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最終更新日:2024/04/19

挿し木の季節

植物が盛んに生長する今の季節は、挿し木のチャンスです。
「梅雨ざし」といって、梅雨の季節は最適。今年は暑くなるのが早いですが、まだ十分できますので、ぜひどうぞ。

挿し木は植物の枝を切り取って土や水に挿し繁殖させる、とても手軽な方法で、好みの植物をふやすことができます。
多くの植物は土の温度が20~25度位のときによく発根します。また、挿し木をして発根を待つ間は湿度が高いほうがよいので、梅雨は一番の適期といえます。
種から育てるのが難しい花木や果樹、珍しい植物をふやしたい場合や、早く成長させたい場合には有効な方法です。
新鮮なものなら、花屋さんで購入した切花・切り枝や、お友達などに分けてもらった枝でも挿し木できる場合があります。

基本的な方法としては、通気性のよい用土を用意し、浅い鉢に入れてよく湿らせ、そこに植物の枝をさし、日陰の風通しのよい場所で管理します。
土の上に出ている枝は湿度が必要なので、霧吹きで水やりして湿度を保ちます。大きなビニール袋を鉢にすっぽりかぶせる「密閉挿し」という方法もありますが、露地(庭土)にさすだけで発根する木もありますので、難しく考えず気軽に始めましょう。

いろいろな植物を試すと楽しいのですが、品種や条件により根が出ない場合もあります。「うまくいけばラッキー」くらいの気軽さではじめてみてください。
成功率を高めるためのコツをいくつかご紹介します。
  1. まず、挿し穂のとり方
  2. 挿し木する枝を「挿し穂」といいます。梅雨の頃までに伸びた新梢の枝先を使います。枝が緑の部分が目安です。茶色く硬くなった部分は古い枝なので、この時期は根が出にくいです。 挿し穂の長さは品種により異なりますが、10~15cmくらいを目安に。 枝の先端はカットして中ほどを使います。 新芽の出るところ(葉の付け根)を最低1節含む枝を使ってください。
  3. 大きな葉はカットする
  4. 葉がたくさんついていると水分が蒸散して根が出る前に枯れやすいので、減らします。大きな葉は半分くらいにカットしておきます。
  5. 切り口の処理
  6. 挿し穂の切り口は、雑菌の侵入を避けるため、カッターなどの鋭利な刃物でスパッと切ります。ハサミで切ると切り口の組織がつぶれてしまうので、避けましょう。
    コップに水を入れて挿し穂をさし、よく水揚げさせてから土に挿します。「メネデール」などの発根促進剤を切り口に塗ってから用土に挿すと、根が出やすくなります。
  7. 用土について
  8. 土にさす部分は湿度は保ちながら、通気性をよくするのがポイント。
    用土は清潔で粒子が大きく、通気性のよいものを選びます。
    小粒の赤玉土や鹿沼土、挿し芽用の専用土がよいでしょう。
  9. 根が出るまで
  10. 水をきらさないこと、蒸れさせないことが大切。
    直射日光は強すぎるので、風通しのよい日陰で管理します。
    根が出るまでは2週間くらいかかります。1本そっと抜いてみて、発根していれば成功です。
    ポットに植え替え、後は普通の苗と同様に育てましょう。
  11. とっておきのコツ:挿し穂にする枝の選び方
  12. プロの育種家の方からお聞きしたコツ。木の上部、まっすぐ上に伸びている枝を挿し木すると直立型の樹形になり、下方で横に伸びている枝を挿し木すると横広がりやねじれた木になるそうです。
    同じ木からとった枝でも、部位により性格が異なるとのこと。
    理想の樹形をイメージして、それに近い枝をとりましょう。
    また、葉色や花色・形が本体と異なる「枝変わり」は、挿し木するとその性質を固定できます。斑入り葉品種などは、この方法で作り出されていることが多いのです。特徴のある枝が出てきたら、挿し木してみるのも面白いですよ。

さて、準備ができたらいよいよ何を挿し木しましょうか?ハーブなら、ラベンダー、ローズマリー、ミント、バジル、セージ、タイムなどはとても簡単に挿し木できます。果樹では、ブルーベリー、ラズベリー、イチジク、カシスなど。
花木は、今の季節はアジサイやバラの適期。バラはミニバラが挿し木でも良く育つのでおすすめです。コニファー、ダチュラなども面白いです。観葉植物では、アロエ、サンスベリア(葉をカットして挿す)、アイビー、パキラ、コンシンネなど多くの品種が挿し木できます。カットして土にブスッと挿しておくだけでもよいくらい、よく根が出ますよ。その他ではクレマチス、ゼラニウムなどが最適期です。