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最終更新日:2026/09/14
夏の庭を彩る、華やかなノリウツギ

ノリウツギは、日本を中心に朝鮮半島や中国東北部、ロシア沿海州にも分布するアジサイの仲間です。山地の草原や海岸沿いなど、明るく開けた場所に自生する丈夫な落葉低木で、日当たりのよい庭にもよくなじみます。
名前の由来は、かつて幹の内皮から製紙に使う糊を作ったことから。「ノリノキ」とも呼ばれ、江戸時代には「唐あぢさゐ」の名でも親しまれていました。
見頃は、一般的なアジサイより少し遅い7~8月頃。枝先にふんわりとした円錐形の花房をつけ、涼しげな白い花が夏の庭を明るく彩ります。品種によっては、咲き進むにつれて淡いピンクや深みのある紅色へと変化し、長く美しい花姿を楽しめるのも魅力です。
古くから栽培されてきた「ミナヅキ」をはじめ、紅色の花を楽しめるものや、大きく華やかな花房をつけるものなど、さまざまな品種があります。庭植えはもちろん、大きめの鉢で育てても存在感があり、ナチュラルガーデンから洋風の庭まで幅広く活躍します。
欧米では「ピージー・ハイドランジア」と呼ばれ、庭園を彩る代表的な花木として高い人気を誇ります。暑い季節に爽やかな花を咲かせ、花色の移ろいまで楽しませてくれるノリウツギ。夏の庭の主役として、ぜひ育ててみたい花木です。
【基本情報】
| 学名 | Hydrangea paniculata |
|---|---|
| 分類(科名) | アジサイ科 |
| 開花期 | 7月~10月 |
| 高さ | 90㎝~2.4m |
| 性状 | 落葉低木 |
| 水分 | ふつう |
| 耐寒性 | 強い(-30℃ぐらい) |
| 日照 | 日向 |
| 特記事項 | 鉢植え・庭植えともに可 |
【栽培史】
ノリウツギは、日本で古くから栽培されてきた花木です。文政12年(1829年)刊行の『草木錦葉集(そうもくきんようしゅう)』には、「金王唐あぢさゐ布(こんのうとうあじさいふ)」というミナヅキの斑入り品種が紹介されています。「金王」は東京都渋谷区の金王八幡宮に由来し、この品種は江戸中期の宝暦年間(1751~1764年)ごろから栽培されていたとされています。斑のないミナヅキは、さらに古くから親しまれていたと考えられます。
欧米で古くから栽培されてきた代表的な品種には、ミナヅキ、遅咲きの「タルディバ」、大輪の花が白から赤へ変化する「フロリブンダ」があります。ミナヅキは1860~1870年ごろにヨーロッパへ、1862年にはアメリカへ導入されました。アメリカでは公園などに大規模に植栽され、東部やカナダの一部では野生化しています。
1950~1970年代には、ベルギーのベルダー夫妻が育種を進め、「ブリュッセルレース」「ユニーク」「ホワイトモス」「ピンクダイヤモンド」などを作出しました。
現在はアメリカでの育種が盛んです。なかでも、ミシガン州のスプリングメドウナーセリーが育成した「ピンキー・ウィンキー」「ボボ(現在のミニホイップ)」「ファイア・ライト」などは、欧米でも高い人気を集めています。
【見どころ・人気種】
ノリウツギは、その年に伸びた枝の先に花を咲かせる「新枝咲き」の花木です。一般的なアジサイは前年の夏から秋に花芽をつくるため、冬の厳しい寒さで花芽が傷むことがあります。一方、ノリウツギは春に伸びた枝に花芽をつくるため寒さに強く、北米やカナダのような寒冷地でも花を楽しめます。
剪定時期を選びやすいのも魅力です。一般的なアジサイは秋以降に剪定すると翌年の花芽を切ってしまうことがありますが、ノリウツギは花後から落葉期、春の芽吹き前まで、好みの高さに剪定できます。
花は2~3か月にわたって楽しめます。咲き始めは白やライムグリーンで、日が短くなり夜間の気温が下がるにつれて、ピンクや赤へと美しく変化します。この色の変化は土壌酸度によるものではありません。花もちがよく、切り花やドライフラワーにも利用できます。
ノリウツギには120を超える品種があり、コンパクトな鉢植え向きから、庭のシンボルツリーになる高性種まで、用途に合わせて選べます。
◯ミニホイップ
樹高90cm前後のコンパクトな品種で、白い花が次第に淡いピンクへ変化します。
◯マキシファイヤーライト
樹高2.4m前後になる高性種です。白い花がピンクを経て鮮やかな赤へと変化し、庭のシンボルとしても存在感を発揮します。
◯ミニファイヤーライト
ノリウツギのなかでも特に小型の品種です。花色はライムグリーンから淡いピンク、さらに濃いピンクへと変わります。
◯グランデクイックファイヤー
樹高1.5m前後。白からピンク、濃いピンクへと変化する花を長く楽しめます。
◯グランデライムチーク
樹高1.5m前後で、ライムグリーンの花が次第にピンクへ色づきます。
◯グランデライムパンチ
樹高1.5m前後。ライムグリーン、白、淡いピンク、濃い赤へと変化し、時期によっては1株の中に複数の花色が混ざり合う華やかな人気品種です。
◯バニラフレーズ
咲き始めはバニラのような白色でその後にピンクに変化するコンパクトな品種です。
◯ファントム
初夏から秋までピラミッド状の花が楽しめ、咲き始めはクリーミーホワイトで後に純白となり、秋にはピンクを帯びます。花穂は約20~30cmほどにもなり、ノリウツギの中でも最大級です。

【育て方】
■栽培環境
日当たりと風通しが良く水はけの良い場所で栽培します。
■植え付け
真夏と真冬以外はいつでも行えますが、落葉している休眠期が最適期です。
植え穴は深さ20~30㎝ぐらい掘り、ピートモスや腐葉土を土によく混ぜ、根鉢を3分の1ぐらい崩し土とよくなじませるようにして植え付けます。
■鉢植え栽培
鉢植えの場合は、中深の鉢を使い赤玉土(小粒)7に鹿沼土(小粒)3の割合で混合して植え付けます。
生育が旺盛で根詰まりしやすいので毎年植え替えをしましょう。
■水やり
露地植えの場合は活着したあと水やりは不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しすぎた場合は潅水しましょう。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたときにたっぷりと与えます。
■肥料
露地植えの場合は、元肥として緩効性の有機質肥料を施します。花後に即効性の化成肥料を追肥しましょう。
鉢植えの場合は、植え替え時に元肥としてマグアンプを土にまぜ、花後に発酵油粕の固形肥料を置き肥します。ハイポネックスなどの液肥を10日に1回ぐらい与えるのも効果的です。
■整枝・剪定
休眠期のあいだに剪定をおこないます。
1~2年目のうちは込み合った枝や弱い枝の剪定にとどめます。
3~4年目以降は枝の先端部を切り詰めて新梢の長さを調節します。
花が満開になると重みで茎が倒れやすくなるので支柱をしましょう。
■病気害虫
春から夏にうどんこ病が発生することがあります。殺菌剤を散布して防除しましょう。
4月ごろ新芽にアブラムシや蛾の幼虫がつくことがあります。捕殺するか殺虫剤で駆除しましょう。
