栽培ガイド

最終更新日:2026/08/25

ブルーベリー


ブルーベリーはひとつの種類をさす植物名ではなく、果樹として栽培される数種類のスノキ属(Vaccinium)の植物の総称です。20世紀初頭のアメリカで先住民族が採集利用していた複数のスノキ属の植物をもとに栽培化され、大実で香りと甘味が強く、経済栽培に適した栽培品種が作り出されました。

今日、栽培されるブルーベリーの中でもっとも重要な種類は、ハイブッシュ・ブルーベリー(Vaccinium corymbosum)、ラビットアイ・ブルーベリー(Vaccinium ashei)、ローブッシュ・ブルーベリー(Vaccinium angustifolium)の3種類です。

ハイブッシュ・ブルーベリーは北米東部原産の落葉低木で、ノーザン・ハイブッシュ系、サザン・ハイブッシュ系、ハーフ・ハイブッシュ系に分けられ、数多くの栽培品種があります。

ラビットアイ・ブルーベリーは、北米南東部原産の落葉または半常緑低木で、果実が成熟する前にウサギの目のようにピンク色になることから名づけられました。

ローブッシュ・ブルーベリーは北米東北部原産の落葉低木で、樹高が低く、果実は最も小粒で、濃い黒紫色です。果実は機械かレーキを使って収穫され、ほとんどが冷凍されて加工品、ジャム、ワインなどに利用されます。

【基本情報】


学名 Vaccinium corymbosum
Vaccinium ashei
Vaccinium angustifolium 
分類(科名) ツツジ科
開花期 3月~4月
収穫期 6月~10月(系統・品種により異なる)
高さ 15㎝~2.4m(系統・品種により異なる)
性状 落葉低木
水分 ふつう
耐寒性 強い(系統・品種により異なる)
日照 日向
結実性 自家結実性あり(系統により異なる)




【栽培史】


ブルーベリーの育種の元祖はアメリカ農務省の研究者フレデリック・コビルで、20世紀初頭にニュージャージー州で農場を経営するエリザベス・ホワイトの協力のもと北米各地から集めたスノキ属の野生種を交配してブルーベリーの育種をおこないました。

1911年に作出した「パイオニア」はハーフハイブッシュ・ブルーベリー(ハイブッシュ・ブルーベリー×ローブッシュ・ブルーベリー)の最古の品種です。コビルの交配種のうち「ブルークロップ」「ブルーレイ」「アーリーブルー」は今でも世界中で栽培されています。

フロリダ大学のシャープ博士は温暖な気候に特化したハイブッシュ・ブルーベリーの育種をおこない、1976~77年にサザン・ハイブッシュ系として知られる「シャープブルー」「フロリダブルー」「エイボンブルー」の3品種がリリースされました。

アメリカ農務省・ジョージア大学・ノースカロライナ州立大学では1940年代からラビットアイ・ブルーベリーの育種をおこない、1950年代以降「ティフ・ブルー」など実の品質がよく暑さに強く病害虫への抵抗性がある品種が作出されました。

ハイブッシュ・ブルーベリーは昭和26(1951)年、ラビットアイ・ブルーベリーは昭和39(1964)年に日本に導入され、現在までに多数の品種が海外から導入されています。

国内で育成されたハイブッシュ・ブルーベリーには群馬県が育成した「おおつぶ星」「あまつぶ星」「はやばや星」などがあります。「フクベリー」は国内で育成されたラビットアイ・ブルーベリーとしては最も普及しています。

【見どころ・人気種】


日本列島は南北に長く、気候帯は亜寒帯から亜熱帯まで広い範囲におよびます。ブルーベリーは亜寒帯の北海道から暖温帯の九州(奄美大島と屋久島)まで栽培することができます。

ブルーベリーはもとは3種類の異なる植物ですから、耐寒性や耐暑性も系統ごとに異なります。 ブルーベリーを育てるうえでもっとも大切なことは栽培地の気候に合った系統を選ぶことです。どの系統も2品種以上植えることで実の大きさと収量と食味が良くなることも忘れないでください。

ノーザンハイブッシュ系は-30℃ぐらいまで耐寒性がありますが耐暑性はやや劣ります。北海道全域~本州の中部以北、西日本の高冷地が栽培適地です。自家受粉し1本で結実します。

サザン・ハイブッシュ系は-16℃ぐらいまで耐寒性があり耐暑性もあります。北海道渡島半島~九州(奄美地方)までの広い範囲が栽培適地です。自家受粉し1本で結実します。

ラビット・アイ系は-16℃ぐらいまで耐寒性はありますが、花芽が凍害を受けやすいので東北南部以南の暖地が栽培適地です。自家受粉はしないので受粉樹が必要です。

ローブッシュ系は-35℃ぐらいまで耐寒性がありますが耐暑性は劣ります。北海道全域~本州の中部以北、西日本の高冷地が栽培適地です。這性なので積雪の多い地方にも適しています。自家受粉し1本で結実します。

ハーフ・ハイブッシュ系は-35℃ぐらいまで耐寒性がありますが耐暑性はやや劣ります。北海道全域~本州の中部以北、西日本の高冷地が栽培適地です。木がコンパクトなので狭いスペースやコンテナ栽培にも適しています。自家受粉し1本で結実します。

【育て方】


■植え付け:
植え付けの最適期は落葉期の11月~3月上旬。日当たり・水はけ・通気性のよい場所で栽培します。
植え穴は深さ30㎝ほど掘り、ピートモスや腐葉土を土によく混ぜてから植え付けます。
乾燥と雑草の防止のため完熟したバーク堆肥でマルチングすると効果的です。
根張りが浅いので深植えにならないようにしましょう。

■鉢植え栽培:
ブルーベリーは鉢植えでも栽培できます。中深鉢を用い、赤玉土(小粒)1・鹿沼土(小粒)1・酸度無調整のピートモス1の割合で混合した培養土で植え付けます。
根詰まりを防ぐため2~3年おきに植え替えをします。

■水やり:
露地植えの場合は雨が降らず高温乾燥が続くとき以外は必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりをします。

■肥料:
3月に元肥を施し、5月に追肥、9月にお礼肥を与えます。
露地植えの場合は、堆肥などの有機質肥料を元肥に施し、追肥は果樹用の配合肥料を施します。
鉢植えの場合は発酵油粕の固形肥料か果樹用の化成肥料を置き肥します。

■剪定:
根もとからシュートが出て株立ち樹形に育ちます。株が込み合ってきたら株の中心まで日光と風が当たるように古い枝と弱った枝を基部から剪定しましょう。
シュート(徒長枝)は6~7月ごろに先端を切り戻します。花芽は8月ごろ枝の先端につきます。

■人工交配:
異品種の花粉を人工受粉すると実つきが良くなります。

■摘果:
1箇所に多数の実がついている場合は5個ぐらいに摘果します。

■収穫:
完熟した実は果皮が青~黒色に変わるので収穫します。

■病害虫対策:
うどんこ病や灰色かび病が発生するので殺菌剤を散布して防除します。
外来種のチュウゴクアミガサハゴロモが、近年、大発生して被害を与えています。枝の内部に産卵するので枝折れの被害も深刻です。幼虫は殺虫剤で駆除します。成虫は黄色に強く誘引されるので粘着テープで捕殺します。


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