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最終更新日:2026/09/15
香りを育て、旬を味わう 山椒の育て方

山椒は、ひと鉢あるだけで季節の香りを楽しめる日本の香味植物です。春にはやわらかな「木の芽」、初夏には青々とした「実山椒」、秋には赤く熟した果皮を収穫でき、料理に爽やかな香りと心地よい辛みを添えてくれます。
庭植えはもちろん、鉢植えでも育てられ、葉や実を必要なときに摘み取って使えるのが大きな魅力です。
山椒とは
山椒は日本各地の山野に自生する、ミカン科サンショウ属の落葉低木です。枝にはトゲがあり、葉や果実を傷つけると、柑橘を思わせる清々しい香りが広がります。
一般的な山椒は雌株と雄株に分かれ、実がなるのは雌株です。近くに山があれば自生地から風媒等で受粉するので、雌木だけでも結実しますが、市街地など自生株がない場所で実を収穫する場合は、雌木の近くに受粉用の雄木を植えるか、「朝倉山椒」のように1本でも結実する品種を選びます。雄木1本に対して雌木10本程度までを受粉させることができます。
基本情報
科名:ミカン科
属名:サンショウ属
学名:Zanthoxylum piperitum
分類:耐寒性落葉低木
樹高:およそ1~3m
開花期:4~5月
植え付け適期:11~3月ごろ(厳寒期を除く)
若葉の収穫:4~5月ごろ
青実の収穫:5月下旬~7月ごろ
完熟果の収穫:9~10月ごろ
用途:庭植え、鉢植え
楽しみ方
木の芽
春に伸びるやわらかな若芽を摘み取ります。手のひらで軽くたたくと香りが立ち、吸い物、木の芽あえ、田楽、煮物などに利用できます。収穫期は4月〜5月です。
花山椒
雄木に咲く花を、開花直前から咲き始めに収穫します。繊細な香りと辛みがあり、佃煮や料理の香りづけに利用されます。収穫期は4月下旬です。
実山椒
初夏の青くやわらかな実を収穫します。下ゆでしてアクを抜き、佃煮、ちりめん山椒、塩漬け、しょうゆ漬けなどに利用できます。収穫期は5月~6月です。
粉山椒
秋に果実が赤く熟して裂けたら収穫します。黒い種を取り除き、香りの強い果皮をよく乾燥させて粉にします。5〜6月に採れる柔らかい青い実(実山椒)を乾燥させて同様に作ることもできます。
山椒のすりこぎ
太くなった山椒の幹や枝は、カットしてすりこぎに加工されます。非常に固く、「三生(さんしょう)のすりこぎ」と呼ばれ、三代にわたって使えるほど丈夫といわれます。
主な品種
朝倉山椒
トゲが少なく、大きな実をつける代表的な品種です。種が果皮から離れやすく、実山椒や粉山椒に利用しやすいのが特徴。雌雄同株で、基本的には1本でも結実します。
ブドウ山椒
実がブドウの房のようにまとまってつく、実どり用の代表品種です。一粒が大きく、若い青実は佃煮や有馬煮に、秋に熟した果皮は粉山椒に利用できます。枝にトゲがあるため、収穫や剪定の際は手袋を着用しましょう。
花サンショウ
花と若葉を利用する雄木です。果実はなりませんが、香り高い花山椒を収穫でき、実山椒の雌木を結実させる受粉樹としても利用できます。
葉ザンショウ
香りのよい若葉を楽しむタイプです。吸い物、あえ物、魚の煮つけなど、日々の料理に少量ずつ使いたい方に向いています。
ウルトラぶどう山椒
大粒の実が房状にまとまってつく、実どり向きの品種です。接木なので多湿や乾燥にも比較的強く、育てやすいタイプ。1本でも結実しますが、別品種を近くに植えると、より多くの実が期待できます。
ウルトラ朝倉山椒
トゲがない、または少なく、葉と実の両方を収穫しやすい品種です。実はやや大粒で、自家結実性があります。接木なので通常の朝倉山椒より栽培しやすいです。収穫期は5月~6月です。
