『金森朝子の庭物語』 金森朝子プロフィールへ

科学のまなざし
ソメイヨシノの散る頃が15〜20℃、八重ザクラの咲き始める頃が20〜25℃で夜間はやや低め、八重ザクラの散る頃には、昼夜の気温差が小さくなる。
これは、春の播種の目安にと、かつて暗記した一節です。
八重ザクラの散る頃に播種するものは、プルンバゴ、サルビア、アロエベラ、ペチュニア、ルー、インパチェンス、マツバボタンなどです。ナスタチウムやバーベナもまだ間に合います。
4月中旬までに常緑広葉樹の植えつけを終え、4月下旬になれば、ガーデナーは、植物が根からせっせと水分と栄養を吸い上げて、葉を茂らせるのを待つだけです。この間、雑草と病害虫に警戒しなければなりませんが、案外作業は少ないものです。花あふれる初夏に期待の高まる日々ですが、そのあとには、あの暑い暑い夏がくるという事実が頭をよぎります。
そこで、年々暑くなる日本の夏に打つ手はないものか、ガーデナーとして考えてみましょう。

東京の庭は亜熱帯植物園
生育最低温度7℃のはずのプルンバゴやダチュラが、東京では戸外で越冬しています。夏ともなれば、40℃近くまで気温が上昇します。気温38℃などという数字は、わたしの子供時代の記憶にはありません。地球温暖化はおそろしいスピードで進行しているようです。
地球全体の気温は、この100年間、寒暖を繰り返しながらも、0.6℃上昇しているといわれています。ところが東京に限っていえば、100年で2℃以上も上昇しています。都市の気温が郊外より常に高いことは、当たり前となっています。わたしはよく山歩きをするのですが、奥多摩の駅前から渋谷駅へと戻ってくると、夜でも気温がぐんぐん上がるのを実感します。渋谷から、緑の多い住宅街にある自宅まで電車で10分程度ですが、駅を降りた途端に涼しさを感じるほど、渋谷との気温差があります。これがヒートアイランド現象です。
原因として、都市での、車やエアコンなどの膨大なエネルギー使用による排熱量の多さ、緑地面積が小さいため植物や地表からの水分蒸発が減少していること、高層建築物の壁面・屋上での多重反射により構造物が加熱されること。さらに、アスファルト道路が、昼間に地面の下まで熱せられ、夜間にこの蓄積熱が放出されるということが考えられています。
気温分布図でみると、公園・緑地は気温が低く、その周囲もその恩恵を受けています。そうです。わたしたちの周りを、できるだけ緑で覆うことが、極小とはいえ、クールアイランドをつくることになるのです。


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