栽培ガイド

チャイブ


淡い紫がかったピンクの丸い花がかわいらしいチャイブ。キッチンガーデンの彩りに加えたいハーブのひとつです。
中が空洞になった細い葉は、ネギのような刺激的な香り。その香りのとおり、ネギ属の植物です。ニラ、ナガネギなどのネギ類、エシャロット、タマネギ、ニンニクと同じ仲間で、和名ではエゾネギ。


学名:Allium schoenoprasum
英名:Chives
和名:エゾネギ
別名:シブレット
タイプ:ユリ科ネギ属の耐寒性多年草
原産地:ヨーロッパ・アメリカ

チャイブの歴史は古く、古代からお料理や薬用に使用されていたそうです。
それをヨーロッパに持ち帰ったのがマルコ・ポーロ。13世紀頃のことです。
チャイブのようなネギ属のハーブをたいへん気に入った彼は、帰国後しばらくもこのハーブに夢中だったそうです。

チャイブの葉には、食欲をうながし、胃腸の働きを促進する効果や、殺菌効果があります。その効果と風味を生かした魚料理が紀元前1000年以上前の中国のレシピに残っており、また、中国では止血剤や解毒剤としても民間療法で使われているそうです。
 
たしかにチャイブを使ったお料理は風味がよく、食欲を促してくれますね。
タマネギにくらべ、繊細なチャイブの香りは、長い時間火を加えるお料理には向きません。フレッシュなまま刻んで使います。

卵やじゃがいも料理、、スープ、サラダ、ソースなどに加えるとぐんとおいしくなるチャイブ。刻んでバターに練りこんで冷凍しておくと重宝します。オムレツやスクランブルエッグ、お魚や鶏肉のソテーの仕上げにひとかけ加えると風味がよくなります。
クリームチーズにレモン汁少々とともに練りこんだハーブチーズも、簡単なのにとってもおいしい。たくさんのお客さまがみえるときに、クラッカーやフランスパンを添えておいておくと、いつもいつのまにかなくなってしまいます。

では育て方を。
植える場所、置き場所は日当たりのよいところに。少々半日陰でも大丈夫です。発芽もしやすいので、種をまいて育てるのも楽しいハーブです。
発芽したばかりは、とても細い細い苗なので、大切に扱ってあげましょう。
株が大きく育つまで、そして花が咲くまでは1年必要。すぐにお料理に利用したい方は、苗での購入をおすすめします。

葉が細く風や雨で倒れやすいので、何株分かまとめて、水はけがよく湿り気のある土に少し深めに植え付けます。チャイブは地下茎がどんどん分球して増え、だんだん株が大きく育ってくるので3~4年ごとに株分けします。
5月の終わりごろから葉がしげって大きく生長します。この時期には肥料を欠かさないようにして、その後夏の間は1ケ月に一度追肥します。

大きく育ったら根元を5cmほど残して刈り込んで収穫すると、また新しい芽がたくさん伸びてきます。ただし、翌年に花を咲かせたい場合は、間引き収穫します。

夏の間気をつけるのは、乾燥です。強い西日の当たる場所を避けて少し涼しい場所に置き、水ぎれしないよう気をつけます。根元をマルチングしてあげるのもよいです。

冬のあいだの管理は、関東地方程度の寒さなら戸外で冬を越せます。
2月ごろには新しい芽がたくさん出てくるので、わくわくしますよ。

では最後に、チャイブのコンパニオンプランツとしての役割をご紹介。
バラの近くにチャイブを一緒に植えると黒点病を防ぐ効果はご存知の方も多いですね。ほかにもいくつかあります。
ニンジンやトマトのアブラムシを防いだり、キュウリなどのうどん粉病を防ぐ効果もあります。おうちにリンゴの木をお持ちの方は、根元にチャイブを植えるとカイガラ虫と腐敗病を防ぐそうです。

お料理に、ガーデンに活躍するチャイブ、育ててみませんか。