栽培ガイド

最終更新日:2026/08/07

ホトトギス(杜鵑草・郭公草・油点草)


ホトトギス属は、ユリ科の多年草でヒマラヤから東アジアとフィリピンに約18種があります。

日本には「ホトトギス」「ヤマジノホトトギス」「キバナノホトトギス」「タイワンホトトギス」「サガミジョウロウホトトギス」「タマガワホトトギス」「ジョウロウホトトギス」「キイジョウロウホトトギス」「ヤマホトトギス」「チャボホトトギス」「タカクマホトトギス」「キバナノツキヌキホトトギス」「セトウチホトトギス」の13種が知られ、
このうち「ホトトギス」「ヤマジノホトトギス」「キバナノホトトギス」「サガミジョウロウホトトギス」「ジョウロウホトトギス」「キイジョウロウホトトギス」「チャボホトトギス」「タカクマホトトギス」「キバナノツキヌキホトトギス」「セトウチホトトギス」の10種が日本固有種です。

なかでも自生地が限られ野生の個体が減少している「キバナノツキヌキホトトギス」「キイジョウロウホトトギス」「ジョウロウホトトギス」「スルガジョウロウホトトギス」「サガミジョウロウホトトギス」「サツマホトトギス」「タイワンホトトギス」「キバナノホトトギス」は環境省のレッドリストで絶滅危惧種、「タカクマホトトギス」は準絶滅危惧種とされています。

【基本情報】


学名 Tricyrtis
分類(科名) ユリ科
開花期 8月~10月
高さ 10㎝~100㎝
性状 多年草
水分 ふつう
耐寒性 強い(-25℃ぐらい) ※タイワンホトトギスとタイワンホトトギス系交配種は-5℃ぐらい
日照 半日陰
特記事項 鉢植え・庭植えともに可


【栽培史】


ホトトギスは江戸時代から鑑賞用に栽培されていました。
花弁に入る紫色の斑紋が野鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることから「杜鵑草」の名がつけられたといわれますが、ホトトギスの中には、黄色の地に細かい赤紫色の斑点がそばかすのように入る種類もたくさんあります。

水野元勝が寛文4(1664)年に著した日本最古の園芸書『花壇綱目』(かだんこうもく)に「郭公 花薄色に紫飛入咲」と記述されているのは、現在のホトトギス、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギスのいずれかの種類を指していると考えられます。
「郭公」はカッコウと読みますが、江戸時代に植物の名前として用いられる場合はホトトギスと読ませていたことがわかります。

江戸染井の植木屋伊兵衛三之丞が元禄8(1695)年に著した『花壇地錦抄』(かだんじきんしょう)には、「花さらさ成事ほととぎす羽のごとく葉は笹のごとし」と記されていますが、キキョウやセンノウのような品種改良はおこなわれず、栽培はそれほど盛んではなかったようです。

水野忠暁が文政12(1829)年に著した『草木錦葉集』には「黄ほととぎす」と「ほととぎす布」の2種類が掲載されています。
「黄ほととぎす」はチャボホトトギスで、「ほととぎす布」は花色が不明な斑入り品種です。

昭和(戦前)まではおもにホトトギスが庭園に栽培され、切り花にも用いられていましたが、近年では丈夫で育てやすいタイワンホトトギスのほうが多く作られ、ホトトギスとタイワンホトトギスの交雑品種も育成されています。

【見どころ・人気種】


タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種は、枝分かれした花茎に多数の花をつけます。耐暑性があり、直射日光でも葉が焼けにくいのも特徴です。

「桃源」は斑点のないピンクの花弁で古くから知られる桃花の代表品種です。
「白秋」も古くからある名品で白地に紫点を散らします。
「江戸の華」は輝くような濃い紫花の代表品種です。
「富士の雪」は白花で花弁全体に紅紫色の点が無数に入ります。
「紅富士」は斑点の少ない濃紅花です。
「白露」は白い花弁と紫色の斑点のある黄色のしべとのコントラストが良い人気品種です。
「秋月」は葉や茎が緑色の青軸タイプで白地にしべが明るいレモンイエローの花を咲かせます。早咲きで、夏ごろに咲きはじめ、花後すぐに切り戻すと秋にまた花を咲かせます。

ジョウロウホトトギスやキバナノツキヌキホトトギスは茎が弓状に枝垂れる原種です。園芸品種にも茎が枝垂れる下垂性の品種があり、懸崖仕立てに用いられます。
コハクジョウロウホトトギスはジョウロウホトトギスとヤマホトトギスの種間雑種で、白地に褐色の斑点が入る下垂性品種です。
「天の川」はキバナノツキヌキホトトギスとシロホトトギスの種間雑種で、クリーミーホワイトの花をつける下垂性品種です。

【育て方】


■栽培環境:
樹木の下など直射日光の当たらない半日陰の場所を好みます。
茎が下垂するジョウロウホトトギスやキバナノツキヌキホトトギスは、石垣や石組みから垂れ下がるように植えるのもよいでしょう。
鉢植えの場合は、冬のあいだ霜や凍結を防ぐためにフレームや棚下に鉢を移動させましょう。

■植え付け:
越冬芽ができる11月下旬から春までが植え替えの最適期です。

■鉢植え栽培:
茎が下垂するジョウロウホトトギスやキバナノツキヌキホトトギスはラン鉢のような深鉢、その他の種類は中深鉢を用い、赤玉土(小粒)7に桐生砂(小粒)3の割合で植え付けます。
1年で根がいっぱいになるので株分けをかねて毎年植え替えます。

■水やり:
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。乾燥を嫌うので水ぎれしないように注意します。
露地植えの場合は活着したあと水やりは不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しすぎた場合は潅水しましょう。

■肥料:
植え付けのときにマグアンプなどの緩効性の化成肥料を元肥として土にまぜます。
3月から10月までハイポネックスなどの液肥を10日に1回ぐらい水やりがわりに与えます。

■剪定:
「秋月」は夏の花が終わったあと切り戻し剪定をおこないます。それ以外の種類は剪定や摘芯はおこないません。

■病気害虫:
ナメクジが蕾や花を食害するので見つけたら駆除します。
梅雨時など高温多湿の時期に葉枯れ病や白絹病が発生するので殺菌剤を散布して防除します。

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