建物はスタイルを持っています。そのスタイルを無視して、庭のスタイルを築くとしたら、建物と庭を視覚的に切り離さなければなりません。たいていは不可能ですから、庭は、建物の魅力を高める方向でつくることになります。数寄屋造りの家に、イングリッシュ・コテージガーデンは似合いません。また、白い家を背景に、白バラを植えても、効果はありません。白壁に映える赤や濃いピンクのバラを選ぶか、あるいは白バラと建物の間に、濃緑や赤緑のスクリーンを形成する植物を配置するという工夫が必要です。さらに、家の中から庭を、庭から家を、道路から全体をチェックすることも大切です。
植物群を設計する

単純な区画割で植物群を植えていく |
盆栽を思い浮かべてください。一鉢の植物を、細部にまで神経を行き届かせ、それ自体で完結する鑑賞対象として作り上げます。庭なりベランダなりをデザインする場合、この盆栽感覚では、味のある空間は生まれません。つまり、植物を一株ずつ集め、栽培上適所に置き、姿よく育てたとしても、あなたが演出したい空間は生まれないのです。よほど大株に生長する植物は例外として、小型中型の草本植物は、植物群となって初めて、あなたの空間で役割を果たせるのです。植える際には、一種類の植物が、グループや流れをなすように配置しましょう。
植え付けは単純に
園芸好きの方が陥りやすい失敗は、狭い区域にあまりにたくさんの種類の植物を詰め込んでしまうことです。その結果として、通風が悪くなり病気が発生したり、うまく生長しても、ただのジャングルとなってしまったり、あるいは頑張った庭という印象しか残らなかったりします。どうしても多くの種類を育てたいという場合は、葉色、花色を限定すると、比較的うまくゆきます。その場合でも、植物の生長後の大きさを見込んで、植物間距離は充分とりましょう。
もしあなたが植物コレクターなら
どうしてもいろいろな植物を育ててみたいという研究熱心な方には、標本庭園をおすすめします。この場合は、植物を植えつける前に、空間のスタイルと植物の環境を、植物以外で完成させてしまいます。

標本庭園の一例 |
植物の配置は、デザイン効果という観点から判断するのではなく、栽培上最適であることを最優先します。栽培環境が限定されると、必然的にその環境に合った植物を選定することとなり、結果として、雰囲気のある空間が出現します。植え付けにあたっては、各場所に、一株または少数株ずつ、しっかり鑑賞できるように、植物と植物の距離を通常よりたっぷり確保します。植物が生長し、大株となった時点でも、植物同士が接触せず、距離に余裕があるというのがコツです。標本庭園は、植物好きの方にとって、日々のそぞろ歩きに発見の喜びがあり、退屈しない空間となります。