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最終更新日:2026/07/17
キキョウ(桔梗)

キキョウはキキョウ科の多年草で、北海道から南西諸島までと朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に分布します。
日当たりの良い草原に自生しますが、今ではそのような環境が激減したため、国内の野生種は絶滅危惧種とされています。
キキョウは薬用としても有用な植物で、根を乾燥させたものを「桔梗根」と呼び、漢方の重要な薬とされています。
キキョウの名は中国名の「桔梗」に由来し、平安時代の『本草和名』(918)や『和名抄』(931~938)には、キキョウの和名として「ありのひふき」という名も記載されています。
古くから多くの歌人・俳人に愛でられ、『万葉集』の中で山上憶良によって詠まれた秋の七草のうち、「朝貌」(あさがお)はキキョウのことであるというのが現在の定説となっています。
文様としても用いられ、美濃の土岐氏や明智氏の家紋は桔梗をデザインしたものです。
蕾が風船のように膨らむことから、欧米ではバルーンフラワーと呼ばれます。
【基本情報】
| 学名 | Platycodon grandiflorus |
|---|---|
| 分類(科名) | キキョウ科 |
| 開花期 | 6月~9月 |
| 高さ | 40㎝~120㎝ |
| 性状 | 多年草 |
| 水分 | 少なめ |
| 耐寒性 | 強い(-30℃ぐらい) |
| 日照 | 日向 |
| 特記事項 | 鉢植え・庭植えともに可 |
【栽培史】
キキョウは古くから栽培され、江戸時代には現在も見られる二重咲きや絞り咲きなど、多様な園芸品種が栽培されていました。
水野元勝が寛文4(1664)年に著した日本最古の園芸書『花壇綱目』(かだんこうもく)には、単色咲きの「桔梗」と複色咲きの「仙臺桔梗」が収録されています。
桔梗は「花八重一重、白、浅黄、こき紫、しぼりあり」と記載され、花形は一重と八重(現在の二重?)の2種類で、花色には白、浅黄(水色に近い淡青色)、濃紫、絞り咲きがあったことがわかります。
仙臺桔梗は「花白に紺飛入」とあり、現在も見られる白地に紺色の飛び入り絞りが入る複色咲きのキキョウのことであると考えられます。
江戸染井の植木屋伊兵衛三之丞が元禄8(1695)年に著した『花壇地錦抄』(かだんじきんしょう)には、「扇子桔梗」「仙臺」「牡丹」「二重仙臺」「るり八重」「白二重」「紫二重」「かき色」の8品種が記載されています。
「かき色」は「うすかきのやうに見ゆる自然にふたへもさく」とあり、薄い赤茶系の花で一重と二重が咲き分ける品種のようですが現存しません。
越中富山藩10代藩主前田利保の命で編纂され、嘉永6(1853)年に序文が書かれた植物図譜『本草通串証図』(ほんぞうつうかんしょうず)には14種類が多色刷りで収録されています。
なかでも花弁が黄色い「黄花桔梗」、緑色狂弁の「青花鬈辨(けんべん)桔梗」、四重咲きの「千葉桔梗」、花冠が基部まで裂けて兎の耳のような形になる「兎耳桔梗」、超丸弁で皿のように平開する「紫花紋桔梗」「白花紋桔梗」、桃花の縮緬葉で矮性の「淡紅縮葉桔梗」、白花で髭のようなかすれ模様が入る矮性の「矮生黲花(さんか)桔梗」、鋸葉で茎が地面を這う「蔓生桔梗」は、現在では到底見ることのできない幻の品種です。
※本イラストは江戸時代の植物図譜『本草通串証図』を参考に、AI技術により再構成したイメージです。


【見どころ・人気種】
キキョウの野生種と在来種は7月~9月ごろに開花しますが、市販されているキキョウの多くは夏前の5~6月に開花する早生のサミダレギキョウです。
サミダレギキョウは草丈がやや低く、青、白、桃の3色があります。
在来の遅咲きの系統には、青、白、桃、白地紫絞りのほかに、あずき色、濃紫、白地桃絞り、白地あずき絞りなどが知られています。
花形は一重と二重があります。
二重を実生すると希に江戸時代の「千葉桔梗」のような三重、四重の個体もあらわれますが形質は安定しません。
風船のような形の蕾が開ききらずに咲きおわる、袋咲きの「小町」も古くから栽培されています。
「小町」にも青、白、桃の3色があります。
キキョウには葉の変異種もあります。
江戸時代には、主脈と側脈が地より高く突き出る葉芸を「縮緬」、主脈と側脈が地にくらべ低くなる葉芸を「鵜頭」(うず)と呼びました。
ウズギキョウは、小葉で主脈と側脈が地より低くなる葉変わり品種です。
一時はほとんど見られなくなりましたが、近年、実生により復活しました。
葉の節間が詰まった矮性種で、花色は青、白、桃などさまざまです。
キキョウは江戸時代の先達によって育種された貴重な植物遺産です。
あずき色から赤みの濃い品種を作り出すことには成功していませんが、交配を続けることで、黄花や青花(緑色)、つる性など江戸時代に存在した品種が再現できる日がくるかもしれません。
【育て方】
■栽培環境:
年間を通じて日当たりと風通しの良い場所で栽培します。
■植え付け:
10~11月が最適期で、春にもおこなうことができます。
水はけの良い場所であればどこでも育ちますが、肥沃な粘質土壌が最適です。
■鉢植え栽培:
背が高くなるので、中深鉢を用いて赤玉土(小粒)7に腐葉土3の割合で植え付けます。
1年で根がいっぱいになるので、株分けをかねて毎年植え替えます。
■水やり:
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。
露地植えの場合は活着したあと水やりは不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しすぎた場合は潅水しましょう。
■肥料:
植え付けのときにマグアンプなどの緩効性の化成肥料を元肥として土にまぜます。
鉢植えの場合は、5月~9月の開花期にハイポネックスなどの液肥を10日に1回ぐらい水やりがわりに与えます。
■剪定:
花後すぐ切り戻しをおこなうと2番花が楽しめます。
■病気害虫:
春ごろ葉にアブラムシがつくことがあります。
高温期にはハダニが発生するので殺ダニ剤を散布して防除します。
ナメクジも葉や花を食害するので見つけたら駆除します。
梅雨時など高温多湿の時期にうどんこ病が発生します。殺菌剤を散布して防除しましょう。
