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最終更新日:2026/04/17
芍薬(しゃくやく)の栽培方法

シャクヤクは中国原産の多年草で、日本には平安時代に薬草として渡来しました。
現在では、華やかな花と豊かな香りで親しまれ、庭植えや切り花として人気の高い植物です。
春から初夏にかけて大きく美しい花を咲かせ、品種によってピンク・白・赤・黄色など多彩な花色が楽しめます。
花形も一重から八重咲きまで幅広く、原種のシャクヤクは白色の一重咲きですが、園芸品種ではさまざまな花色・花形へと発展し、世界には3、000品種以上が存在します。
同じボタン科ボタン属の仲間にはボタンがありますが、シャクヤクは草本、ボタンは木本という違いがあります。
また、日本にはヤマシャクヤクやベニバナヤマシャクヤクなどの原種も自生しています。
耐寒性があり、日当たりと水はけのよい環境を好み、肥沃な土壌でよく育ちます。
基本情報
| 学名 | Paeonia lactiflora |
|---|---|
| 分類(科名) | ボタン科 |
| 開花期 | 5月~6月 |
| 高さ | 60㎝~90㎝ |
| 性状 | 多年草 |
| 水分 | ふつう |
| 耐寒性 | 強い(-30℃ぐらい) |
| 日照 | ひなた |
| 特記事項 | 鉢植え・庭植えともに可 |
【栽培史】
中国では晋代から鑑賞用に植えられ、宋代には八重咲きの品種が作られていました。
日本では江戸中期に実生がさかんにおこなわれ多くの園芸品種が作出されました。
江戸染井の植木屋伊兵衛が元禄7(1694)年に著した『花壇地錦抄』には56品種のシャクヤクが掲載されていますが、
金蕊、翁咲きで「しべ」の形を重んじた一重~三重咲きの花が珍重されていたことがわかります。
ヨーロッパでは南欧原産のオランダシャクヤクが古くから栽培されてきましたが、
18世紀に中国からシャクヤクを導入し、イギリスとフランスで育種が進められ、重ねが厚くさらに大輪になり、茎は太く改良されました。
草本のシャクヤクと木本のボタンの交配は不可能とされていましたが、育種家の伊藤東一氏が
昭和23(1948)年にボタン「金晃」とシャクヤク「花香殿」との交配に世界ではじめて成功しました。
この偉大な功績により、ボタンとシャクヤクの交雑種(インターセクショナルピオニー)は「イトウ・ハイブリッド」と呼ばれています。
【魅力・人気種】
シャクヤクは宿根草のなかでもとくに花が大きく花色や花形も豊富です。
茎は頑丈で雨や風にも強く、切り花やフラワーアレンジメントにも適しています。
花色で分類すると白系、桃系、赤系、黄系に大別されますが、
最近の交配種にはオレンジ、アプリコット、ブロンズ、紫、緑、絞り咲きなどもあります。
咲きはじめはピンクで咲き進むとクリーミーホワイトに変化する「ヒラリー」のような変わり咲きの品種も人気があります。
■花形の種類:
シャクヤクの花形は、主に以下のタイプに分けられます。
・一重:8枚前後の花弁で、正常なおしべをもつ基本形
・金蕊:一重咲きで、おしべが大きく黄金色になるタイプ
・翁咲き:一重咲きで、おしべが小さな内弁に変化したもの
・冠咲き:内弁が発達して立ち上がり、外側におしべの痕跡が残る
・手毬咲き:内弁がさらに発達し、おしべの痕跡がないもの
・半バラ咲き:内弁と外弁がほぼ同じ大きさで、おしべが中間に入る
・バラ咲き:外弁と内弁の区別がなく、おしべがない
・半八重:外側から内側に向かって花弁が小さくなり、中心におしべがある
なお、これらのほかにも中間的な花形が多く存在します。

