栽培ガイド

最終更新日:2026/08/07

テンナンショウ属(天南星)


テンナンショウ属は観葉植物の世界で「アロイド」と呼ばれるサトイモ科の植物です。

サトイモ科の故郷は熱帯ですが、テンナンショウ属は温帯に分布を広げています。
テンナンショウ属はアフリカ、アジア、北米に約180種が知られ、
日本にはマムシグサ、ユキモチソウ、マイヅルテンナンショウ、ウラシマソウ、ムサシアブミなど53種、8亜種、3変種があります。
マムシグサやウラシマソウは北海道から九州までほぼ全国的に分布しますが、狭い地域に分布が限られた種類も多く、セッピコテンナンショウやオドリコテンナンショウのように環境省のレッドリストで絶滅危惧種にされている種類もあります。

中国では古くからテンナンショウ属の地下茎を薬用に用い、テンナンショウの名は中国名「天南星」に由来します。
花の筒状の部分は仏炎苞で、その中に棒状の付属体があり小さな花が並びます。
花後にトウモロコシ状の果実が赤色に熟しますが、テンナンショウ属の植物はシュウ酸カルシウムを含む「有毒植物」ですので間違って食べないように注意してください。

【基本情報】


学名 Arisaema
分類(科名) サトイモ科
開花期 3月~6月
高さ 30㎝~80㎝
性状 多年草(球根)
水分 ふつう
耐寒性 強い(ウラシマソウは-25℃ぐらい)
日照 半日陰
特記事項 鉢植え・庭植えともに可


【栽培史】


江戸染井の植木屋伊兵衛三之丞が元禄8(1695)年に著した『花壇地錦抄』(かだんじきんしょう)には、「天南星」として「葉はこんにやく草のことく。花白とむらさき有。薬種につかふ也」とあり、江戸時代中期にはマムシグサが薬用に栽培されていたことがわかります。

享保4(1719)年に『花壇地錦抄』の続編として刊行された『廣益地錦抄』には「南星」として、「黒紫色のしべは蛇の尾のごとくなり黒き物長く出る」と記されたウラシマソウと、「白なんせう」という名で記されたマイヅルテンナンショウの記載があります。
テンナンショウのなかまは江戸時代までは薬用植物として栽培され、園芸品種の育種はおこなわれていなかったようです。

イギリスの著名なプラントハンターであるジョージ・フォレストが1914年に中国で発見し、ヨーロッパに導入したモモイロテンナンショウは耐寒性があり、露地植えで栽培され、欧米でもっとも人気のあるテンナンショウです。

【見どころ・人気種】


四国と紀伊半島の一部に自生するユキモチソウは、付属体の先端が白色で球状にふくらむのが特徴で、古くから人気があります。
仏炎苞が緑色の素心ユキモチソウは珍品です。

ウラシマソウには仏炎苞が白色の素心花や仏炎苞が赤色の赤花があります。
斑入りや葉の地模様が美しい変異種も珍重されます。

中国からヒマラヤにはユニークな種類がたくさんあります。
中国四川省・雲南省に自生するモモイロテンナンショウは仏炎苞がピンクで日本でも人気があります。
花色には個体差があり、白花はとくに珍重されます。

花に香りがあるニオイテンナンショウも中国雲南省に分布します。

ヒマラヤ原産のコブラテンナンショウはグロテスクな黒花で、仏炎苞の幅が20㎝前後にもなる大形種です。
仏炎苞が黄色のアリサエマ・フラブムはヒマラヤ原産で、春植え球根として栽培されるカラーのようです。

【育て方】


■栽培環境:
樹木の下など直射日光の当たらない半日陰の場所を好みます。

■植え付け:
地上部が枯れて球根が充実する11月下旬から春先までが適期です。生育途中での植え替えを嫌うので注意しましょう。
球根を置き厚さ2㎝ぐらい覆土をして植え付けます。

■鉢植え栽培:
球根なのでやや深めの鉢を用い赤玉土(小粒)7に桐生砂(小粒)3の割合で植え付けます。
水はけが悪くなると根腐れをおこしやすいので毎年植え替えます。
親芋のまわりに子芋ができるので植え替えのときに切り離します。

■水やり:
鉢植えの場合は土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。水分を好むので、春から秋までは水ぎれしないように注意します。
地上部が枯れたら水やりは1週間に1度ぐらいに減らし、春まで軒下や棚下で乾燥気味に管理します。
露地植えの場合は活着したあと水やりは不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しすぎた場合は潅水しましょう。

■肥料:
植え付けのときにマグアンプなどの緩効性の化成肥料を元肥として土にまぜます。
3月から10月までハイポネックスなどの液肥を10日に1回ぐらい水やりがわりに与えます。

■剪定:
剪定や摘芯はおこないません。

■病気害虫:
蛾の幼虫(イモムシ)が葉を食害するので殺虫剤で駆除します。
ビニールハウスや軒下ではハダニが発生しやすいので定期的にシリンジ(霧吹き)をおこなうと効果的です。
梅雨時など高温多湿の時期に軟腐病や白絹病が発生するので殺菌剤を散布して防除します。

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