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心地よい庭をつくろう~by SOYぷらん越智さん~

今年の夏は本当に暑かったですね。人間も疲れましたが、植物もかなりくたびれたはずです。
6月の空梅雨に始まり、真夏日が40日続き、雨も降らず、夕立もなく植物にとっては過酷でした。この暑さ、この気候、なんだか変だな、と思われた方はたくさんいらっしゃるはずです。
数年前から異変は少しずつ起こってきているように思います。

草花の水やりをちょっと怠っただけで枯らした方も多いでしょう。
例年なら水やりに神経質にならなくていいはずの樹木に異変があったお宅もあると思います。
葉が茶色になって枯れたように見える、樹木全体が元気がない、まだ時期ではないのに、紅葉(黄葉)してきたり。そういう問い合わせで、あちこちの現場に行くことが多い夏でした。
街路樹が枯れているのをよく見かけましたが、丈夫な樹木も水不足に苦しんだようです。

しっかり根付いた樹木は、少し水不足になっても根が地下の水を求めて伸びて行くので問題ありません。でも、今年のように、雨の降らない乾燥した状態では、たっぷりと水やりが必要です。

土の表面にだけ水やりしても、水は土中に浸透しません。
たとえば土の上から10分間水やりをしても、土中にはほんの1~2cmしか水が浸透しないのです。

こういうときは、根の回りを囲むようにシャベルで20~30cm掘って土をほぐします。そこにチョロチョロ程度の水をホースから出して、ホースの口を土の中に突っ込んで、樹木の大きさにもよりますが、1本につき5~10分くらい水やりをするとよいのです。

こういう気候の時の水やりは大変です。だからといって毎日たっぷり水やりをして、いつでも水はある、と樹木に思わせないことも大切です。
ぎりぎり水がほしくなるまでは水を与えないで、与えるときはたっぷり水やりをすると、樹木はしっかりと水を吸い上げてくれます。
水やりにも緩急、強弱が必要です。
庭のデザインにも通じるところがありますね。

先ほどの紅葉した樹木というのは、はやく紅葉して葉を落し、葉からの水の蒸散を少なくしようとする樹木の自己防衛です。枝先に新芽が出ていれば心配いりません。

この時期にこんなことを書いたのは、水やりで失敗した方がいれば、その原因は何だったのかなと考えるいい機会だと思ったからです。
予防も大切ですが、時には失敗も必要だと思います。
いかがでしょうか。