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日陰の庭づくり

大きな木の根元、塀や建物の陰、庇のついたベランダなど、日陰になってしまう場所は多いですね。「何も育たない」と放置しがちです。でも、植物によっては、日陰の方が元気に育ったり、花や葉色が冴えるものもあるのです。日陰だからこそできる美しい庭づくりを楽しんでみませんか?

まず、その場所がどんな日陰か観察しましょう。朝夕は日があたるとか、全く当たらないとか。木陰でも、木漏れ陽があたる場所もあります。
南向きのベランダでも、夏には庇の陰で日陰になることがあります。また、地面はじめじめしているか乾燥しがちか。大きく分けて、半日陰・完全な日陰 と 湿地・乾燥地の組合わせで、適した植物を選びましょう。

今回は、「半日陰+湿り気のある場所」の場所で元気に育つ植物をご紹介します。
ギボウシ、アスチルベ、シュウメイギク、イカリソウ、スミレ、ツバキ、アジサイなどが手に入りやすく育てやすいでしょう。
ギボウシ、アスチルベは葉も美しいので、花のない時期にも楽しめます。
また、エビネ、クリスマスローズ、プリムラがおすすめ。どれも宿根草です。

エビネは蘭の一種ですが、庭でも育てられる地エビネや黄エビネなどは木の根元に群生させると素敵です。もともと林の中に自生する植物で、腐蝕質に富んだふかふかの土を好み、かなり暗い場所でもきれいな花を咲かせます。朝だけちょっと木漏れ日があたる場所がぴったり。花期が2~3週間と長く日陰の庭には理想的な品種です。

クリスマスローズは冬から春に花を咲かせ、寒さに強い植物です。一般には鉢植えで育てますが、強健なオリエンタリスなら地植えできます。木の根元に何株か植えると素敵。苗のうちは花が少ないのですが、数年経って大株になると10本以上の花をつけます。
開花期間が1ヶ月以上と長いのも特徴。いろいろな花色のものを植えておくと自然に交配し、こぼれ種から新しい花色の苗ができるのも面白い点です。

プリムラは、西洋さくら草とも呼ばれます。花壇や鉢植えの1年草のプリムラ・ポリアンサではなく、宿根草のものです。イエローやピンク系の花色が多く出まわっています。これも、木陰や林に群生させると美しく、日本の山野に自生するクリンソウもこの仲間です。

日陰の庭を明るくするには、まず、日陰を作っている木々の枝や葉を整理すること。年中葉の茂っている針葉樹やシイの木などは、葉が厚く茂り、下は真っ暗ですね。下枝を落とし、上のほうは葉をすかして、木漏れ日が入るような剪定をしてみましょう。

壁や塀で陰になる場所は色を工夫してみましょう。白っぽいペンキを塗ったり、明るい色のトレリスや花壇の柵、敷石を使うという方法があります。白っぽいガーデンオーナメント(ウサギや小人の形の置物など)を植物の間に置くのもいいですね。
植えこむ植物に、葉や花色が明るい、つやのあるものを選ぶと明るいイメージに。たとえば日陰に強いツワブキ、アイビー、アオキなどです。こうした植物には斑入り葉の品種も多いので、こういうものを使うと格段に明るく引き立ちます。

花では、アジサイ、インパチェンス、ホトトギス、シュウメイギクなどは日陰に強く、白やパステルカラーの花色を選べば、暗い場所でも映えます。
インパチェンスは長期間たくさんの花を咲かせ、手軽に利用できるのでおすすめです。夏場のカラーリーフ、コリウスも日陰に強く、色も豊富です。

ところで、「日向向き」とされている植物は、北向きの玄関や西日しか当たらない場所で育てるのは無理だ、と思っていませんか?
実際には、1日2~3時間日が当たれば、結構花は咲くものです。特に、短時間でも朝日が当たる場所なら、植物は元気に育ちます(逆に西日しか当たらない場所は無理)。
ただ、日当たりの良い場所に植える場合よりも少し気遣いが必要です。
まずはよい用土に植えること。肥料はカリ分を増やして、株を丈夫に育てることです。鉢やコンテナ植えにして、小苗のうちはよく日の当たる場所で育て、十分大きくなってから移動するという方法もあります。さらに、風通しや水はけを良くし、株周りを清潔に保つことも大切です。