栽培ガイド

最終更新日:2026/09/14

花を愛で、実りを味わう。庭で楽しむ実梅のある暮らし


早春、まだ花の少ない庭に香りのよい花を咲かせ、初夏にはみずみずしい実を結ぶ実梅。季節の移ろいを感じながら、花と収穫の両方を楽しめる果樹です。採れた実は、梅酒や梅干し、梅シロップ、ジャムなどに加工でき、自宅で育てた梅ならではの味わいを楽しめます。

梅の原産地は中国中部で、約3、000年前から実を利用するために栽培されてきました。日本へは奈良時代に伝わり、当初は主に花を観賞する植物として親しまれていましたが、江戸時代になると果樹としての栽培も広まりました。

実梅の品種は、果実の大きさによって、果重5gほどの「小梅」、使い勝手のよい「中梅」、果重70gにもなる「大梅」に分けられます。梅干しや梅酒、梅シロップなど、作りたいものに合わせて品種を選ぶのも実梅栽培の楽しみです。庭に一本植えて、春の花と初夏の実り、そして季節の手仕事を楽しんでみませんか?

【基本情報】


学名 Prunus mume
分類(科名) バラ科
開花期 (12~)2月~3月
収穫期 6月
高さ 3m~5m
性状 落葉小高木
水分 ふつう
耐寒性 強い(-20℃ぐらい)
日照 日向
結実性 基本的に自家結実しないので受粉樹が必要


【見どころ・人気種】


中梅と大梅は梅干しや梅酒、梅シロップ、ジャムなどに、小梅はおもに梅漬けに使われます。
小梅には「甲州小梅」「竜峡小梅」、中梅は「白加賀」「養老」「南高」、大梅は「豊後」「露茜」などがあります。
「白加賀」「南高」「露茜」などの品種は自家結実性がありません。実をつけるためには受粉用に異なる品種を近くに植えましょう。

大梅系


豊後(ぶんご)
アンズとの交雑種とされる大果品種。果肉が厚く、梅干しや梅酒、ジャムなどに向きます。淡い桃色の花も美しく、花と実の両方を楽しめます。

玉英(ぎょくえい)
大粒で果肉が厚く、実の品質に優れた品種。梅酒や梅干し、梅シロップなどに利用できます。

鶯宿(おうしゅく)
果肉が硬く、梅酒に適した大果品種です。桃色の一重花も美しく、自家結実性があるため1本でも実がなりやすいのが特徴。花粉が多く、ほかの梅の受粉樹にも適しています。

露茜(つゆあかね)
梅とニホンスモモの交配種で大果品種。熟すと果肉まで鮮やかな赤色に染まり、美しい紅色の梅酒や梅シロップ、ジャムを作れます。自家結実性がなく、開花期の合う受粉樹を近くに植えます。開花の遅い梅の「白加賀」「八郎」、または開花の早いアンズの「ゴールドコット」「ニコニコット」「おひさまコット」が適しています。露茜は梅とアンズの中間頃に咲くため、遅咲きの梅と早咲きのアンズを両方植えると、開花時期のずれにも対応しやすくなります。

中梅系


南高(なんこう)
大粒で果肉が厚く、皮が薄い実梅の代表品種。梅干しに特に人気があり、梅酒や梅シロップにも利用できます。受粉樹は「白加賀」「稲積」が適します。

白加賀(しろかが)
果重30~40gほどの晩生大果種。実が大きく、梅干し・梅酒・梅ジャムなど幅広く利用できます。花粉が少ないため、受粉樹を近くに植えると収量が安定します。受粉樹は「南高」「鶯宿」「梅郷」「稲積」などが適しています。

養老(ようろう)
果実の品質がよく、梅干しや梅酒などに向く中梅。安定して実を収穫するには、開花期の合う異品種を一緒に植えます。花粉の多い「稲積」や、「梅郷」「鶯宿」「花香実」がおすすめです。

花香実(はなかみ)
桃紅色の華やかな八重花を咲かせ、花梅のような美しさも楽しめる品種。梅干しや梅酒に利用できます。自家結実性が高く、花粉も多いため、1本でも実がなりやすく、ほかの梅の受粉樹にも適しています。

稲積(いなずみ)
富山県生まれの耐寒性に優れた実梅で、梅干しに適しています。自家結実性が高く豊産性で、花粉も多いため、南高や白加賀などの受粉樹にもおすすめです。

小梅系


甲州小梅(こうしゅうこうめ)
山梨県を中心に古くから栽培されてきた小梅の代表品種。小粒で果肉が締まり、カリカリ梅や梅漬け、梅干しに適しています。早生で収穫量が多く、家庭でも利用しやすい品種です。自家結実性があり、花粉も多い品種。

竜峡小梅(りゅうきょうこうめ)
長野県で育成された小梅品種。実は小粒ながら粒ぞろいがよく、果肉が厚いため、カリカリ梅や梅漬け、梅干しに。比較的実つきがよい品種です。自家結実性があり、花粉も多い品種。他の品種の受粉樹にもなります。

【育て方】


■植え付け
植え付けの最適期は落葉期の12月~3月。日当たり・水はけ・通気性のよい場所で栽培します。

■鉢植え栽培
実梅は鉢植えでも栽培できます。
用土は赤玉土(中粒)1に腐葉土1の混合などがおすすめです。

■水やり
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりをしましょう。

■肥料
11~2月にたい肥、油かす、鶏糞などの有機質肥料または化成肥料を元肥(寒肥)として施します。
5月ごろ幼果が目立ちはじめたら果実の生長を促すためにリン酸、カリを主体とする化成肥料を追肥しましょう。

■剪定
枝を間引いたり、切り返し剪定をしたほうがよく結実します。ただし、剪定をしすぎると徒長枝が多く出るので注意しましょう。



■摘果
実が多すぎると品質が低下するため果実が小さいうちに間引きしましょう。

■収穫:
皮に傷をつけないように手で丁寧に収穫しましょう。

■病害虫対策
果実に黒点ができる「黒星病」の予防のために4~5月ごろトップジンなどの殺菌剤を散布しましょう。
春から夏にアブラムシが発生したらマラソン、スミチオンなどの殺虫剤を散布して駆除しましょう。(アブラムシはウイルス病を媒介するので注意が必要)






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