『金森朝子の庭物語』 金森朝子プロフィールへ

英国ガーデニングの心
前回は、なぜこれほど多くの人々が、英国に引きつけられるのかという視点でお話しました。英国でも、特にロンドンはコスモポリタン都市です。さまざまな職業の場面で、色々な人種に出会います。田舎は排他的とは聞きますが、それでも駅前などの繁華なあたりでは、やはり働く人々の肌の色は多様です。
英国の食事といえば、朝食以外は美味しくないという定説があり、朝・昼・晩の3食すべてに、朝食を摂るとよいとまでの言われようです。今でも、このイメージは強いのですが、コスモポリタン化とEU加盟は、食事シーンの多国籍化も促進し、多くの移民が、異国風レストランを展開し、豊かで美味しい料理を提供しており、世界各国料理巡りは、ロンドン滞在の楽しみのひとつになっています。
ところで、たとえばレストランや小さなホテルで、その建物正面や店のテーブルを造花で飾っていたら、それは移民の方が営業しているとみなしてまず間違いありません。彼らは、植物を飾るという点で、英国文化を尊重しているものの、見た目は変わらないのだから、わざわざ手間のかかる生花や鉢植えを置く必要はないと合理的に考えているのでしょう。その分、料理の味や、豪華な調度品や機能的なしつらえに気を配るのです。
しかし、英国ガーデニングの真髄を語るにふさわしくない言葉を挙げるとすれば、まさに合理的と簡単便利でしょう。表面を、英国ガーデニング風としても、精神の違いは、人を魅了するかどうかの結果として現れるのです。

飾り立てる前に
庭でもベランダでも、わたしたちガーデナーはさまざまな道具を必要とします。支柱であれば、プラスチック製品が、洗えば綺麗になり、繰り返し使用でき、また病害虫予防の面からも、合理的です。コンテナも、軽くて安価なプラスチック製を、便利だということから使う人が多いでしょう。
英国でも、ガーデンセンターへ行けば、プラスチック製品を売っています。しかし、これを庭やベランダで目にする機会はまずありません。育苗用にのみ使い、表に出さないのかもしれません。プラスチックのコンテナは、下着という位置づけです。玄関前やベランダなどに置くコンテナは、その場所に合ったものを選び固定し、プラスチックのコンテナをその中へはめ込むのです。支柱は、剪定した枝や蔓を用い、外観全体が自然素材となるように仕立てます。目に心地よくない、あるいは場の雰囲気を台無しにするものは、表に出さない。表に出るものは、違和感のない素材を用いることが徹底しているのです。


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