華北山椒
中国原産で、一般に花椒(ホアジャオ)や四川山椒と呼ばれる種類です。日本の山椒とは同属別種で、赤く熟した果皮には強い香りとしびれるような辛みがあります。乾燥させ、四川料理などの香辛料として利用します。1本でも実を収穫できます。

栽培場所
日なたから半日陰で育てられますが、夏の強い西日が当たり、土が極端に乾燥する場所は避けます。午前中は日が当たり、午後は明るい日陰になる場所が適しています。
山椒は根が浅く、乾燥すると葉が傷んだり、生育が弱ったりします。一方で、水がたまる場所では根腐れや白絹病が発生しやすいため、適度な湿り気と水はけの両方が大切です。
植え付け
植え付けは落葉期の11~3月ごろが最適期です。寒冷地では厳寒期を避け、春の芽吹き前に植え付けます。
細い根が少なく、根を傷めると生育が止まりやすい植物です。ポットから抜くときは根鉢を崩さず、深植えにならないように植え付けてください。接ぎ木苗は接ぎ木部分が土に埋まらないようにします。
庭植え
植え穴を根鉢の2倍ほどの幅に掘り、掘り上げた土に腐葉土や完熟堆肥を混ぜます。植え付け後はたっぷりと水を与え、株元を腐葉土や敷きわらで覆うと乾燥防止になります。
鉢植え
苗より二回りほど大きく、ある程度深さのある鉢を使用します。用土は、市販の果樹・花木用培養土、または赤玉土7:腐葉土3程度の、水はけと保水性を備えた配合が適しています。
水やり
鉢植えは、土の表面が乾き始めたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。特に春の芽出し期と夏は水切れに注意してください。
庭植えは根付けば頻繁な水やりは不要ですが、雨が少なく乾燥が続く場合は十分に水を与えます。株元へのマルチングも効果的です。
肥料
植え付け時に腐葉土や完熟堆肥を混ぜ、春の芽出し前に緩効性肥料を施します。葉や実を多く収穫した株には、収穫後から夏に少量の追肥を行います。肥料を与えすぎると枝葉ばかりが茂るため、控えめに施してください。
剪定
落葉期の12~3月ごろに、枯れ枝、内向きの枝、重なった枝、伸びすぎた枝を整理します。
翌年花をつける短い枝を切りすぎると収穫量が減るため、強い剪定は避けます。毎年少しずつ樹形を整えるのがコツです。
植え替え
鉢植えは2~3年に1回を目安に、落葉期に一回り大きな鉢へ植え替えます。根鉢を大きく崩さず、傷んだ根だけを整理してください。
移植を嫌うため、植え付け後の移動はできるだけ避けます。
病害虫
アゲハチョウの幼虫
山椒はミカン科のため、アゲハチョウの幼虫がつきやすい植物です。幼木では短期間で葉を食べ尽くされることがあるため、葉裏までこまめに確認し、見つけたら早めに取り除きます。
白絹病
高温多湿で水はけが悪いと、株元に白い菌糸が現れる白絹病が発生することがあります。風通しと排水を確保し、株元を蒸らさないようにします。
上手に育てるポイント
夏の西日と水切れを避ける
植え付けや植え替えでは根鉢を崩さない
実が目的なら、苗の雌雄と自家結実性を確認する
雄木の花サンショウは受粉樹として利用する
剪定は落葉期に行い、短い枝を切りすぎない
アゲハチョウの幼虫を早めに見つける
若い木から葉や実を採りすぎない
香り豊かな木の芽から、青い実山椒、秋の粉山椒まで、季節ごとに異なる味わいを楽しめる山椒。鉢植えからでも始められるので、身近な場所で育てて、摘みたてならではの香りを食卓に取り入れてみましょう。
※アゲハチョウの幼虫の餌として利用する場合や、苗のお届け後すぐに葉を利用する場合は、使用された農薬の種類や収穫前日数を商品ラベルなどで確認してください。