栽培ガイド

セント・ジョンズ・ワート

サプリメントの商品名などを通じて、このハーブの名前をご存知の方が多いでしょうか。不眠症、ノイローゼ、抑うつ効果のある薬草として知られ、タブレットにしたものが販売されています。

植物のままの状態でも、その薬効を期待できます。
すぐれた力の由来は、洗礼者ヨハネの時代へとさかのぼります。
ヨハネ(セント・ジョン)が切られた際、その血からセント・ジョンズ・ワートが芽生えた、または、ヨハネの血を浴びた草が不思議な力を持つようになったものがセント・ジョンズ・ワートである、などと言い伝えられています。葉に見られる斑点はその血のあとであるとも…。
そして、St. John's Dayである6月24日が、最も薬効が高まると伝えられています。

日本名では、セイヨウオトギリソウといいます。漢字で書くと弟切草。
こちらでも名前がなんとも物騒ですね。

そんな由来や名前とは裏腹に、セント・ジョンズ・ワートは6~8月に小さく控えめな、レモンに似た香りの黄色い花をつけます。丸みのある葉も愛嬌のある、やさしいハーブなのです。

葉っぱを摘み取ってハーブティにしたり、抽出液やオイルを利用して、次のような効果を期待できます。ミントやカモミールなど、他のハーブと組み合わせてハーブティにしてもよいです。

・眠れない夜、心配ごとがあってもやもやとした気分の時のハーブティ。
 不安や緊張を抑える効果があります。
 (飲んだあと日に当たると皮膚炎を起こすことがあるので注意)・なんとなく気分が落ち込んで元気がない時のハーブティとして。
・月経不順、月経痛にもハーブティを。治療薬にもなります。
・花ごと摘んで作った抽出液を、炎症や切り傷、火傷、打ち身、神経痛、 捻挫の治療に。(花びらのまわりに薬効のあるオイルが含まれます)・葉ごと摘んで抽出したオイルは香りを楽しめます。
 リキュールなど、お酒の香りづけに使えます。

ただし、抗うつ剤を使用している人、心臓病、妊娠中、授乳中の方は医師に相談するなど、使用には注意をするようにしてください。

たくさん花や葉が収穫できたら、ドライにして保存したり、オイルを抽出しておきます。言い伝えを信じて、St. John's Dayあたりにまとめて収穫してはいかがでしょう。花や茎を染色にも使えます。

では育て方を。

セント・ジョンズ・ワートは耐寒性があるので、戸外で越冬できます。
植えつけの際は、日向か半日陰の水はけのよい場所を選んで植え、土は乾燥気味に保ちます。
冬の間は地植えの場合はほとんと水やりは不要です。鉢植えの場合は頻繁にあげすぎないように気をつけます。

高さは大きいものは1メートルほどに育ち、根もとは木質化します。
種をまいて増やす場合は、春か秋に種まきをします。さほど難しくなく、発芽して育てることができます。

『血のあとである』と伝えられる葉の斑点。見えないときには、太陽の光にすかすと浮かびあがるとか。なんとも神秘的ですね。
昔ヨーロッパでは魔力が強いハーブであると信じられていたそうです。