貴族やサクセスストーリーの実現者たちはたいてい、田舎に広壮な大邸宅を持っています。

それらは、先祖代々受け継いだものであったり、古さゆえに価値があるという屋敷を購入したりしたものですが、建物同様、あるいはそれ以上に費用をかけるのが、大庭園です。権力や資産の象徴である、フランス風の整形庭園を所有しているところもあります。これは建物の正面を占めますが、広大な敷地の中には、羊の放牧場があったり、りんご園があったり、森を模したウッドランドガーデンがあったりします。しかし、魅力的かつ親密な庭は、囲い込まれた小さなシークレットガーデンなのです。シークレットガーデンは、建物の2階から見下ろさなければ、わからない位置にあったり、ウッドランドガーデンの中に隠されていたりします。また、もっとも美しいボーダーガーデンは、曲がり角を曲がらなければ、目に入らないといった構造になっていたりします。

目立たせる、あるいは世話のしやすさという点からは、なにもかもひと目で見て取れるように配置したほうが、簡単なのです。しかし英国ガーデニングは、簡便性を排除したところに、その魅惑の原点があるのです。庭を持たないロンドン住民は、屋上やベランダガーデンを楽しんでいますが、そのささやかな空間ですら、その向こうに何かが隠されているという期待感を感じさせるのです。
秋に庭を造る方へ
秋に、庭を造りはじめる、あるいは改造を考えている方へのメッセージです。この夏は、庭をどんなスタイルにするか、どのような植物を植えようかと、ご家族で楽しく盛り上がることでしょう。ベランダや屋上庭園も、夏場は避け、秋に作業を開始するのがよいことは言うまでもありません。
時節は梅雨明けまぢかですが、ガーデニング環境において、梅雨は重大な要素です。雨が強く落ちる地点、雨が吹きつける地点、雨水のたまり方、降った雨水が敷地のどこをどう通って流れていくかを、チェックしましょう。また同じ庭の中でも、雨ののち、すぐに水が引くところと、いつまでもぬかるんでいるところがあるはずです。逆に、乾燥の著しいところもあります。これらのことは、植物の生育のみならず、建物への影響も無視できません。建物の方向へと雨水が流れ込むようでは、建物の傷みが心配です。あるいは、乾燥しやすい土のエリアが広ければ、土埃が家の中に入りますから、それを防ぐガーデニングが必要です。また、家の中で特にじめじめする箇所があれば、そこに接する外部の敷地は、風通しを図るため、植物を植えないというメモをつけておきましょう。観察は、成功するガーデニングと快適な生活の第一歩です。