栽培ガイド

桃(モモ)



桃は中国・黄河上流の高原地帯原産の落葉果樹。古い時代に日本にわたり、平安時代にはすでに3月の節句の花として知られていました。食用果樹として本格的に栽培されるようになったのは明治以降で、現在では岡山や神奈川、山梨など各地に産地があります。完熟して木から落ちる直前の実が最もおいしいので、ぜひ家庭で栽培したいフルーツです。春に咲くピンクの花も愛らしく、観賞を兼ねて栽培できます。ネクタリンやアーモンドもモモの一種です。1本の木の寿命は短く、20年くらいです。

品種の選び方

品種により収穫期は6月~9月と幅が広く、収穫期別に早生、中生、晩生に分けられます。早生種は梅雨時に熟すので甘みがやや不足しますが、栽培は容易で、寒冷地でも栽培しやすいです。梅雨明けの遅い地域は避けた方が良いでしょう。晩生になるほどおいしいのですが、病虫害の被害が増えます。また、花粉の多い品種は1本でもよく結実しますが、花粉がない品種は実をつけないので、受粉樹を近くに植えます。白桃やその仲間には花粉のない品種が多いので受粉樹が必要ですが、花桃でも受粉します。白鳳、大久保は花粉が多く自家結実し、受粉樹にもなります。ミツバチなどの飛来が少ない場合は人工授粉します。

栽培適地

過湿に弱いので、水はけ・通気性の良い場所で栽培します。生育期に雨の少ない地域が適しています。よく日の当たる場所を選びます。耐寒性が強く(マイナス15度まで)、東北地方中部以南で庭植えできます。

仕立て方

庭植えの場合は管理しやすいよう、樹高2.5~3m、枝張り1.5m程度に仕立てるとよいでしょう。毎年冬(12~1月)に冬剪定を行います。1年目の冬、接木苗を植えつけたら高さ50~60cmで切り戻します(一般に流通する苗木は切り戻し済です)。翌年の冬に、主枝を1本だけ残してわき芽は根元から切り戻し、主枝も3分の1程度に切り詰めます。3年目の冬に主枝1本と側枝数本の先端を軽く切り戻し、それ以外の不要な枝は根元から切り落とします。翌春から開花・結実しますので、その後は樹形を保ちながら、側枝を2~3年で更新しながら管理します。

● 1年目(冬)※点線部分は出荷前に切り詰められています。出荷時の苗の高さ→90cm/50cm~60cmの高さで切る→● 2年目(冬):1/3程度に切り詰める→主枝を1本だけ残す→わき芽は根元から切り戻し→● 3年目(冬):先端を軽く切り戻す。不要な枝は根元から切る

● 3年目(夏):初着果● 4年目(冬):目標とする樹形(点線部分内)に収まるように剪定


実の付き方

接木苗を定植して3年目から開花・結実します。前年の7月頃までに伸びた新梢(1年枝)に8月に花芽がつき、翌年開花します。開花後30日くらいで生理落花が終ります(白桃やネクタリンは6月上旬頃2回目の生理落花も多いのでその後に行います)。果実1個あたり25~30枚の成葉が必要なので、大きく形の良い果実を残して摘果します。病虫害を防ぐため果実に袋かけをします。摘果後すぐに油をしみこませた新聞紙やハトロン紙で袋を作り、果実にかけて根元を縛ります。収穫直前に袋を破って着色させると美しいモモになります。

病虫害

縮葉病、黒星病、灰星病などの病害は石灰硫黄合剤などで防除します。害虫はアブラムシ、シンクイムシ、コスカシバ、モモノゴマダラメイガなどの被害がありますので、薬剤を散布します。

施肥・水やり

肥料はチッソを与えすぎないよう注意します。窒素分が多いと、枝葉が伸びて花芽ができないので、花芽分化前の6~7月には肥料が切れるように調整します。11~12月の元肥(緩効性有機肥料)、2月の芽出し肥え、収穫後の9月にお礼肥え(ともに速効性化成肥料)を与え、3月半ば以降は与えないようにします。

収穫方法


袋かけをしている場合は、成熟期になったら袋の底を破り、果皮が乳白色になっていたら果実を光に当てて着色させます。さらに、収穫する3~5日前に袋を全てとって美しい紅色になったら収穫します。


印刷用PDFファイルを表示