栽培ガイド

最終更新日:2026/09/03

不思議なつぼが美しい!サラセニアとウツボカズラの育て方


筒やつぼのように変化した葉で虫を捕らえる、サラセニアとウツボカズラ。食虫植物ならではの不思議な姿に加え、赤や緑の模様、美しく波打つふたや縁など、観葉植物としても見応えがあります。

どちらも湿った環境を好みますが、育て方は同じではありません。サラセニアは戸外の日光と冬の休眠を好む温帯植物、ウツボカズラは暖かく湿度のある環境を好む熱帯植物です。この違いを押さえることが、元気に育てる一番のポイントです。

「つぼ」は花ではなく葉



虫を捕らえる筒やつぼの部分は、花ではなく変化した葉です。内側へ入った虫が滑り落ち、消化液によって分解され、養分として吸収されます。

ただし、虫だけを栄養にしているわけではありません。ほかの植物と同じように日光を受けて光合成をするため、虫を与えることより、種類に合った光・水・温度を整えることが大切です。

サラセニアとウツボカズラの違い




サラセニアの育て方


◯置き場所

春から秋は、戸外の日当たりと風通しのよい場所で育てます。日光が不足すると筒が細く倒れやすくなり、品種本来の赤色や模様も出にくくなります。

購入直後は明るい日陰から始め、徐々に日光へ慣らしてください。室内では光量が不足しやすいため、基本的には屋外栽培がおすすめです。

◯水やり

鉢の下に受け皿を置き、1~3cmほど水をためる腰水で管理します。用土を完全に乾かすと株が急激に弱るため、特に春から秋は水切れに注意してください。

雨水や純水など、肥料分やミネラル分の少ない水が適しています。真夏は受け皿の水が熱くならないよう、こまめに交換します。

◯冬越し

冬は地上部の一部が枯れ、地下茎で休眠します。枯れたように見えても、株元がしっかりしていれば問題ありません。

暖地では戸外で冬越しできます。強く凍結する地域では、無加温の温室や軒下など、凍結を避けられる寒い場所で管理します。暖房の効いた室内へ入れず、自然に休眠させましょう。

ウツボカズラの育て方


◯置き場所

レースのカーテン越しの日光が当たる窓辺や、戸外の明るい日陰で育てます。強い直射日光では葉焼けしやすい一方、暗すぎる場所では新しいつぼができません。

春から秋は、最低気温が15℃以上になったら戸外の半日陰へ出すこともできます。風に強く揺さぶられる場所は避けてください。

◯水やりと湿度

用土の表面が乾き始めたら、鉢底から流れ出るまで水を与えます。サラセニアのように常時深い腰水にすると、根腐れしやすくなるため注意します。

空中湿度が高いほどつぼができやすくなります。乾燥する季節は、周囲へ霧吹きをしたり、ほかの観葉植物とまとめて置いたりして湿度を補います。ただし、葉が常に濡れた状態になる密閉環境は避け、風通しも確保しましょう。

◯冬越し

ウツボカズラは寒さに弱いため、秋に最低気温が15℃を下回る前に室内へ移します。明るい窓辺で、最低10~15℃程度を保つのが目安です。

暖房の乾燥した風を直接当てないようにします。冬は生育が緩やかになるため、水やりをやや控えますが、用土を完全に乾かしてはいけません。

用土と植え替え



肥料分を含まない水ゴケ、または無調整ピートモスに鹿沼土やパーライトを加えた用土を使います。一般的な肥料入り培養土は適しません。

植え替えは春から初夏に行います。細い根を傷めないよう、古い用土を無理にすべて取り除かず、ひと回り大きな鉢へ植え替えます。

肥料や虫は必要?



基本的に肥料は必要ありません。通常の草花用肥料や固形肥料を鉢へ入れると、根を傷めることがあります。

虫を与えなくても、十分な光があれば育ちます。肉、ハム、チーズなどはつぼの中で腐敗するため、入れないでください。屋外では自然に小さな虫を捕らえます。

古くなったつぼの手入れ



つぼは時間がたつと、上部から茶色く枯れてきます。完全に枯れたつぼや筒は、清潔なハサミで付け根から切り取ります。

ウツボカズラのつぼは、一度枯れると同じ葉には作られません。株が元気なら、新しく伸びた葉の先から次のつぼができます。

サラセニアは春に新しい筒を伸ばします。冬に枯れた古い筒は、新芽が動き始める前に整理しましょう。

おすすめのサラセニア



◯サラセニア・プルプレア ベノーサ

ずんぐりした横向きの筒をロゼット状に広げるタイプ。緑の筒に赤い網目模様が入り、株が充実すると重厚感のある姿になります。

◯サラセニア・フィラデルフィア

赤紫色を帯びた筒と、丸く広がるふたが美しい品種。葉色の変化が楽しめ、コンパクトながら存在感があります。園芸ネット掲載商品

◯サラセニア・マルーン

赤からマルーン色に染まる筒が魅力。明るい場所で育てるほど深い葉色が出やすく、緑葉品種と並べてもよく映えます。

◯サラセニア・レイコフィラグリーン

細長い筒をまっすぐ伸ばす、すっきりとした品種。筒の上部に入る繊細な網目模様と、涼やかな緑色を楽しめます。

おすすめのウツボカズラ



◯ネペンテス・グラシリススポート

明るい緑色の小ぶりなつぼに、繊細な模様が入るタイプ。軽やかな姿で、比較的小さなスペースでも楽しめます。

◯ネペンテス・アルボマルギナータ

細長いつぼと、口元の下に入る白っぽい帯が特徴。成熟すると赤褐色のつぼを下げ、吊り鉢で美しい姿を楽しめます。

◯ネペンテス・スキー

赤い斑点が入るつぼと、広がりのある葉姿が魅力。吊り鉢やスタンドに置くと、葉先から下がるつぼを立体的に観賞できます。

◯ネペンテス・ダイエリアーナ

大きく華やかなつぼをつける、存在感のある品種。波打つ口元と赤い模様が美しく、大鉢で豪華な株姿を楽しみたい方におすすめです。



育て方のポイント


サラセニアは戸外の日なたで腰水管理
ウツボカズラは暖かい明るい日陰で、用土を適度に湿らせる
肥料分やミネラル分の少ない水を使う
一般的な肥料や肉などを与えない
サラセニアは冬に休眠させる
ウツボカズラは冬も暖かく、乾燥を防ぐ

「つぼ型の食虫植物」とひとまとめにされますが、サラセニアとウツボカズラでは、特に日照・水・冬越しが異なります。それぞれの性質に合わせれば、新しい筒やつぼが次々と育ち、種類ごとの不思議な造形を長く楽しめます。