栽培ガイド

7月のクレマチスのお手入れ

○7月のクレマチス

5月に剪定した早咲きや中間タイプでは2番花が咲きます。遅咲きのものでも、下旬に2番花が咲くものもあります。

梅雨も末期に入って、大雨が降ったりしやすいこの時期は排水、雨よけに注意が必要です。
一転、梅雨明け後は強い夏の太陽と高温にさらされることになるので、株が弱ります。高温対策を施したり、肥料を控えめにするなどしましょう。
病虫害も出やすい時期です。
この7月、8月をうまく乗り切れるかどうかが、クレマチス栽培の最大の山場ということになります。
さし木、とり木は6月に続いて適期です。


○7月の管理のポイント

鉢植えは梅雨の間は過湿にならず、直接雨に当たらないように、日当たりよく風通しのよいところで、台の上に置くようにします。
梅雨が明けたら、日中は半日陰に置くか、照り返しの強い場所ならば遮光率30%程度の寒冷紗を張って、軽く遮光します。
庭植えはとくに水はけのよくない場所なら、株のまわりに溝を掘って、梅雨末期の大雨に備え、水はけをよくしましょう。

水やり:
梅雨の間は庭植えは必要ありません。
鉢植えは過湿にならないように、天候を考えて与えます。
基本的には表土が乾いたらたっぷり与え、鉢皿の水は捨てます。

梅雨明け後は、庭植えでも晴天続きで乾燥が強いようなら、朝か夕方の涼しい間に与えますが、普通は3~4日に1度を目安に。
鉢植えは1日1回涼しい朝の間にたっぷりと与えてください。それでも乾きすぎている場合は、夕方にもう1度やりましょう。
 
肥 料:
2番花の咲いたものは花後の剪定をしてから追肥をします。
その時期が梅雨明け後で気温が高い時期に入っていたら、5月の1番花の後の追肥の半分ほど、と量を少なくしましょう。
鉢植えは5号鉢で2~3個、発酵有機質肥料を3~4個(2g程度の粒)、鉢の縁に置き肥え。
庭植えの場合は鉢植えの2~3倍の量を置き肥え。

水代わりの液肥は1週間に1度、500倍に薄めて。
ただし、梅雨の間は過湿に注意して量をひかえめにし、梅雨明けした後は、濃度を薄めに(800~1000倍)します。
庭植えは雨が降らない頃を見計らって施します。


○暑さ対策 マルティング

梅雨が明けて気温が高くなるころに、土の温度が上がらないようにし、乾燥したり雑草がはえるのを防ぐことにもなる、マルティングをします。
鉢植えは鉢土の表面に1~2cmの厚さで、ピートモス、わら、腐葉土、バーク堆肥などを敷き詰めます。
庭植えなら、根元から30cmぐらいの範囲を、2~3cmの厚さに。

鉢植えはマルティングのほかの暑さ対策として、2重鉢にすることも効果的です。とくに原種は暑さが苦手なので、2重3重の厚さ対策をしておきましょう。


○整枝、剪定、つるの誘引

早咲き、中間タイプは2番花が咲きますので、花の後、剪定します。
剪定のし方は1番花の場合と同様ですが、花のつきかたの種類で剪定のし方が違うことに注意してください。

剪定した後、あちこちに乱れてしまった枝があれば、誘引しましょう。とくに遅咲きのタイプは新梢がよく伸びますから、見ばえのよい位置に花がくるように、うまく誘引してください。


○とり木で増やす     

先月はさし木についてくわしく説明しました。
今月は、もっとかんたんで確実な、とり木にチャレンジしてみましょう。
作業としては5月から7月にかけてが適期になります。

まず、伸びた新梢を、枝を折らないようにそっと、地面にはわせます。その枝を切らないでそのまま、3~5cmの深さに埋めます。
このとき、あとあと移植する時に根を傷めないように、埋める部分にあらかじめ3号ポットを地面に埋めこんでおくことをお勧めします。
枝が動いたり、抜けないようにU字型に切ったはりがねで止めておくとよいでしょう。なければ、石を上にのせておいても構いません。

たったこれだけです。2~3ヶ月もすれば、発根します。
でも、あまり早く親株から切り離すと枯れるので、根が十分にはる来年の2月まではそのままにしておき、芽が動き出す前に、切り離してポットを掘り出します。
根がいっぱいになっていたら、5号鉢に鉢あげすればOKなのです。


○病害虫…菌核病について

6月に説明しましたように、しっかりした株に育て、風通しよく 管理すると、クレマチスは比較的病気にはかかりにくいのですが、高温多湿の条件下では、どうしても病気が発生しやすいものです。
6~7月はうどんこ病が多く、7~8月は白絹病(菌核病)が発生します。
今月は白絹病についてみてみましょう。

白絹病は地際の茎や根がやられます。
地面近くの茎が茶褐色から黒褐色に変色して、腐りだします。
根からの水分や栄養の補給がとだえますから、枝や葉はしおれて枯れます。
地際の土の表面に白や茶色かかった直径2㎜ほどの菌核ができます。もし、これを見つけたなら、株がまだしおれたり枯れたりしていなくてもすぐに株を抜いて捨てます。鉢植えなら鉢ごと処分しましょう。
庭植では株を抜いた後に、PCNB剤を土によく混ぜておきましょう。