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ハーブの横顔 ~ラベンダー~

『ラベンダー』カラーとも呼ばれる青みがかった美しい紫色、すっきりとした芳香で、もっとも人気のあるハーブ。
育てたことはなくても、おうちのどこかにラベンダーの香りの小物をお持ちの方も多いと思います。お庭やベランダに、美しいラベンダーを植えるのがあこがれという方もいらっしゃるでしょうか。

さて、育てるのがちょっとむずかしいと思われがちなラベンダー。
品種選びを工夫すれば、初めての方でも安心して育てることができます。
ここ何年かの間に、本当にさまざまな品種を日本でも手に入れることができるようになったのは、嬉しいかぎりです。

ラベンダーは、イングリッシュ系、ラバンディン系、フレンチ系、その他、プテロストエカス系と、大きく4種類に大別されます。

イングリッシュ系:
 代表的なものにコモン、ヒドコートなどがあり、耐寒性はあるので庭に植えたままで越冬できますが、日本の夏にはすこし弱いです。すばらしい香りを持ち、香水の材料や最も高品質な精油は、イングリッシュ・ラベンダーから採取します。いちばん香りがよいのは、花が咲く前のつぼみがふくらんだ頃。

ラヴァンディン系:
 代表的なものにグロッソなどがあり、大型のものが多いです。成長が早く花をたくさんつけうえに、耐寒性も耐暑性もあり、蒸れにも比較的強いので、初心者におすすめの品種です。

フレンチ系:ストエカス種、デンタータ種
 代表的なものにデンタータ、エイボンビュー長い楕円形の花穂の先端にウサギの耳のような苞(ほう)をつけ、特徴ある花の形。寒さや霜に弱い品種が多いですが、耐暑性があり春から咲くので、室内で早春から花を楽しめます。

その他:プテロストエカス系
 レースラベンダーと呼ばれるピナータが一般的です。深い切れ込みのある葉が美しく、四季咲きの傾向があるので、花壇やプランターの寄せ植えにぴったり。寒さには弱いです。

ラベンダーにはさまざまな薬効があります。
うつな気分、不安、緊張、神経過敏なときに気持ちにバランスを取り戻し、風邪、インフルエンザ、咳や、やけど、皮膚感染症、傷、切り傷、けがの殺菌・解毒にも使えます。
偏頭痛でお悩みの方、腹部膨満、吐き気、消化不良の方の食欲増進にも。

具体的な利用方法をいくつかご紹介しましょう。
・風邪をひいて熱のあるときに、ラベンダーの熱いハーブティを飲んで、発汗をうながし、熱を下げます。
・湿疹ややけどにはエッセンシャルオイルを薄めたものを塗ります。傷跡を最小限にくいとめる効果もあります。
・緊張している夜はラベンダーのハーブティを飲んだり、お風呂にオイルをたらして、ゆっくりつかると緊張した筋肉もほぐれます。
 緊張で顔までこわばっていたら、薄めたオイルでやさしくマッサージ。ハーブバスにはリラックス効果とともに肌を若返らす効果もあります。
・ストレス性の頭痛には、花の浸出液を1日3回飲むと効きます。

収穫した花をドライにしたものを、ハーブバス、ハーブティ、ハーブピロー(枕)、ポプリ、ドライフラワーなど、暮らしに取り入れるのも、育てているならではの楽しみです。ラベンダーのポプリにはハエよけ効果もあります。

エッセンシャルオイルはアロマテラピーのお店で購入できますが、原液のままでなく、必ず薄めて使うこと、飲まないことを守ってください。また、妊婦、乳幼児には使用しないようご注意ください。

最後に育て方を。
水はけ、日あたりのよい、ひろびろとして蒸れにくいところに植えます。盛り土をすると水はけがよくなるのでおすすめです。砂の混ざった石灰質の土を好みます。肥料は控えめに、がポイントです。

増やし方は、春に種まきをするか、春か秋に若い木質化していない枝を挿し木します。生長にしたがって鉢をだんだん大きくしながら育てます。
毎年開花後に脇芽のすぐ上で上部1/3くらいを切り戻すと、こんもりと形のよい株になり、翌春伸びてきれいに花が咲きます。

高温多湿の夏が苦手な品種が多いので、夏の間は朝日があたる程度の涼しい風とおしのよい場所におきます。乾燥気味が好みですが、鉢は乾燥しやすいので、極端な乾燥に注意しましょう。
秋になって日ざしがやわらいだら、よく日の当たる場所に移し、暖かい日だまりで越冬させます。冬の間、日あたりのよい室内に入れてもよいです。

清潔さをイメージさせるラベンダーの香り。ヨーロッパでは、アイロンの際、ラベンダーの香りのリネン・ウォーターを好んで使います。リラックスしてぐっすり眠れそうですね。