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アジサイの花色調整



「アジサイの花は土壌酸度により色が変化し、酸性なら青、アルカリ性なら赤に変わる」といわれます。
でも実際にはもっと複雑なメカニズムで花色が決まるので、酸度調整だけでは思い通りの色になるとは限りません。ご参考までに、花色変化の仕組みをまとめてみます。

花色変化の基本メカニズムは、土壌中のアルミニウムが水に溶けてアルミニウムイオンとなり、アジサイの根から吸収され、花に含まれるアントシアニン色素と結合すると、花色が青くなります。
ただこのほかに品種特性、土壌のpH(酸度)、土壌中のリン酸含量、水分量が影響し、また土壌のアルミニウム含量によっても状態が異なってきます。
これら要素の関係で、アジサイの根がアルミニウムを吸収できなければ花は赤くなります。紫になるのは青と赤の中間の状態です。

●pH(土壌酸度)
日本の土壌や水には、アルミニウムが豊富に含まれています。アルミニウムは酸性土壌では水に溶けやすく、逆にアルカリ土壌では溶けにくくなります。
日本は雨が多く、基本的に酸性土壌です。従って、自然の状態では露地植えのアジサイは一般的に青花となりますが、根が水分を吸収する度合いが一様でないため、同じ株の中でも枝により花色が微妙に異なってきます。石灰をまくと人工的にアルカリ土壌にして赤くすることができます。

●品種特性
もともと個別の品種が持つ特性により、土壌酸度で色が変化するものとしないものがあります。
自然な状態できれいな青花品種はアルカリ土壌にすると色が汚くなり、同様に赤色品種は酸性土壌にすると色が汚くなる場合があります。
ちなみに白花種はアントシアニン色素がないので、花色は変わりません。
まれに、酸度調整すると赤系・青系とも色がきれいにでる品種があります。
実際に試してみないとわからないのですが、西洋アジサイの中にはフェアリーアイのように同じ品種で2色のきれいな花色が作り分けられているものがあります。

●リン酸含有量
pH以外にも、アルミニウムイオンができにくくなる場合があります。
リン酸が多い土は、リン酸がアルミニウムを吸着し不溶性にしてしまうため、アジサイの根がアルミニウムを吸えなくなります。せっかく青い色合いで咲かせるようpH調整をしても、肥料過多(リン酸過多)にすると青色が出にくくなります。

●水分
土壌の水分が少ないとアルミニウムが溶け出しにくくなるので、アジサイの花までアルミニウムイオンが届かなくなります。従って、水切れさせるときれいな青が出ません。

●土壌のアルミニウム含有量
アジサイはもともとアルミニウムを持っていないので、土壌からアルミニウムイオンが吸収できなければ赤系の色になります。
赤系の花色で、青くしたくない場合は、アルミニウムを含まない用土(ピートモスなど)に植えるという方法もあります。但しその場合、ピートモスは肥料分を吸収しないので、花が小さくなります。


以上を踏まえての栽培方法:

青い花にするには、肥料のチッソ・リン酸・カリの比率のうちP(リン酸)の少ない肥料を用い、水を切らさないように注意します。
赤い花にする場合は、鉢植えにしてリン酸分の多い肥料を用い、石灰やヨウリンを使いアルカリ土壌にします。