栽培ガイド

最終更新日:2026/03/11

ツバキ(椿)


ツバキ Camellia 

ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木。ツバキ科はツバキ属をはじめナツツバキ属、フランクリニア属、ゴルドニア属など東アジアと北米に9属約500種が知られています。ツバキ属は東アジアの亜熱帯と暖温帯に約150種があり、日本にはヤブツバキ、ユキツバキ、サザンカ、ヒメサザンカの4種とヤクシマツバキ(別名リンゴツバキ)、ホウザンツバキ、ユキバタツバキの3変種が分布しています。ちなみに、晩秋に白い清楚な花を咲かせるチャもツバキ属の植物です。ツバキは、日本をはじめヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、中国で育種がさかんにおこなわれています。園芸品種を系統別にみるとジャポニカ系、サザンカ系、トウツバキ系、金花茶系、雑種系に大別され、世界で登録された品種は5、000にもおよびます。

歴史
ツバキはサクラやツツジとならんで日本原産の代表的な花木です。万葉の時代から日本人に愛され、平安・鎌倉時代にはすでに色変わりや八重咲きの品種があったことが知られています。ツバキの品種改良がはじまったのは室町時代で、京都の公卿のあいだでツバキへの関心が高まり「太郎冠者」(たろうかじゃ)などの品種が作られました。江戸初期の寛永年間を中心に京都と江戸でツバキの栽培がさかんになり、多くの品種が作られ、江戸中期の元禄期に刊行された『花壇地錦抄』(かだんじきんしょう)には206品種、『椿花図譜』(ちんかずふ)には600以上の品種が掲載されています。日本のツバキは長崎を通じて海外へも輸出され、ヨーロッパでは貴族の館などに植えられ、オペラ『椿姫』のように上流階級のあいだで高貴な花として流行しました。明治時代になると日本からアメリカへ多くの品種が輸出され、気候が温暖な西部のカリフォルニアで栽培が広まりツバキブームがおこりました。ツバキの母国である日本では、明治以降、バラなど西洋の花木におされて人気が低迷していましたが、第二次世界大戦後、欧米から洋種ツバキが日本に逆輸入されてきたのをきっかけにツバキブームがおこり、古典的な江戸ツバキの再評価と北陸山陰のユキツバキや熊本県で発達した肥後ツバキの人気拡大につながりました。近年は、中国やベトナムの原種ツバキとの種間交配で黄花ツバキや四季咲きツバキの改良が国際的に進められています。

見所・人気種
ツバキは花一輪が大きく、もっとも変化に富んだ花色と花形をもつ植物のひとつです。花色としては単色の赤、ピンク、白のほかに地色に縞模様が入る絞り、地色に大小の白い斑模様が入る斑入り、地色と異なる色の縁どりが入る覆輪などがあり多彩な変化があります。珍しい花色としては「黒椿」のような暗赤色や「ナイトライダー」のようなチョコレート色と呼べるものもあります。金花茶交配の品種は「初黄」「新世紀」のような淡い黄色または「旋律紅」のようなアプリコット色の花を咲かせます。
ツバキの花形は、一重咲き、八重咲き、唐子咲き、千重(ちえ)咲きに大別されます。一重咲きは花弁が5~7枚で、花弁の開き方により筒咲き、抱え咲き、ラッパ咲き、平開咲きなどに分けられます。八重咲きは花弁が8枚以上あり、千重咲きはさらに花弁数が多いゴージャスな花です。唐子咲きは「卜伴」「白腰蓑」のようにおしべが小さな花弁になったもので、ツバキらしからぬ個性的な咲き方として人気があります。



育て方
●植え場所 日当たりと風通しの良い場所が適しています。半日陰でも育ちますが花つきが悪くなることがあります。若い苗や植え付け直後のものは強い日差しを嫌うので寒冷紗で日よけをおこない強い風が当たらないように保護しましょう。土質は選びませんが過湿になると根腐れをおこすので粘土質よりも砂質壌土のほうがよく育ちます。
●植え付け方法 春と秋が適期ですが、真夏と真冬を除けばいつでも植え付けできます。根を切り詰めた場合は枝葉も切り詰めて地上部と地中部のバランスをとるようにしましょう。
●整枝・剪定 剪定の適期は4~5月。花が終わったものから芽が伸びる前におこないます。6月~9月ごろに剪定すると花が咲かないので注意しましょう。
●鉢植え栽培 ツバキは鉢植えでも栽培できます。鉢植えで育てると場所をとらないためコレクションにも最適です。植木鉢は中深の駄温鉢またはプラ鉢を使い、用土は赤玉土(小粒か中粒)1に鹿沼土または日向土1の混合などがおすすめです。根詰まりをおこすと樹勢が弱るので2年~3年おきに根を整理して植え替えをしましょう。植え替えたときにたっぷりと水を与え、それ以降は土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりをしましょう。
●肥料 鉢植えの場合は発酵油粕の固形肥料を春と秋に置き肥します。
●病害虫 5~6月ごろチャドクガが発生したときは市販の殺虫剤で駆除します。花に菌核病(花腐れ)が発生したときは、枯れた花弁を取り除いたあとトップジンなどの殺菌剤を散布します。