栽培ガイド

最終更新日:2026/06/19

センノウ類


現在はマンテマ属に統合されている旧センノウ属は北半球に約35種があり、日本にはセンジュガンピ、フシグロセンノウ、エゾセンノウ、マツモトセンノウ、オグラセンノウ、エンビセンノウの6種が知られています。

センジュガンピとフシグロセンノウは日本固有種で、センジュガンピは中部地方以北、フシグロセンノウは本州~九州に広く分布します。
エゾセンノウ、マツモトセンノウ、オグラセンノウ、エンビセンノウは中国大陸に広く分布しますが、日本での分布は隔離的で、オグラセンノウとエンビセンノウは環境省レッドデータブックの「絶滅危惧種」、エゾセンノウとマツモトセンノウは「危急種」とされています。

センノウとガンピは中国から渡来し、古くから庭園に植えられ、切花にも使われる栽培種です。

マツモトセンノウのルーツについては、長野県松本に自生していたという説、阿蘇に自生するツクシマツモトの改良種とする説、中国から渡来したとする説がありますが、いずれも科学的根拠がなく明らかではありません。
マツモトセンノウは江戸時代に品種改良されて、花色や花形の変わった栽培品種が豊富にありましたが、明治期にそのほとんどが失われてしまいました。

【基本情報】


学名 Silene
分類(科名) ナデシコ科
開花期 6月~10月
高さ 30㎝~90㎝
性状 多年草
水分 ふつう
耐寒性 強い(-25℃ぐらい)
日照 日向~半日陰
特記事項 鉢植え・庭植えともに可


【栽培史】


センノウは600年以上前に中国から渡来し、『浜松図屏風』など現存する数多くの美術品や文献などから、室町時代にはさかんに栽培されていたと考えられます。
センノウ(仙翁花)の語源は定かではありませんが、山城国八瀬の仙翁寺から栽培がひろまったことによるという説があります。

水野元勝が寛文4(1664)年に著した日本最古の園芸書『花壇綱目』(かだんこうもく)には、「仙翁花」(せんおんくわ)の名で記述され、「花白赤也」とあり、江戸前期には赤花と白花が栽培されていたことがわかります。
元文4(1739)年の跋文がある伊兵衛政武による未刊の植物図譜『本草花蒔絵』には、「白仙翁花」「赤仙翁花」「柿仙翁花」「口紅仙翁花」「緋仙翁花」が掲載され、品種が増加しています。

石井勇義著『原色園芸植物図譜』増訂改版下巻(1943年.誠文堂新光社)には、カラー写真でセンノウが掲載され「古くより庭園に栽植され、又最近切花として花屋に見る、殊に関西地方に多い」とあります。

別冊ガーデンライフ『日本の花』(1964年.誠文堂新光社)では「茶花によく使われる花」のひとつにセンノウをあげ、「まれに白花のシロバナセンノウもある」と記されていますが、今日ではその姿を見ることができなくなっていました。
1996年に島根県で栽培されていることが確認され、その後、西日本の10ヶ所で現存していることがわかり、バイオテクノロジーの技術を用いて増殖することに成功しました。

最近の研究により栽培種のセンノウは、中国に分布する2倍体のセンノウに由来する3倍体の植物であることが明らかになりました。

マツモトセンノウは江戸前期から栽培され、江戸中期の元禄のころに白花や絞り咲きがあらわれ、享保のころにはキクやシャクヤクにならぶ流行の草花になりました。

伊藤伊兵衛政武が著し、享保18(1733)年に刊行された『地錦抄附録』には、「伊呂波松本草(いろはまつもとそう)四十八種」と称し、「稲妻」(いなづま)、「鷺宿」(ろしゅく)、「初絞」(はつしぼり)のように品種名のイロハ順に48種類の栽培品種を収録しています。

花色は紅、柿紅、白、桃、黄、紫、白かすり、筋、絞りがあります。咲き形は一重、八重、千重があり、花弁の形には丸弁、細弁、桜弁、撫子弁などがあります。

【見どころ・人気種】


マツモトセンノウには一重と八重があり、花色には、朱紅、深紅、白、桃、絞り咲きがあります。
葉が紫色をおびるもの、斑入りなどの変種もあり、花がない時期にも楽しめます。
開花期は6~7月でセンノウ類のなかでは早咲きです。

フシグロセンノウはマツモトセンノウより花が大きく、花弁に切れ込みが入らないので見分けられます。
朱赤色が基本ですが、白と桃もあります。
マツモトセンノウより開花時期は遅く7~10月に開花します。

オグラセンノウも江戸時代から栽培される植物で、最近は白花も入手できるようになりました。
花弁の先端が深く切れ込む桃紅色の花を7~8月につけます。"

【育て方】


■栽培環境:
センノウ、マツモトセンノウ、ガンピ、オグラセンノウは、年間を通じて日当たりと風通しの良い場所で栽培します。
真夏は寒冷紗やよしずで50%の遮光をすると葉焼けをふせぐことができます。
フシグロセンノウ、エゾセンノウ、エンビセンノウは、高温多湿を嫌うので早春はひなたに置き、5月下旬以降は風通しの良い半日陰の場所で管理します。
センジュガンピは高山植物に近いので年間を通じて半日陰の涼しい場所で栽培しましょう。

■植え付け:
10~11月が最適期で、春にもおこなうことができます。
水はけの良い場所であればどこでも育ちますが、肥沃な粘質土壌が最適です。

■鉢植え栽培:
背が高くなるので、中深鉢を用いて赤玉土(小粒)7に硬質鹿沼土(小粒)3の割合で植え付けます。
1年で根がいっぱいになるので、株分けをかねて毎年植え替えます。
センジュガンピは赤玉土(小粒)7に桐生砂(小粒)3の混合などがおすすめです。

■水やり:
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。
露地植えの場合は活着したあと水やりは不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しすぎた場合は潅水しましょう。

■肥料:
植え付けのときにマグアンプなどの緩効性の化成肥料を元肥として土にまぜます。
鉢植えの場合は、5月~9月の開花期にハイポネックスなどの液肥を10日に1回ぐらい水やりがわりに与えます。

■剪定:
花数を増やし草丈を抑制するために5~6月ごろに適芯します。

■病気害虫:
春ごろ葉にアブラムシがつくことがあります。
高温期にはハダニが発生するので殺ダニ剤を散布して防除します。
ナメクジも葉や花を食害するので見つけたら駆除します。
ネマトーダがつきやすいのでさし芽で株を更新することを忘れずに。
梅雨時など高温多湿の時期にうどんこ病が発生します。殺菌剤を散布して防除しましょう。

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