栽培ガイド

最終更新日:2026/08/27

森のカスタードを庭で育てる ポポーの魅力と栽培ガイド


ポポーは、北米を原産とするバンレイシ科アシミナ属の落葉高木です。バンレイシ科の植物は熱帯地方を中心に分布していますが、アシミナ属は北米の温帯地域に約13種が知られています。

そのなかでもポポーは、北米東部から南部、中西部まで広く自生し、古くからネイティブアメリカンによって果実が食用にされてきました。

花が咲くのは、新葉が展開する少し前です。咲き始めは黄緑色で、次第に深みのある濃紫色へと変化します。モクレンを思わせる大きな葉も美しく、秋には鮮やかな黄色から橙色に紅葉します。自然な趣のある樹形を楽しめるため、果樹としてだけでなく、庭のシンボルツリーにもおすすめです。

果実はアケビに似た長楕円形で、長さ約5~15cm、幅約3~8cm。品種や栽培条件によって大きさが異なり、重さが500gを超えることもあります。熟すと果皮は緑色から黄色がかり、甘く濃厚な香りを放つようになります。

白色から黄色、橙色を帯びる果肉は柔らかく、中にはカキの種に似た大きな黒褐色の種が並びます。味わいは、バナナ、パイナップル、マンゴーを合わせたように濃厚で、カスタードを思わせるなめらかな食感が特徴です。そのまま味わうほか、パイやケーキ、クッキー、アイスクリームなどにも利用できます。

ポポーは、ビタミンCやカリウム、マグネシウム、鉄、マンガンなどを含む栄養価の高い果物としても注目されています。必須アミノ酸を幅広く含み、おいしさと栄養の両方を楽しめる果実です。

一方、果皮が薄く傷みやすいため、完熟した果実は室温では数日ほどしか日持ちしません。冷蔵保存の目安は約1週間で、すぐに食べきれない場合は果肉を取り出して冷凍保存することもできます。

保存や長距離輸送が難しいポポーは、一般の店頭ではなかなか出会えない希少なフルーツです。樹上で育つ姿を眺め、最もおいしい時期に収穫できるのは、家庭栽培ならではの楽しみ。ぜひ庭で育てて、「森のカスタード」と呼ばれる濃厚な味わいをご賞味ください。

【基本情報】


学名 Asimina triloba
分類(科名) バンレイシ科
開花期 4月~5月
収穫期 9月~10月
高さ 3m~12m
性状 落葉高木
水分 ふつう
耐寒性 強い(-30℃ぐらい)
日照 日向~半日陰
結実性 自家結実性なし(受粉樹が必要)


【栽培史】


ポポーはヨーロッパに1822年に導入されました。日本に渡来したのは明治27年ごろで東京の小石川植物園に植栽されました。

果樹としての品種改良は20世紀初頭にアメリカではじまり、果実をさらに大きく、風味をさらに強めるために品種改良がおこなわれました。
アメリカでは、果肉が黄色の早生系統と果肉が白色の晩生系統に大別され、初期の品種としては「フェアチャイルド」「マーチン」などが知られています。

アメリカ・メリーランド州に住む育種家のニール・ピーターソンは1975年からポポーの遺伝資源の収集と交配を開始し、最近、日本でもよく知られるようになった「シェナンドー」「ポトマック」などの優良品種を作出しました。
研究機関での育種も盛んで、ケッタッキー州立大学では1990年から経済栽培のための最先端の育種が行われています。

日本では果樹としての栽培は少なく、果物としての知名度はそれほど高くありませんが、アメリカから改良品種が導入されたことにより人気が急上昇しています。

【見どころ・人気種】


ポポーの品種はアメリカに約40品種があり、そのうち一般に栽培されるのは27~28品種ほどです。日本で栽培される在来種にくらべ最近のアメリカの品種は実が大きく、種の数が少なく、甘く濃厚な味わいが特徴です。

「アレゲニー」はクリーミーイエローの果肉で果重は最大約225g。
「ポトマック」は種の少ない大果品種で果重は最大約340g。
「シェナンドー」は果重が最大1ポンド(約450g)になる極大果で、甘みが多くクリーミーイエローのカスケータードのような果肉。
「サスケハンナ」は非常に甘く豊かな風味で種はほとんどなく、果重は最大1ポンド(約450g)を超える極大果。
「ワバッシュ」は果重約225~340gの大果を豊富につけバナナのようなフルーティーな香りがあります。

ポポーは自家結実性がないので必ず別の品種を混植する必要があります。「サンフラワー」は自家結実性があるという説がありますが、ポポーの木が少ない日本では受粉樹があったほうが実がよくつきます。

【育て方】


■植え付け
植え付けの最適期は落葉期の11月~3月上旬。日当たり・水はけ・通気性のよい場所で栽培します。日当たりの良い場所を好みますが半日陰でも育ちます。
植え穴は深さ50~70㎝ほど掘り、元肥として腐葉土や完熟堆肥を土によく混ぜてから植え付けます。
植え付けたあとはたっぷりと水を与え、乾燥防止のために藁などでマルチングを施し、株がぐらつかないように支柱を立てます。

■鉢植え栽培
ポポーは鉢植えでも栽培できます。大きく育つため8~10号の中深鉢を用い、用土は赤玉土(中粒)7に腐葉土3の混合で植え付けます。

■水やり
露地植えの場合は雨が降らず高温乾燥が続くとき以外は必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりをします。

■肥料
1月~2月に寒肥を施し、5~6月に追肥、9~10月にお礼肥を与えます。
露地植えの場合は堆肥などの有機質肥料か即効性の化成肥料。鉢植えの場合は果樹用の配合肥料を与えます。

■剪定
カキやリンゴと同じように変則主幹仕立てにします。植え付けから4~5年は主幹を上にまっすぐ伸ばし、主幹が高さ1.5mぐらいになったら先端を切り戻して樹形を作ります。
主枝と側枝を残し、徒長枝、内向枝、重なり枝は間引き剪定します。

■人工交配
異品種の花粉を人工受粉すると実つきが良くなります。

■摘果
1箇所に多数の実がついている場合は3個ぐらいに摘果します。

■収穫
完熟した実は果皮が薄緑~黄色に変わり自然に落果するので収穫します。

■病害虫対策:
問題になるような病気はほとんどありません。
アブラムシやハダニがつきます。枝が込み入って雨や風が当たりにくくなるとカイガラムシがつくこともあります。










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