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最終更新日:2026/08/12
サクランボ(オウトウ・桜桃)

サクランボという名称は特定の植物名ではなく、サクラ属(Cerasus)に属する果樹の総称であるオウトウ(桜桃)の一般名です。
オウトウの原種は世界に約20種類があり、ユスラウメやカラミザクラもこれに含まれますが、現在、果樹として世界で栽培されるのは、甘果桜桃(セイヨウミザクラ)、酸果桜桃(スミノミザクラ)の2種類で、日本ではおもに甘果桜桃が栽培されています。
甘果桜桃は欧米ではスイートチェリーと呼ばれ、原産地は中央アジアのトルキスタンとされていますが、現在ではヨーロッパ一帯に野生化し、多くの栽培品種があります。
果実は直径約2.5㎝と大きく、果皮の色は赤、黄、黒紫があり、甘味が強く、生食用と缶詰などの加工用に用いられます。
酸果桜桃は欧米ではサワーチェリーと呼ばれ、セイヨウミザクラとケラスス・フルティコサの自然交雑種といわれています。
果実は直径約2㎝と小さく、果皮の色は赤色で、酸味が強く、ジャムやパイ、リキュール酒などの加工用に用いられます。
カラミザクラは中国の揚子江流域で栽培される暖地向きの種類で、日本では「暖地桜桃」の名で親しまれています。
【基本情報】
| 学名 | Cerasus avium |
|---|---|
| 分類(科名) | バラ科 |
| 開花期 | 4月 |
| 収穫期 | 5月~6月 |
| 高さ | 5m(~20m) |
| 性状 | 落葉高木 |
| 水分 | ふつう |
| 耐寒性 | 強い(-30℃ぐらい) |
| 日照 | 日向 |
| 結実性 | 自家結実性なし(品種によって自家結実性あり) |
【栽培史】
甘果桜桃は有史以前から食用に利用され、1世紀ごろのローマには10種類の栽培品種があったとされています。イギリス、フランス、ドイツなど西ヨーロッパにはローマ帝国時代に伝わり、15~16世紀には盛んに栽培されるようになりました。
アメリカには1620年にメイフラワー号で移住したイギリス人によってマサチューセッツ州にもたらされ、東海岸で栽培がはじまりました。
19世紀後半の西部開拓時代に栽培地が西部へと移動し、現在は中西部のミシガン州で酸果桜桃、西海岸のカリフォルニア州で甘果桜桃が大規模に栽培されています。
日本には明治元(1868)年にブロイセン人のガルトナーがリンゴ、ナシ、ブドウなどとともに北海道に導入したのがはじまりです。その後、欧米から「日の出」「黄玉」「ナポレオン」など多くの品種が導入され、現在は日本でも品種改良が盛んに行われています。
オウトウの栽培は、夏季に雨が少なく冷涼な地域が適しているため、国内で生産されるサクランボのうち約4分の3が山形県で生産され、山梨県や北海道でも栽培されています。
【見どころ・人気種】
甘果桜桃は自家不和合性が強く1本では結実しにくいのでS遺伝子型の異なる品種を組み合わせて植える必要があります。
S遺伝子は自家不和合性を決定づけている遺伝子で、雌しべ(母親)由来の遺伝子と雄しべ(父親)由来の遺伝子との組み合わせにより、S1S2、S3S4のように表現されます。
違う品種であっても同じS遺伝子型の品種(人間にたとえると親子兄弟にあたる)どうしは受粉せず実はつきません。
選んだ品種の遺伝子型を確認して遺伝子型が重ならない品種を受粉樹に選びましょう。

甘果桜桃の中でも「ステラ」や「紅きらり」は例外的に自家和合性があり、1本でも結実するので家庭栽培には最適な品種です。
酸果桜桃とカラミオウトウは自家和合性があるので1本でも結実し、低木性なので鉢植えにも最適です。冬が温暖な西日本ではカラミオウトウ(暖地桜桃)がおすすめです。
近年の気候変動と地球温暖化で、暑さと病虫害に強い甘果桜桃の育成が期待されます。
カラミオウトウとの交雑で低木の甘果桜桃が育成できればサクランボの普及に大きく貢献することになるでしょう。
【育て方】
■植え付け:
植え付けの最適期は落葉期の11月~3月。
日当たり・水はけ・通気性のよい場所で栽培します。
植え穴は深さ50㎝ほど掘り、腐葉土や完熟堆肥を土によく混ぜたら接ぎ木部分が地上に出るように植え付けます。
植え付けたあとはたっぷりと水を与え、乾燥防止のために藁などでマルチングを施し、株がぐらつかないように支柱を立てます。
地面から50~60㎝の高さの芽の上で切り戻します。
■鉢植え栽培:
オウトウは鉢植えでも栽培できます。
8~10号の中深鉢を用い、用土は赤玉土(中粒)7に腐葉土3の混合で植え付けます。
早ければ2年目から実がなりはじめます。
■水やり:
露地植えの場合は雨が降らず高温乾燥が続くとき以外は必要ありません。
■肥料:
落葉後の10月ごろに堆肥などの有機質肥料と緩効性の化成肥料を元肥として施します。
収穫後に即効性の化成肥料を追肥します。
鉢植えの場合も10月と7月に果樹用の配合肥料を与えます。
■剪定:
鑑賞用のサクラと同じように3年以上の太い枝を剪定すると切り口の癒合が悪く枯れ込むので注意します。
接ぎ木1年生苗は1本棒ですので、高さ50㎝内外の芽の上で先端を切り戻します。
1年目に出る枝の2~3本を主枝として残し、冬に先端を切り戻します。
2年目は主枝から出た側枝の先端を6月ごろに切り戻して細い2番枝を出させます。2番枝の先端のほうに葉芽、基部のほうに花芽がつきます。
冬の剪定は、枝が込んでいるところの間引き剪定と伸びすぎた枝の切り戻し剪定にとどめます。
■人工交配:
ハチなどの昆虫により受粉しますが、人工受粉をしたほうが確実です。
■芽かき:
開花前におこないます。1本の枝に複数の花芽がついているときは小さい花芽を摘みとります。
■摘果:
果実が密集しているときは摘果をします。
■雨よけ:
果実の成熟期は梅雨時期にかさなります。果実が雨に当たると裂果がおこるので、樹冠をビニールで覆って雨よけをしましょう。
■収穫:
果皮が赤く着色したときに収穫します。満開日から収穫までの日数の目安は、「佐藤錦」「高砂」は40~45日、「ナポレオン」は50~55日です。
■病害虫対策:
花や果実を腐らせる灰星病と葉に円形の斑点ができて穴があく孔褐斑病の被害が多く発生します。開花直前と収穫前に殺菌剤を散布して防除しましょう。
カイガラムシは5月と8月に殺虫剤を散布して幼虫を駆除します。
コスカシバの幼虫は幹に入って木を枯らすのでヤニを見つけたら樹皮を削り取り幼虫を駆除します。
初夏から秋にかけてハダニが多く発生するので殺ダニ剤を散布して駆除しましょう。
