栽培ガイド

単語で探す

10月の果樹のお手入れ

1. 10月の果樹:収穫と元肥の季節

早生ミカン、カキ、晩生のナシ、ブドウ、リンゴなどなど、多くの果樹が収穫の季節を迎えます。まさしく、実りの季節です。
オリーブも収獲期を迎えます。未熟な緑色のものから黑紫色に熟したものまで、好みや用途に合わせて収獲しましょう。
スダチやユズなどは黄色くなっていないものでも、十分に香りを楽しめますから、収獲して調味料用に使うとよいでしょう。

11月にかけては、収獲後はお礼肥えや植え付けに備えて元肥を施す時期季節です。 


2. 鳥害防止のネット張り

困ったことに、収獲期が近づくと鳥がついばみにやってきます。
収獲適期は鳥の方がよく知っているみたい・…。ネットなどをかけ保護しておきましょう。
ネットのかけ方は、支柱を3~4本立て、上部をひもでまとめてくくり、全体にネットをかぶせ、それぞれの支柱の下部にひもでネットをくくりつけます。


3. 元肥をやりましょう

多くの果樹の場合、肥料は年3回施します。
施肥の時期で「元肥」「追肥」「お礼肥え」に分けられます。
1年に必要とする肥料は樹齢で異なります。種類でも違いますが、小潅木のベリー類とキウイを除くと、だいたい同じです。
この1年間に必要な肥料のうち、6~7割を「元肥」とし、生育の途中で残りの分量を様子を見ながら与えるのが「追肥」で、そのうち、収獲後弱った株を回復させるために与えるのが「お礼肥え」
です。追肥は生育が旺盛なら与える必要はありません。
落葉する果樹では10月~11月に「元肥」を与えますが、ウメ、ナシ、アンズ、カリン、クルミ、などは10月末ぐらいとやや早めに施肥しましょう。
施肥のし方は、株のまわり50cmくらい離れたところに幅2、30cm、深さ30cmほどの溝を掘り、堆肥などの有機質肥料を適量すき込むとよいでしょう。

4. ビワの摘房、摘蕾

12月に花の咲くビワは花房が発育を始めます。大きな実にするために、摘房、摘蕾をしておきましょう。大きな葉が8枚以上ついた花房だけ残し、他は取り除きます。
花房を半分に切り詰めて、養分のむだ使いを防止します。


5. カンキツ類の夏枝、秋枝の整理

夏に出た徒長枝や秋に出た緑色の濃くない枝は、実をあまりつけません。春に出た期待の持てる枝を日陰にしたり、養分をむだにしないよう、新しい枝が出なくなった頃合を見計らって切り取っておきましょう。
なお、かんきつ類は乾燥するほうが甘くなるので、庭植えは水やりは不要です。鉢植えも乾燥気味に管理します。
肥料も色づきが進んだ極早生以外は不要です。  

6. バラ科…リンゴ、ナシ、モモなど…の腹ツギ

一般的には、接ぎ木と言うと根元で接ぐのですが、この腹ツギとは枝の部分で接ぐ方法で、そのなかでも枝の途中で接ぐものです。
腹ツギは、大きくなった木を新しい品種に接ぎかえたり、1本に多くの品種の果実をならせることができます。
この方法は樹の回復が早く、失敗しても台木への影響が少ないのが利点です。台木の枝を上から下へ3~4cm切り込みをいれ、穂木あるいは芽をさし込んでビニールテープでしっかりとしばって、台木と穂木(芽)を密着させます。


7. 病虫害の防除

この季節、かんきつ類の葉には秋ダニ(ミカンハダニ)がつきやすいものです。できるだけ農薬は使いたくありませんから、ホースで強めに放水して水圧で落としてしまいましょう。
あのくさい匂いが独特のカメムシも、カキやかんきつ類の果汁を吸いに来ます。これは捕まえて処分するか、スミチオン乳剤の1000倍液で防除します。