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最終更新日:2026/08/04

カキツバタ(5月-6月開花)


カキツバタは日本を中心に朝鮮半島、中国北部、シベリアにも分布する野生のカキツバタをもとに育成された園芸植物です。
日本原産のアヤメ属の中でもっとも愛好の歴史は古く、奈良時代の8世紀半ばに成立した『万葉集』に今と同じ「垣津幡」「加吉都播多」という名称で登場します。

古来から美術にも多く取り入れられ、『燕子花図屏風』は黄金地にカキツバタの群生を描いた尾形光琳の代表作です。
水深10㎝ぐらいまでの池の周辺部に自生し、京都市大田の沢、愛知県刈谷市小堤西池、東京都練馬区三宝寺池の群生地は国指定の天然記念物に指定されています。

基本情報
学名 Ilis laevigata 
分類(科名) アヤメ科
開花期 5月
高さ 60㎝~80㎝
性状 多年草
水分 多め(水生植物)
耐寒性 強い(-30℃ぐらい)
日照 ひなた
特記事項 鉢植え・庭植えともに可

【栽培史】
カキツバタの本格的な品種改良は江戸前期にはじまりました。
元禄8(1695)年に江戸染井村の植木屋である伊兵衛三之丞が著した『花壇地錦抄』に、「鷲尾」「羅生門」「村雲」「橋姫」「濡鷺」「薄雲」「四季咲」「ごまほし」「白」「六葉」「八葉」「八橋」の12品種が掲載されています。

「鷲尾」は瑠璃紺色地に白筋が入る品種で、「ごまほし」は白地に紫の吹きかけ絞りが入る品種です。
「八葉」は紫色の八重咲きで、現在では見ることのできない品種です。
「四季咲」は「るり色四度花咲」と記載され、現存しています。第2次世界大戦後、欧米でカキツバタの人気が高まり、イギリスで「リーガル」(ピンク花)、「モトルド・ビューティー」(白地に紫点)などが作出されました。
江戸から明治の古品種は約20品種が現存し、近年育成された品種や海外で作出された品種を合わせると約50品種が知られています。

【魅力・人気種】
開花期は5月中旬から下旬で、ハナショウブより約1か月早く咲きます。

花の大きさは花径12㎝前後の小輪から花径20㎝内外の大輪まであり、花形は下弁が大きく上弁が小さい三英咲きと上弁と下弁がほぼ同じ大きさの六英咲きがあります。

花色は紫を基調として青、紅紫、白、桃の単色に絞り、覆輪、砂子、染め分け(2色咲き)の複色花があります。
「折鶴」(別名「雲居の雁」)は、白地に紫色の吹きかけ絞りが入る三英咲き大輪で、下弁が水平にのび、花弁の先端がつまんだようにとじる名品です。
「舞孔雀」はルリ紺色の八重咲きで古くから人気があります。


【育て方】
■栽培環境:
日当たりと風通しのよい場所が適しています。

■植え付け:
花後すぐ(入梅中)が植え付けの最適期です。初秋でも可能ですが真夏は避けてください。
日本産のアヤメの中で最も水湿を好むので、浅い池やその岸部に植え付けます。
古い土を洗い流すとともに枯れた根をきれいに取り除き、緑色の葉は切らずに、根もとから1㎝ぐらい土をかぶせて浅く植え付けます。
同じ場所で長く作り続けているとだんだんと育ちが悪くなるので、3年を目安に植え替えをおこないましょう。

■花がら摘み:
ひとつの花茎に蕾が3個つき下から順番に1輪ずつ開花するので咲き終わったら花がらを摘みましょう。
すべての花が終わったら花茎を根もとで切り取ります。

■枯れ葉の除去:
茶色くなった葉はつけたままにしておくと病気の原因になるので根もとから取り除きます。

■肥料(施肥):
3月と9月に化成肥料を施します。有機肥料は根腐れの原因になるので避けましょう。
池の中に植えたときは肥料はとくに必要ありません。

■病害虫:
花や蕾に灰色かび病が発生したら殺菌剤を散布しましょう。
蕾や花を食べるヨトウムシやナメクジは夜間にパトロールして捕殺しましょう。
ウイルス病を媒介するアブラムシは見つけしだい駆除しましょう。

■鉢植え栽培:
1株であれば5~6号、複数株の寄せ植えの場合は7~8号の中深鉢に赤玉土(小粒または中粒)で深植えにならないように植え付けます。
水を張った睡蓮鉢などの容器に鉢ごと沈め、水の深さは土の表面から7~10㎝を維持します。
真夏は鉢を日陰に移動し水が高温になりすぎないように注意してください。
根づまりをおこしやすいので毎年植え替えをして土を新しくしましょう。