【育て方】
■栽培環境:
年間を通して日当たりと風通しの良い場所で栽培します。
■植え付け:
植え付けの適期は9月下旬~11月下旬です(株分けを含める場合は9~5月にも可能ですが、寒冷地では厳寒期を避けます)。シャクヤクは一度植え付けると5年ほど植え替えの必要がないため、水はけがよく日当たりのよい場所を選び、あらかじめしっかり土づくりをしておきましょう。
植え付け前に30~40cmほど深く耕し、1株あたり堆肥を約3kg(または洗面器1杯程度)施します。腐葉土や化成肥料も加えて土とよく混ぜ、肥沃でやや重みのある土に整えます。植え穴は直径・深さともに40cmほどを目安にすると安心です。
植え付けは、根を広げて置き、芽の上が3~5cm隠れる程度に覆土します。芽が乾かないように注意し、深植えになりすぎないようにしましょう。
株間は50~60cm程度あけて植えます。花壇に列植する場合は、約80cm間隔で溝を掘り、その中に同様の間隔で配置します。
定植後はポリフィルムや敷きわらでマルチングを行うと、乾燥を防ぎ、根と芽の生長を促すことができます。特に乾燥しやすい場所では忘れずに行いましょう。
■摘蕾:
定植1年目の春は出た蕾を全部摘み取り株を養成します。2年目以降は、小さい蕾のうちに側蕾を摘み取り頂端のひとつの蕾だけを残して開花させるようにしましょう。
■肥料(施肥):
シャクヤクは肥料を好む植物のため、年間を通して適切に施肥することが大切です。
・ 元肥(寒肥)
12月頃に、たい肥・油かす・鶏ふんなどの有機質肥料、または化成肥料を元肥として施します。
・ 早春(2~3月)
有機質の油かすや骨粉を施し、生育のスタートを助けます。
・ 花後(6月頃)
花が終わった後は、株の回復と生長促進のために追肥を行います。リン酸・カリを主体とした化成肥料がおすすめです。
・ 秋(9月頃)
花芽の充実を促すため、速効性の化成肥料を追肥します。
■病害虫対策:
シャクヤクは病害虫が発生しやすい時期にあらかじめ対策することで、被害を防ぐことができます。
・ 病気の予防(菌核病・灰色かび病)
4~5月頃に菌核病、5~7月頃に灰色かび病が発生しやすくなります。予防として、開花前後にベンレート水和剤などの殺菌剤を1~2回散布しましょう。
・ 害虫対策(コウモリガ)
コウモリガの幼虫は5~6月頃に発生し、茎のつけ根から内部に食い込んで被害を与えます。6月頃を目安に、マラソン粒剤やオルトランなどの殺虫剤で防除します。
■鉢植え栽培:
割株の苗はぶっつり切られた太い根があるだけで細い根はほとんどついていませんが生育上問題はありません。
根が太いので8号~10号の中深鉢を用い赤玉土(中粒)1に腐葉土1の混合など水はけがよく保肥力のある用土で植え付けます。
乾燥を嫌うので鉢植えの場合は水ぎれにとくに注意しましょう。根詰まりを防ぐため5年に一度は植え替えをしましょう。
■植え替え:
芍薬は植えてから4年位経つと大株となり、密植になり過ぎて花つきが悪く弱ってきますので、9月に根を傷めない様掘り上げ、土を落として株分けします。
分ける株には芽が3~4個ずつつくように、ナイフで切り分けます。根を乾かさないようにして植えつけてください。
■剪定:
蕾は茎の先端だけでなく、上部の葉の基部から出た小さな枝にもつき、放っておくとこの側芽に養分を取られるので、早めにかきとり先端の花だけを咲かせるようにします。切花にする際は下葉を2~3枚残し、株の充実に役立てます。花が盛りを過ぎたら早めに花首のところから切り落とし、9月になって葉が枯れかかったら根際から茎葉を全部切り捨てて翌年の病虫害の発生を少なくします。
