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つる性植物の活用方法

つる性の植物ってほんとに便利ですよね。

たとえば狭いスペースを緑いっぱいにしたい場合、樹木は横枝が広がり場所をとりがちですが、つる植物なら好みの形・方向に誘引できます。
お庭の立体的な演出にも欠かせません。花壇の後ろにトレリスを立てたり、中央にオベリスクを置いてつる性植物を絡ませればダイナミックな演出ができます。また、ハンギングバスケットにも植えられますね。
隣家や道路からの目隠しや日除け、生垣にもぴったり。建物から敷地境界までの、わずか15cmの隙間にだって生垣を作ることが可能です。古びた壁面や殺風景なブロック塀も、植物が伸び広がっていけば憩いの風景に変ります。
多くの品種はよく成長し、たった1株で縦横数mの範囲までカバーしますから、樹木を植えるより安上がり、といったメリットもあります。
 
家の周りやベランダなど、場所により工夫を凝らせば、多彩な活用法があります。具体的に、つる性植物を使った庭作りのアイデアとおすすめの植物をすこしご紹介してみます。

塀や壁面
格子状の支柱枠(トレリスなど)がつけられない場所なら、壁面に直接気根や吸盤をくっつけて這い登っていく品種を選びましょう。
ナツヅタやキヅタ(アイビー)、プミラなどのツタ類、テイカカズラなどは支柱なしで大丈夫です。なおプミラの斑入り品種は寒さに弱いので、戸外に植え付けるのは緑葉のものを選んでください。

立木にあわせる
クレマチス・モンタナやノウゼンカズラなどは、高い樹木に絡ませてもすてきです。
苗を樹木の根元に植えて、支柱を立てて木に這い登るのを少しサポートしてやります。
両者をうまく調和させるコツは、日陰に強い木を選ぶことと、樹木もつる植物もこまめに剪定し、風通しのよい状態を保つことです。
春先、まだ木の葉が茂らない頃に、幹や枝にモンタナがいっぱい咲くと、とてもすてきな風景になります。
 
ポール状のものは何でも利用
お庭に立っている常夜灯やテラスの支柱、ベランダの雨どいなど、ポール状のものがあればどれもつる性植物の支柱として利用できます。
太くてつるつるの材質など、植物が這い登りにくい構造のものであればポールの周囲に金網やパイプ用トレリスをまきつけて足がかりにします。 

丈夫な紐を利用
高い場所から低い場所へ、ひもを使ってつる性植物を誘引するのも手軽でよい方法です。
ポールの上部から少し離れた地面へ、あるいは軒先から地面へ、と何本もひもを渡して、このひもにつる性植物を這い登らせるのです。自在にレイアウトできるので、利用の幅がさらに広がります。
 
日陰になる場所
家と隣家の間など、日陰になる場所には日陰用のつる性植物を選んで。
ビナンカズラ、テイカカズラ、ツタ類、ロニセラやスイカズラは明るい日陰でもOKです。また、日陰は無理と思われがちなバラですが、オールドローズの中には半日陰でも栽培できる半つる性の品種が多いので、候補になります。

目隠し用
目隠し用には常緑性の品種を選びましょう。トケイソウ、ツルニチニチソウ、テイカカズラ、羽衣ジャスミン、ムベ、ビナンカズラなどが候補になります。

通路に植えるなら
美しいだけでなく、香りのある花もすてきです。ロニセラやテイカカズラ、カレーの木、スイートピー、羽衣ジャスミン、カロライナジャスミン、つるバラなど。
ただし、つるバラは棘のある枝が人に触れないよう、誘引に気をつけて。モッコウバラ(白、黄)はとげがないので通路にも利用できます。
 
フェンスから収穫も楽しい
つる性で育てやすいフルーツもあります。木いちご類、ことにブラックベリーは黒い実も美しくガーデニング素材としてもおすすめ。斑入り品種はことのほかすてきです。ほかにもムベ、アケビなどもフェンスやトレリスに合います。
 
最近人気の植物は
江戸末期に日本からヨーロッパに渡り、人気となって里帰りしたツルアジサイ。壁面を覆うようにたくさん花が咲きますが、清楚な雰囲気がすてきです。誰もが魅了される、ケアノサス。ブルーのほかにピンクもあります。