栽培ガイド

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11月の果樹のお手入れ

1. 11月の果樹と管理
カキの色づきが見事です。カリンも10月に引き続き収獲期です。 その他の多くの落葉果樹は収獲を終え、冬の休眠に入ります。 常緑のかんきつ類は、これからが果実が大きくなり色づく時期です。そろそろ防寒が必要になる季節です。 ビワは下旬から12月にかけて白い花を咲かせます。  また、多くの果樹の苗木が、晩秋から冬にかけて販売されます。 果樹は花に実りに収獲に、おまけに味覚、と四季折々に楽しめます。とくにリンゴやナシ、モモ、ウメなどのバラ科の落葉果樹は、花も実も美しいので、庭作りの主役にもなります。植えつけの適期は、11月中旬から3月ですが、多くの場合は、できるだけ早く植えつける方が順調に育ちます。 苗木の購入時には、ナシ、リンゴなど自家受粉しないものは2~3品種を一緒に、キウイなど雌雄異株のものは雌雄を一緒に植えないと実がならないので、品種などの確認を必ずしましょう。
鉢植えの場合
置き場:
寒さに弱いオリーブ、ビワ、レモンなどは霜が避けられる軒下か、日の当たる窓際に。他は日のよく当たる戸外。
水やり:
ビワは1日1回。 他は鉢土の表面が乾いたら与える。


2. よい苗木の見分け方


生育のポイントを握っているのが苗木の良し悪しです。信用できる販売先を選ぶことが第一ですが、品種や系統をきちんと明記しているかどうかが一つの目安になります。 店頭で選ぶ際は、根張りがよく、細根がたくさん出ている、接ぎ木部分がきれいでゆがんだりしていない、がっちりとして徒長していない(節の間が短くずんぐりしている)、しっかりした芽がついている、などのポイントを押さえましょう。


3. 苗木の植えつけ


①苗木の準備:
苗木を購入したら、根を乾燥させないようにします。 鉢は6~8号とし、鉢に合わせてみて長すぎる太い根は切り詰めます。 細い根はそのままでかまいません。 そのまま植えつけられるポット苗でも、根が回っていなければ土を落として、裸苗と同様、根をむきだしにして植えつけます。 根を水に浸して30分以上、2~3時間吸水させます。 接ぎ木部分のテープをはがし、幹の長さが鉢高の2倍程度(庭植えは60~70cm)になるように、芽のすぐ上で切ります。
②植えつけ:
庭植えでは直径50cm、深さ40cmほどの植え穴を掘ります。 掘り上げた土の3分の1に腐葉土や完熟堆肥3~5リットル、化成肥料50~100gを混ぜ、植え穴に戻します。 その上に支柱に固定した苗木を置き、残りの土を埋め戻して周りに土を盛って水鉢を作ります。            鉢植えは鉢の底4分の1までごろ土を入れ、支柱に固定した苗木の位置と深さを決めて、根を広げるように置いて用土(赤玉土6、腐葉土3、川砂1の割合)を隙間のないように入れます。 鉢の縁に固形の有機肥料を元肥に4個置いておきましょう。
③.水やりと管理:
植えつけ後、いずれも水をたっぷりと与えます。 鉢は半月から1ヶ月ほど風の当たらない明るい日陰に置きます。


4. キウイの収獲と追熟


霜が降りる前、11月下旬までには収獲を済ませましょう。 実を手で握り親指で軸(果こう)を前に押すようにすると、簡単にもげます。 キウイは収獲後すぐは硬くてすっぱく食べられません。ビニール袋に密閉し15~20℃くらいに保っておけば、2週間ほどで食べられるようになります。果実の先端をそっと押してみて凹むくらいが食べごろ。 もっと早く追熟させたいときは、袋にリンゴかバナナを一緒に入れておきます。長く保存する場合は冷蔵庫に入れます。湿度を保つためにビニールにしっかりと包んでおきましょう。 傷のあるものは保存に向きません。


5. ウンシュウミカンなどかんきつ類の収獲と雨よけ


ウンシュウミカンやユズなどが収獲期です。収獲の目安は果実が完全に色づいてから。ただ、ウンシュウミカンは雨や夜露にあたって湿ると、皮と実の間にすき間ができる「浮き皮」が起こりやすくなり、味も落ちます。雨が多いようなら、鉢植えは軒下に移し、庭植えならビニールシートで雨覆いをしておきましょう。 ミカンの実は無理に引っ張ってもいではいけません。1~2cm枝をつけて切り、手元でもう一度へたの近くで切ります。 収獲したミカンの貯蔵は、乾燥しないように、しかし蒸れないように、へたを下にして通気性のよい箱に並べ、新聞紙をかぶせて冷暗所に置きます。


6. レモン、ライム、ハッサク、ナツミカンなどの防寒対策


かんきつ類は温暖な気候を好みます。大型のかんきつ類は糖度が高くなるのを待ち、年を越して収獲するものが多いのですが、霜に当たったり氷点下に気温が下がるようなことがあると実がスカスカしてしまいます。今月にも霜の降りる心配のある地方では、シートやコモなどで防寒をしてやりましょう。