栽培ガイド

6月のクレマチスのお手入れ

○6月のクレマチス

華麗な大輪系の早咲き、中間種が咲きそろった5月に続き、今月は遅咲きの中小輪が可憐に咲き続けます。けれど、梅雨入りするとクレマチスにはもっとも苦手な季節となります。病害虫が発生しやすく、株も弱りがちになりますから、過湿にならないよう、管理に気を配ってください。
5月に剪定した株は新しく芽が出てきますから、誘引が必要です。挿し木には最適のシーズンですから、気に入ったのを増やましょう。 


○6月の管理のポイント

鉢植えは梅雨に入ったら直接雨に当たらず、日当たりがよく風通しのよい場所に、台の上に置くようにします。庭植えはとくに水はけのよくない場所なら、株のまわりに溝を掘って、水はけをよくしておきましょう。

水やり:
庭植えは必要ありません。鉢植えは回数に注意し、過湿にならないようにしましょう。基本的には表土が乾いたらたっぷり与え、鉢皿の水は捨てます。
 
肥 料:
2週間に1度、500倍に薄めた液肥を水かわりに。庭植えは雨が降らない頃を見計らって施します。剪定した後の遅咲き種に、錠剤の緩効性化成肥料を。鉢植えは5号鉢で2~3個、発酵有機質肥料を3~4個(2g程度の粒)、鉢の縁に置き肥えします。庭植えの場合は鉢植えの2~3倍の量を置き肥えします。先月剪定して施肥した早咲き種、中間種には必要ありません。


○剪定後のつるの誘引、花の後の整枝、剪定

誘引:
5月に剪定した早咲きや中間種ではもう新しい芽が出てきます。鉢植えでは支柱からはみださないように誘引しますが、新しい枝は取れやすいので、そっと…。

剪定:
早咲き、中間種の花が終わったもので、まだ剪定していないものはありませんか。そのまま放っておくと、生育が止まって花が咲きません。今すぐに剪定をしましょう。種類で剪定の方法が違います。5月のクレマチスのお手入れにくわしく載せていますのでごらんください。
    
6月が花の最盛期の遅咲き種では、強剪定と弱剪定、両方できますが、どちらにするかで、次に花の咲く時期が異なります。強剪定すると花が咲くまで60日、弱剪定で40~50日ほどかかります。

強剪定:
今年伸びた枝(新梢)を下から2、3節残して枝を落とします。花は弱剪定よりたくさん咲きます。

弱剪定:
花の下1、2節のところで切ります。 


○植えつけ、植え替え     

鉢植えの場合、花のあとの剪定をしてから植え替えると、生育がおう盛になり、大きな花を咲かせることができます。鉢植えで花を楽しんだ後、剪定してから庭植えにすると手間いらずです。
このときの植え替えは、根鉢をくずさないよう気をつけましょう。梅雨明け後は植え替えはできませんから、今のうちです。


○挿し木はベストシーズン     

かんたんに同じ品種を1度にたくさん増やせるのは、挿し木をおいて他にありません。6月は温度湿度ともに挿し木にぴったりで、しかも、挿し穂となる枝も充実していますから、これ以上のときはありません。ぜひ、お気に入りをたくさん増やしてみてください。

挿し穂によいのは?
挿し穂は花を咲かせなかった新しい枝で、勢いよく伸びた健康な枝を選びます。2、3節しか伸びていない若い枝は適しません。挿し穂をとる株は一週間前にベノミル水和剤とアセフェート乳剤の混合液で消毒をしておきましょう。

挿し穂づくり
切れ味のよいカミソリで、節の下3~4cmのところを斜めに切り、2節とし、葉は上の1枚だけにします。上の節から上の枝は長めに残しておきましょう。アーマンディ、モンタナ、シルホサなどは逆に節の下を長めに取っておきます。挿し穂を30分から1時間ほど水にさして水あげしておきます。

挿し床
新しい清潔な鹿沼土を使いましょう。底には大粒の、上には小粒の鹿沼土を、いちばん上にはパーライトを薄くしきます。育苗箱の深さは8~10cmくらいで、挿す前にあらかじめぬらしておきましょう。

挿し方
発根促進剤を切り口につけ、1節埋まるように挿し穂をさします。アーマンディなど節の下を長めにとったものは、節を土の中に埋め込まないで、地ぎわまでにします。たっぷりと水やりをして、雨風の当たらない明るい日陰におきます。

その後の管理
10日ほどは1日3回、その後は1日1回、霧吹きで葉水を与えます。10日後から徐々に日に当てます。3週間したら、1000倍に薄めた液体肥料を、葉水のやりかたで葉面散布します。早いものでは3週間、遅いものでも40~50日で根が出ます。  


○病害虫の多発シーズンに備えて

風通しよく、丈夫な株に育てると比較的病気にかかりにくいクレマチスも6、7月の高温多湿な気候では、病害虫が発生しやすいものです。病気では、うどんこ病、灰色カビ病など、害虫ではナメクジ、オンシツコナジラミ、ネコブセンチュウなどです。この時期は、何よりも風通しをよくし、過湿にならないようにするのが予防策ですが、それぞれの防除法をあげてみましょう。

うどんこ病:
発生し始めたらすぐにトリホリン乳剤の1000倍液を定期的に散布します。

灰色カビ病:
淡褐色の斑点がある花を見つけたら、すぐに切りとって処分しましょう。でないと葉や茎にまで広がります。ベノミル水和剤の2000倍液を散布します。

ナメクジ:
夜中に活動するので、出てきたらつかまえて処分します。鉢をひっくり返して底に潜んでいないかチェックしましょう。薬剤なら、メタアルデヒト粒剤を2~3g/1㎡まきます。

オンシツコナジラミ:
これはやっかいですが、黄色のところに行く性質があるので、黄色の粘着トラップをつるしておいてつかまえると簡単です。

ネコブセンチュウ:
どうも株の生長が遅い、とか下葉が枯れあがる、という症状が出たら、根を調べてみてください。コブがいくつもできていたら、ネコブセンチュウにやられた証拠ですから、残念ですがすぐに株を引きぬいて処分します。