州・沖縄 本州(東北南部)~九州・沖縄 本州(関東以南)~九州・沖縄 本州南部から九州の無霜地帯・沖縄
代表品種 ヒドコート
ナナ・アルバ
インペリアル・ジェム
グロッソ
アラビアンナイト
スーパー
バレリーナ
キューレッド
ウィンター・ビー
ロイヤル・クラウン
モネ
ハーモニー
トーチブルー
トーチミンティーアイス


ラベンダーの育て方



◯栽培環境 
日当たりと風通しのよい場所で育てます。高温多湿や蒸れを嫌うため、梅雨など長雨が続く時期は、できるだけ雨の当たらない場所で管理しましょう。

◯植え付け 
植え付けの適期は春と秋です。庭植えにする場合は、株が育ったときに蒸れないよう、株間を30cmほどあけて植え付けます。

植え付け後はたっぷりと水を与え、根づくまでは土を乾燥させすぎないように管理してください。

◯鉢植えと植え替え 
鉢植えには、5号程度の中深鉢やプランターを使用します。用土は、赤玉土(小粒)7:腐葉土またはピートモス3の混合土など、水はけのよいものが適しています。

ラベンダーは根詰まりを起こしやすいため、鉢植えでは毎年植え替えるのがおすすめです。植え替えは春または秋に行い、一回り大きな鉢へ移します。

◯水やり 
鉢植えは、土の表面が乾いてから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。

常に土が湿った状態にすると根腐れを起こしやすいため、水の与えすぎには注意しましょう。鉢皿にたまった水も、そのままにせず捨ててください。

◯肥料 
鉢植えでは、植え付け時にマグァンプなどの緩効性化成肥料を元肥として土に混ぜます。生育期には、ハイポネックスなどの液体肥料を10日に1回程度与えるのも効果的です。

庭植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料または有機質肥料を施します。肥料の与えすぎは株が軟弱に育る原因になるため、適量を守りましょう。

◯花後の剪定 
花が咲き終わったら、花茎の付け根に近い葉の上で切り取ります。早めに花がらを切ることで株の消耗を抑え、品種によっては返り咲きも楽しめます。

四季咲き性のあるフレンチラベンダー、フリンジラベンダー、レースラベンダーは、花が終わるたびに花がらを切り取ってください。

◯種類別の剪定
剪定の適期と方法は、ラベンダーの種類によって異なります。

イングリッシュラベンダー・ラバンディン

7~8月頃に、株の内側で混み合っている枝や細い枝を間引き、風通しをよくします。

10月頃には、伸びた枝を切り戻し、株を低めの球形に整えます。ただし、葉のない古い枝まで深く切ると芽が出にくくなるため、緑の葉を残して剪定しましょう。

フレンチラベンダー・フリンジラベンダー・レースラベンダー

10月頃に株全体の3分の1程度を刈り込み、高さを抑えます。さらに3月頃、生育が始まる前に枝を切り戻し、株姿を整えます。

いずれの場合も、葉が残っている位置で切ることが大切です。


◯病害虫 
アブラムシがつきやすいため、新芽や花茎をこまめに確認しましょう。見つけた場合は早めに取り除くか、適用のある薬剤で防除します。

高温で乾燥する時期には、葉の裏にハダニが発生することがあります。株の状態をよく観察し、発生した場合は適用のある殺ダニ剤を使用してください。

また、高温多湿で風通しが悪くなると、うどんこ病や灰色かび病が発生しやすくなります。混み合った枝を間引き、枯れ葉や花がらを取り除いて、株を清潔に保ちましょう。



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