栽培ガイド

8月のクリスマスローズのお手入れ

○8月のクリスマスローズはじっとがまん

8月の上中旬は暑さに弱いクリスマスローズには、いちばんつらい時期。じっと耐えています。
休眠状態なのですが、8月に入ると、実は見えないけれど花芽ができつつあるのです。生命の不思議を感じますね。

7月に引き続き、生育環境の整備と水やりに気を使いましょう。
太陽が低くなってくるので、日差しを避ける工夫を忘れないよう。特に西日は禁物です。雨にも当てないようにしましょう。
まわりのしげった植物を切ったり、株元の雑草や枯れた葉を取り除くことも、風通しよくするのにかかせないことです。
高温多湿を避けますが、乾燥させすぎるのもいけません。

夏の盛りの乾燥期にハダニが発生することはあっても、この暑ささえのりきれば、丈夫が取り柄のクリスマスローズです。  


○水はあげても、肥料はダメ

夏場の水やりは、やり方を間違えると影響が大です。
7月にもかきましたが、おさらいです。

水やり:
高温で乾燥した天気が続くので、あまり乾燥させないように注意しましょう。
庭植えでも1日1回、鉢植えなら1~2回たっぷり与えます。水やりの時間帯は朝夕の涼しい間だけ。
夕方涼しくなってから葉水をうってやると効果的です。
鉢植えで根詰まりしていると、日中にしおれてしまうようなこともあります。この場合は日陰にいれ涼しいうちに葉水をかけてやるといいでしょう。
葉をいためないことが、来年花を咲かせるのに大事なのです。

肥 料:
間違っても与えてはいけません。
この時期に施肥すると病気発生の原因になります。


○ハダニをやっつけよう

高温で乾燥した状態が続くと、ハダニが発生します。
ハダニは乾燥した状態が大好きなのです。
だから葉に水をかけてやるだけで、かなり防除効果があります。
オルトランなど、顆粒状の土壌処理剤を株元にまいておいても予防効果があります。

ハダニは葉の裏につくので、時々調べてみてください。
もし発生していたら、ケルセン乳剤などの殺ダニ剤を散布します。
ハダニは薬剤耐性がつきやすいので、何種類かを交互に使うのがより効果的です。また、殺ダニ剤は薬害が出やすいことにも注意が必要です。それぞれに指示されている濃度を間違えない
ようにしてください。
散布するのは朝夕の涼しい間で風のないときを選びましょう。
散布量は、葉からしたたりおちるほど、多めに。


○こわい話・クリスマスローズ

8月は休眠中、かくことが少ないので夜話でも…。

クリスマスローズはトリカブトと同じキンポウゲ科で、毒草です。
それも心臓マヒを起こさせる、ヘレブリンという猛毒を含むといいますから、おそろし~い。
クリスマスローズの学名ヘレボルスとはギリシャ語で「死に至らしめる食べ物」という意味をもっているというのもうなづけます。
原産地のヨーロッパでは近年まで峻下剤(激しい下剤)や駆虫薬などとして使われていたとか。
またラヌンクリンという有毒成分は、皮膚に時には水泡ができるほどのかぶれを起こします。
これは、地下茎や根だけでなく葉や花などを傷つけると出る汁に含まれていますから、皮膚につけないように気をつけて下さい。

ローズにはトゲ、クリスマスローズにはドク。
美しいものには少々注意がいるようですね。
暑い真夏の夜、少しは、涼しくなりましたでしょうか。