『金森朝子の庭物語』 金森朝子プロフィールへ
こうして、2回の夏休みと1回の冬休みの間をロンドンにおいて、緑あるいは灰色の空気の中で無為に過ごし、大学卒業後は、庭園とは無縁の業界に就職しました。ところが、給料が入ると、庭園に関する国内外の書籍を集め始めていました。
10年間庭園の歴史や理論を独学したのち、やっと学校で学ぶ決心がつきましたが、デザインレッスンは独学の復習でした。他方、園芸の学校は、広大な敷地に、標本植物が溢れ、それを何十年も世話している先生方がいらして、収穫は豊穣でした。
勉強中も、デザイナーとして活動を開始した後も、日本の名庭、海外の庭園や風雅な田舎を訪れたり、短期の講座を受けたりする機会にたびたび恵まれ、その度にこの世界に魅了されます。イングリッシュ・ガーデンというとすぐに連想されるのは、領主邸の大庭園や、植物以外の素材の魅力も大きいコッツウォルド地方の村々の景観でしょう。しかし、これらは地域の伝統文化色が強く、私は訪問すると自分が観光客であることを意識せずにはいられません。本当に心惹かれるのは、あの都会の真ん中で濃い緑なす、無造作な魅力に満ちた私園なのです。
そして最上の庭園と確信しているのは、京都の龍安寺平庭の枯山水庭園です。
現在の私は、「Picturesque Garden」という実験ガーデンを持ち、デザイン活動とデザイン&ガーデニング教室を行っています。デザイナーといっても、ご自身で庭を造りたいという方のパートナーという存在であり、必要な植物が入手できない場合は、播種したり、挿し木したりと育てて提供するところから楽しんでいます。
ですから、このコラムでお話していく内容は、尽きることのない失敗談に基づいているとお考えになって差し支えありません。

お手元にデルフィニウムの種をお持ちの方、播種のチャンスです
デルフィニウム属はおよそ250種ありますが、その多くの自生地は山地です。従って、地温が15℃以下にならないと発芽しません。お住まいの地域の予想気温に注意して、適温になり次第、播いてください。ただし、Delphinium chinensis(デルフィニウム キネンシス)は18℃が適温です。
発芽温度が低く、今が播き時の種子は他に、ヒエンソウ(ラークスパー)、ワスレナグサ(ミオソティス)、プリムラのカウスリップなどがあります。種袋には、発芽温度、好光性、嫌光性など大切な発芽条件が記載されていますので、必ず読んでくださいね。
そもそも宿根草は、条件さえ整えば一年中播けるのですが、今の日本(東京)は、気温25℃以上の播種不適期が長いので、播くタイミングを逃さないように気をつけなければなりません。

次回は、前号で触れました「ガーデン・ダイアリー」についてお送りします。


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