栽培ガイド

最終更新日:2026/08/13

スモークツリー(けむりの木)


スモークツリーは南欧、中央アジア、ヒマラヤ、中国中部に広く分布するウルシ科の落葉低木または小高木です。羽毛状の花房がハグマ(白熊)と呼ばれるヤクの尾の毛で作る仏具の払子(ほっす)に似ていることからハグマノキとも呼ばれます。

雌雄異株とされることもありますが正しくは雌雄同株で、ひとつの花房の中に雄花、雌花、蕾のままで開かない不稔花が混在しています。花が終わったあと不稔花の花柄が長く糸状に伸び、毛に覆われ、花房全体が羽毛状になって風などで種を散らします。花だけではなく紅葉と樹形も美しいので日本でも庭園樹として人気があります。

ハグマノキ属は世界に約4種があります。分布の中心は中国で、コティヌス・コギグリア(スモークツリー)、コティヌス・ナナ、コティヌス・セチュアネンシスが分布し、北米南東部にコティヌス・オボバトゥスが分布します。コティヌス・オボバトゥスは葉の長さが12㎝にもなり、高さ10m前後の小高木になります。



【基本情報】


学名 Cotinus coggygria
分類(科名) ウルシ科
開花期 5月~6月
高さ 3m~5m
性状 落葉低木(小高木)
水分 ふつう
耐寒性 強い(-25℃ぐらい)
日照 日向
特記事項 鉢植え・庭植えともに可


【栽培史】


中国では黄櫨(おうろ)と呼ばれ、古来、漢方薬に使われていました。ルネサンス期のヨーロツパでは木部と樹皮をヤングフスティックと呼ばれる黄色の染料源として利用していました。

スモークツリーのヨーロッパでの分布域はフランス南部、イタリア、ロシア(コーカスサ地方)、ウクライナ、アルバニア、スロベニア、クロアチアなどで、イギリスには1656年ごろに導入され花を鑑賞するために公園や庭園で栽培されはじめました。北米には19世紀後半に導入され、日本には明治初年に渡来しました。

スモークツリーの園芸品種は19世紀にヨーロッパで最初に作られました。「フォリス・プルプレウス」は19世紀に栽培されていた紫葉品種の元祖です。1885年にヨーロッパ中部で発見された「ペンジュラ」は枝がくねくねと枝垂れる下垂性品種ですが、現存していないようです。

フランスのレオン・シュノーは、19世紀後半から20世紀初頭にヨーロッパ原産のコティヌス・コギグリアと北米原産のコティヌス・オボバトゥスの種間交雑種である「フレイム」を発表しました。「フレイム」は横張り性の樹形で、樹高は最大で5m前後になり、炎のようなオレンジレッドに紅葉する人気品種です。

1978年にイギリスのヒリアーナーセリーのピーター・ダマーは、「ベルベット・クローク」とコティヌス・オボバトゥスを交配させ「グレイス」を作出しました。近年は狭いスペースやコンテナ栽培に適した矮性種がオランダのコルスターで育種され、マジカルシリーズとしてリリースされています。

【見どころ・人気種】


スモークツリーの栽培品種は、緑葉で赤~紫花のプルプレウス・グループと赤~紫葉でピンク~紫花のルブリフォリウス・グループに大別されますが、どちらともいえない中間的な品種も増えています。

「ヤングレディー」は2001年にオランダで発表された緑葉の品種でピンクの花を咲かせる矮性種です。樹形は直立性で、高さと幅は1.2~1.8mになります。

紫葉の品種(ルブリフォリウス・グループ)は「ロイヤルパープル」と「ベルベットクローク」が代表的です。「ロイヤルパープル」は20世紀半ばにオランダで作出されました。濃紫葉で縁に赤~ピンクの覆輪が入り、濃赤色の花をつけます。
「ベルベットクローク」は1962年ごろにアメリカで作出された紫葉品種で「ロイヤルパープル」よりも明るい紫色の葉をつけます。ピンクの花を咲かせ、深紅に紅葉する人気品種です。

黄金葉の栽培品種も最近増えています。1990年にオランダで作出された「ゴールデンスピリット」(別名アンコット)は、高さ2.4m、幅1.8mぐらいになる小形品種です。春は明るい黄緑葉で、6月以降は黄金色に変わり、秋にはオレンジレッドに紅葉します。

【育て方】


■栽培環境:
日当たりと風通しがよく水はけの良い場所で栽培します。

■植え付け:
真夏と真冬以外はいつでも行えますが、落葉したあと11月から新芽が伸びだす3月上旬までが最適期です。
根鉢の3倍ぐらいの直径と深さの植え穴を掘り、ピートモスや腐葉土をよく混ぜ、根鉢の3分の1ぐらいを崩して、土とよくなじませるようにして植え付けます。
ウルシ科の植物ですので漆アレルギーの方は注意が必要です。かぶれを防ぐため手袋やマスクをつけてからさわるようにしてください。

■鉢植え栽培:
鉢植えの場合は、中深の鉢を用い赤玉土(小粒か中粒)7に、腐葉土または鹿沼土3の割合で混合して植え付けます。
根詰まりを防ぐため1~2年ごとに植え替えをしましょう。

■水やり:
露地植えの場合は活着したあとの水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたときにたっぷりと与えます。とくに夏は乾きやすいので水ぎれに注意しましょう。

■肥料:
露地植えの場合は、元肥として冬に緩効性の有機質肥料を施します。花後に即効性の化成肥料を追肥しましょう。
鉢植えの場合は、植え替え時に元肥としてマグアンプを土にまぜ、花後に発酵油粕の固形肥料を置き肥します。

■整枝・剪定:
休眠期のあいだに剪定をおこないます。
夏ごろ枝の先端に花芽がつくので、太い枝は切らずに込み入った枝や弱い枝を間引き剪定しましょう。
樹形を乱す強い徒長枝は切り戻し剪定をしましょう。

■病気害虫:
うどんこ病や炭そ病が発生することがあります。殺菌剤を散布して防除しましょう。
害虫はほとんどつきませんが、蛾の幼虫がついたときは捕殺するか殺虫剤で駆除しましょう。




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