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心地よい庭をつくろう~B邸の小さな庭~bySOYぷらん越智さん

さまざまなケースの庭作りに追われているうちに、今年もあとわずかとなりました。
この夏は異常気象でチャドクガが異常発生しました。木の芽の膨らみが、例年より大きい樹木が目立ちます。これもまた気象の変化によるのでしょうか。不思議な現象です。

それでは、庭作りの続きです。
B邸は、家を建て替えたため、植栽スペースが奥行き60cm、長さ3mだけになってしまいました。大きな窓の前なので、草花とやさしい枝ぶりの樹木を植えたいと思い、近くの植木やさんへ頼んだところ、「こういう所は、椿か樫を列植するしかないね」といわれがっかりされたそうです。窓の前に椿では部屋の中が暗くなってしまいます。

高さ2mくらいの樹木なら、椿でなくても植えられます。
オトコヨウゾメ、ツリバナマユミ、ウグイスカズラ、ヒュウガミズキ、ナツハゼ等々あまり高木にならない樹木が結構あります。
四季の移り変わりを感じることのできる落葉樹がお薦めです。
窓の前だけの風景だからこそ、きめ細かく植栽を考えていきたいものです。

紅葉も美しく、新緑も爽やかで、お料理に添えるとまた風情がある、モミジを植えたい方もいると思います。でも、モミジはどんどん大きくなり、花壇のようにレンガなどで囲んである場所では、根が張ってレンガを壊してしまうことも。
このように大きくなる樹木は諦めてしまいがちですが、屋上緑化用の土を使えば、根がその土の中で健全に育ち外へ張っていかないので、ほどほどの樹高で楽しめます。

2mくらいの華奢な株立のモミジを植えるだけで、風にそよぐ樹木の風景ができ、窓からの眺めが気持よくなりました。

樹木以外の所は土に堆肥をすき込み草花を植えられるようにします。
樹木の足下に、木漏れ日に咲く枝垂れる花、こぼれる花、と濃い緑、銀色、斑入り、ブロンズなどの葉ものを組合わせれば、小さな空間も季節を感じる心地よい庭に変身しました。

こうした庭つくりから3年経ったB邸は、株立のイロハモミジの足下に、コトネアスターが長く枝垂れ、冬には赤い実がなり、カワラナデシコがこぼれ咲き、ツボサンゴのブロンズ色の葉、風知草の爽やかな緑など何種類かの葉もの、そして早春にはシラーがあちこちに咲き出します。
緑と花、光と蔭のハーモニーが生まれました。

どんなに悪条件でも諦めず、あらゆる方法を根気強く考えたり、相談したりして、難しいスペースの庭作りに挑戦してみてください。