栽培ガイド

カクレミノ

 目立たないけど、いつでも、どんな場所でも、頼りになるのがカクレミノです。
 日陰の庭の定番樹木、カクレミノはヤツデの仲間です。
 アオキ・ヤツデとともに、日陰の3大樹木と呼ばれます。
 葉の形が蓑(みの)に似ているので、昔話の「隠れ蓑」にちなんでこの名
 があります。細い幹がまっすぐ立ち上がり、先端に3裂した幅広の葉を
 つけます。6~7月頃に枝先に淡黄色の花をつけ、晩秋に青黒色の実が熟し、
 アクセントになります。 

 本来は暖地の海岸や林内に生える常緑の中高木で、光沢のある葉が美しく、
 和風庭園にも洋風の住宅にもよく使われます。私たちが最もよく目にする
 庭木のひとつですよね。

 なによりいちばんの強みは、かなりの日陰に耐えること。
 昔は家の北側に雪隠(おトイレ)があり、その窓の目隠しとして植えられた
 そうです。地際から何本も枝が立ち、株立ち状になるので、塀の際、
 シェードガーデンや北向きの玄関の植栽にたいへんよく利用されます。
 枝が上に伸びて横張りしにくいので、塀と壁の間などの狭いスペースの
 列植や生垣にも向きます。その上、潮風や大気汚染にも強く、植え場所を
 選びません。
 
 やや寒さに弱いので庭植えできるのは東北南部までですが、
 鉢植えにすれば室内で観葉植物として育てることもできます。
 つやのある葉は年間をとおして美しさを保ちます。
 日陰のコンテナでの寄せ植えにはぜひ主木として入れたい木です。

 庭植えの場合、植え付けの際に肥料を施しておけば、後は追肥も不要。
 病虫害もあまりありません。枝葉が茂りすぎてうっとうしくなったら、
 枝を間引く剪定もできます。

 ただ、上の方に葉をつける性質をもつので、成長すると上ばかり葉が
 茂って下葉がなくなり、幹が目立つようになることがあります。
 こうなると目隠しにならないし、葉が光を遮って余計に周囲が暗く
 なってしまいます。そんなときは切り戻して樹形を整えなおしましょう。

 剪定は、それ以上大きくしたくない高さまで育ったところで行います。
 樹芯(中心の枝)の先端を切って成長を止めます。
 上の方に出た勢いのある枝を切り戻すと、切り戻した位置から側枝が
 2本出てきます。またそれを切り戻すとまた2本枝が出るので、これを
 繰り返します。下の方まで枝が増え、きれいに葉が茂ります。
 剪定時期は暖かくなってから、5~7月頃が適しています。