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最終更新日:2026/09/09
冬の庭を華やかに彩る、ツバキ(椿)の魅力と育て方

ツバキ Camellia
ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木。つややかな常緑の葉と華やかな花を楽しめる、日本を代表する花木です。花の少ない晩秋から春にかけて咲き、冬の庭を明るく彩る花木として古くから親しまれてきました。
赤・ピンク・白をはじめ、絞りや覆輪、斑入りなど花色は実に多彩。花形も清楚な一重咲きから豪華な八重咲き、個性的な唐子咲きまであり、好みに合う一株を選ぶ楽しさがあります。庭植えはもちろん、鉢植えでも育てやすく、さまざまな品種を集めて楽しむのもおすすめです。
日本で古くから愛されてきた花
ツバキ属は東アジアの亜熱帯から暖温帯を中心に分布し、日本にはヤブツバキやユキツバキ、サザンカなどが自生しています。晩秋に白い花を咲かせるチャも、同じツバキ属の植物です。
日本では万葉の時代から親しまれ、平安・鎌倉時代にはすでに花色の異なるものや八重咲きのツバキが知られていました。本格的な品種改良が始まったのは室町時代とされ、江戸時代には京都や江戸で栽培が盛んになり、数多くの園芸品種が誕生しました。
日本のツバキは長崎を通じて海外にも伝わり、ヨーロッパでは貴族の館を飾る高貴な花として人気を集めました。その後、アメリカやオーストラリア、中国などでも育種が進み、現在では世界中で数千もの品種が知られています。
多彩な花色と花形が魅力
ツバキの大きな魅力は、一輪ごとに存在感のある花と、豊富な色・咲き方です。
基本の花色は赤、ピンク、白。さらに、地色に縞模様が入る「絞り」、白い斑点が現れる「斑入り」、花弁の縁に異なる色が入る「覆輪」など、変化に富んだ花がそろいます。
なかには「黒椿」のような深い暗赤色や、「ナイトライダー」のようなチョコレート色を思わせる品種もあります。金花茶の系統を受け継ぐ品種には、淡い黄色やアプリコット色の花を咲かせるものもあります。
花形は、主に次のように分けられます。
◯一重咲き
花弁が5~7枚ほどの、すっきりとした咲き方です。花弁の開き方によって、筒咲き、抱え咲き、ラッパ咲き、平開咲きなどに分けられます。
◯八重咲き
花弁が8枚以上重なる、華やかな咲き方です。
◯千重咲き
非常に多くの花弁が幾重にも重なる、豪華で見応えのある花形です。
◯唐子咲き
おしべが小さな花弁のように変化し、花の中心に集まる個性的な咲き方です。「卜伴」や「白腰蓑」などがよく知られています。

ツバキの育て方
流通するツバキの苗木には、「挿し木苗」と「接木苗」があります。挿し木苗は成長がゆっくりで、自然な育ち方です。接木苗は成長が早く、樹勢も安定します。挿し木では増やしにくい品種や、希少な園芸品種は挿し木で生産されます。
◯植える場所
日当たりと風通しのよい場所が適しています。半日陰でも育ちますが、日照が不足すると花つきが悪くなることがあります。
若い苗や植え付けたばかりの株は、強い日差しや乾燥した風が苦手です。夏の西日や強風を避け、必要に応じて寒冷紗などで保護しましょう。
土質には比較的よく適応しますが、過湿になると根腐れを起こしやすいため、水はけのよい場所に植えることが大切です。
◯植え付け
植え付けの適期は春と秋です。真夏と真冬を避ければ植え付けできますが、気候が穏やかな時期に行うと根づきやすくなります。
植え付けの際に傷んだ根や長すぎる根を切った場合は、枝葉も軽く整理し、根と地上部のバランスを整えます。植え付け後はたっぷりと水を与えてください。
◯水やり
庭植えでは、根づいた後は極端に乾燥する時期を除き、基本的に雨だけで育てられます。植え付け直後や夏の乾燥時には、土の状態を見ながら水を与えましょう。
鉢植えは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えます。夏は乾きやすくなるため、水切れに注意してください。
◯肥料
鉢植えでは、春と秋に発酵油かすなどの固形肥料を置き肥します。一度に多く与えず、商品の表示に従って適量を施しましょう。
◯整枝・剪定
剪定は、花後の4~5月頃が適期です。花が終わった枝から、次の芽が伸び始める前に行います。
ツバキは夏頃に翌年の花芽をつくります。6~9月頃に枝を切ると花芽まで落としてしまい、翌年花が咲かなくなることがあるため注意しましょう。
通常は、混み合った枝、内向きに伸びる枝、枯れ枝などを間引き、風通しをよくする程度で十分です。間引いておくと、チャドクガの幼虫がついた際も見つけやすくなります。
◯鉢植えで楽しむ場合
ツバキは鉢植えにも適しており、庭が狭い場合や複数の品種を集めたい場合にもおすすめです。
鉢はやや深さのある駄温鉢やプラ鉢を使います。用土は、赤玉土と鹿沼土または日向土を同量程度に混ぜた、水はけのよい土が適しています。
根詰まりすると生育が衰えるため、2~3年に一度を目安に植え替えます。植え替え後はたっぷりと水を与え、その後は土の表面が乾いてから水やりをしてください。
◯病害虫に注意
5~6月頃はチャドクガが発生しやすい時期です。幼虫だけでなく、抜け殻や卵に残った毒針毛に触れても皮膚炎を起こすことがあるため、素手では触らないようにしてください。発生初期に、ツバキ類へ使用できる殺虫剤で対処します。
花弁が褐色になって腐るように傷む場合は、花腐菌核病の可能性があります。傷んだ花や落ちた花弁を早めに取り除き、必要に応じて適用のある殺菌剤を使用しましょう。株元を清潔に保ち、風通しをよくすることも予防につながります。

お気に入りのツバキを育ててみましょう
ツバキは、花色や咲き方、開花時期の異なる品種が豊富にそろう花木です。庭植えで季節の景色をつくるのはもちろん、鉢植えでお気に入りの品種をじっくり育てる楽しみもあります。
冬から春の庭を美しく彩る一株を選び、毎年咲く花を楽しんでみてください。