イギリスでは、植物園だけでなく庭園でも学名が表示してあることが多いものです。ひとつひとつ確認しながら、わたしは無意識のうちに、学名のラテン語の中に、日本語を捜してしまいます。
Hydrangea macrophylla Seringe var. otaksa MAKINO

以前、お話したアジサイのひとつです。
otaksaはシーボルトの日本人妻「お滝さん」、MAKINOは命名者である植物学者牧野富太郎博士を表しています。
学名には、種名をその発見者などの功労者の名誉をたたえて、人名がつけられていることがよくあります。
Pinus thunbergii クロマツ
thunbergiiは、スウェーデンの植物学者ツンベルグのことで、日本植物をはじめて研究したことの功績が認められています。
ところで、わたしが楽しみにしているのは、園芸品種につけられた美しい響きの日本語です。ここで、園芸品種の命名方法を説明しておきましょう。園芸家は、植物の園芸的価値を高めるため育種を行い、異なる花色を作り出す、花を大きくする、香りを高める、あるいは葉に斑を入れるなど、

たえず新しい植物を世に送り出しています。しかし、見た目が変わっても、そのような植物は、原種と基本的には同じなのです。そこで、植物の学名は属名と種名を併記して表していますが、もとの学名に、園芸品種を付け足す形で表記することが、国際条約で決められています。しかも、母国語でと規定されているのです。
園芸品種名には、日本語がたくさんあります。

なにしろ、日本は世界に誇る育種大国なのです。
Prunus‘Amanogawa’ サクラ「天の川」
Rosa‘Nozomi’ バラ「のぞみ」
Helianthus annus‘Taiyo’ ヒマワリ「太陽」
6月には、英国・庭便りをお送りします。