栽培ガイド

最終更新日:2026/08/28

春を告げる鈴なりの花 アセビ(馬酔木)の魅力と栽培ガイド


アセビは本州の宮城・山形県以南・四国・九州の山地に自生するツツジ科の常緑低木で、中国・台湾にも分布しています。早春にスズランのような白い壺形の花をたくさん咲かせ紅茶色の新葉には艶があり、古くから庭園樹として栽培されます。
丈夫で病虫害に強く、成長もゆっくりなので管理しやすく、庭園樹としておすすめです。

枝葉は有毒で馬がこれを食べると酔ったようになることから馬酔木という漢名が生まれたとされます。古名は「あしび」で、『万葉集』にはアセビの和歌が10首掲載されています。邪気を払う植物として正月飾りや仏花に使う地方もあります。

アセビ属は東アジア・ヒマラヤ・北米東部・キューバに8種が分布し、日本にはアセビ、アマミアセビ、リュウキュウアセビの3種が分布します。

沖縄本島に自生するリュウキュウアセビは、花が筒形で大きく、絶滅危惧1A類に指定されています。
奄美大島に自生するアマミアセビは、鹿児島県の絶滅危惧1類に指定されています。
海外の種類では、北米東南部に分布するアメリカアセビとヒマラヤ~中国南西部に分布するヒマラヤアセビも庭園樹として栽培されます。

【基本情報】


学名 Pieris japonica
分類(科名) ツツジ科
開花期 3月~4月
高さ 1m~3m
性状 常緑低木
水分 ふつう
耐寒性 強い(-25℃ぐらい) アマミアセビとリュウキュウアセビは弱い(0℃以上)
日照 日向~半日陰
特記事項 鉢植え・庭植えともに可


【栽培史】


アセビは古くから生垣や庭木に利用されてきました。江戸染井の植木屋伊兵衛三之丞が1695年に著した『花壇地錦抄』には「馬酔木」「花は青白く黄色の様にてふぢ(藤)のごとくにさがりて見事なり」とあります。

江戸中期~後期に斑入りの園芸品種があらわれ、1827年に刊行された繁亭金太編『草木奇品家雅見』には、フクリンアセビの元祖ともいえる「朝比奈あせぼ」「下りあせぼ」の名が記され、白掃込斑の入る「(榊原出)大葉あせぼ」が図示されています。

アセビの園芸品種には花が淡紅色のウスベニアセビ(別名アケボノアセビ)、葉の長さが2㎝内外で細葉のヒメアセビ(別名チャボアセビ)などもあり、これらも日本では古くから栽培されています。

アセビは1806年にヨーロッパに導入され、フクリンアセビは1860年にシーボルトがヨーロッパに導入しました。若葉の色が鮮やかな赤色のヒマラヤアセビは1910年にヨーロッパに導入されました。ヒマラヤアセビは耐寒性が弱いので品種改良され、耐寒性の強い園芸品種が育種されました。

【見どころ・人気種】



「野生の基本種(原種)」アセビ、といえば一般的にはこの白花種をさします。庭園樹、公園樹など広く植栽されています。

「クリスマスチアー」戦前に日本で選抜されたウスベニアセビの代表品種です。花つきがよく樹形もコンパクトで、鉢植えにも適しています。開花時の気温が高いときは花色が薄くなり白に近くなります。

「フレーミングシルバー」1985年にオランダで作出された樹高1m内外のコンパクトな斑入り品種です。葉は最初赤色で、サーモンピンクになり、夏以降は白覆輪に変わります。

「スカーレットオハラ」一般的なアセビよりもひと回り大きな白い花を房状に咲かせる品種です。花数が多く、満開になると枝を覆うような見事な姿を楽しめます。赤みを帯びた新芽も美しく、花後まで観賞価値があります。

「バレーバレンタイン」濃い赤紫色の花を下向きの房状に咲かせる品種です。樹高60~120cmほどのまとまりやすい樹形で、新芽はブロンズ色、成葉は光沢のある濃緑色になります。花色と葉色のコントラストが美しく、庭植えにも鉢植えにも適しています。

「屋久島アセビ」樹高1m内外にコンパクトにまとまるわい性品種です。花つきがよく、白い花をつけた花穂が上向きに立ち上がるのが特徴です。小型で扱いやすく、鉢植えや盆栽にも適しています。

「琉球アセビ」沖縄本島などに自生する品種です。本土の原種アセビより大きく美しい壺形の花を房状にたくさん咲かせます。



【育て方】


■栽培環境
日向から半日陰の風通しがよく水はけの良い場所で栽培します。ツツジ科なので根は浅く張り、酸性土壌を好みます。

■植え付け
真夏と真冬を除けばいつでも可能ですが、10月~12月と新芽が伸びだす前の3月上旬~4月が最適期です。
根鉢の2倍ぐらいの直径と深さの植穴を掘り、ピートモスや腐葉土を混ぜ、根鉢を3分の1ぐらい崩して土とよくなじむように植え付けます。
多湿を嫌うので根鉢が地面より少し高くなるようにしましょう。

■鉢植え栽培
中深鉢を用い赤玉土(小粒)7に鹿沼土(小粒)3の混合で植え付けます。根詰まりを防ぐため1~2年ごとに植え替えをしましょう。

■水やり
露地植えの場合は活着したあとの水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたときにたっぷりと与えます。とくに夏は乾きやすいので水ぎれに注意しましょう。

■肥料
2~3月に緩効性化成肥料か有機質肥料を施します。
花後の5~6月にも緩効性化成肥料か有機質肥料を追肥します。

■整枝・剪定
刈り込みは新梢の生長が止まった5~6月におこないます。
蕾は秋にできるので秋以降はできるだけ剪定をしないようにします。

■病気害虫
葉に褐色の斑点ができる炭そ病が発生することがあります。罹病した葉は早めに摘み取り、ベンレートやトップジンなどの殺菌剤を散布して感染の拡大を防ぎましょう。
グンバイムシがつくと葉が白く脱色したようになります。マラソンやオルトランなどの殺虫剤を散布して駆除しましょう。





このガイドに関する商品